バイオハザード・コードヴェロニカ(バッドエンド)

作:矢型魔さん

登場人物:
クリス・レッドフィールド……25才位。元アメリカ空軍のパイトットで、現在はラクーンシティ警察の特殊部隊STARSの一員。
 臆する事を知らない精神力と鋼の肉体を持つナイスガイ。バイオ1での「洋館事件」の後、仲間のジル、バリーらとヨーロッパに飛ぶ。

クレア・レッドフィールド……バイクに乗るのが好きで好奇心の強い19才の女子大生。兄のクリスを探す途中でラクーンシィティでアンブレラ社が引き起こした一連の事件に巻き込まれる。新米警官のレオンと協力してなんとか街を脱出し、その後ヨーロッパまで兄を探しに行き(フランスのパリ)、そして捕まった。赤毛のポニーテールがシンボル。

 全ての元凶は、国際企業アンブレラ製薬が流出させた新種の兵器「Tーウィルス」にあった。
 アンブレラ製薬が主な産業としてなりたっていたアメリカ中西部の都市、ラクーンシィティで最初の事件は起きた。Tーウィルスによる最初のこの事件はクリス、ジルの二人によって一応の解決を見た。

 行方不明になった兄クリスを探しラクーンシィティに迷いこんだクレア・レッドフィールドは、新任の警察官レオンと協力しからくも街からの脱出をはたした。
 結局兄クリスを発見する事のできなかったクレアは、僅かな手がかりを元にヨーロッパにわたり、単身
アンブレラのパリ本社に潜入する。ところが不覚にも彼等の手に落ちて、社の所有する絶海の孤島の刑務所に移送されてしまうのであった、、、。

 この絶海の刑務所から脱出するため、僅かな手がかりを追うクレア。数刻前に知り合いの警官レオンに電子メールで、兄に助けを求めるようにメッセージを託した。あの頼もしい兄だ、きっと助けに来てくれると信じているが、それも兄にメッセージが伝わった場合にである。
 謎の武装した部隊に刑務所は襲われ壊滅し、その混乱に乗じて脱出はできたが、今度はTーウィルスによるゾンビや新種のクリーチャー達が数多く徘徊している。先程この島に古くから館を構える貴族アシュフォード家の若い跡取りアルフレッドに遭遇した。彼と、そしてその双児の妹の二人がこの孤島にウィルスが蔓延する事態に追い込んだ元凶であり、もはやこの孤島の僅かな生き残りの一人でもある。明らかに常人とは異質な精神のアルフレッドは、今回の事件による自分の身に降りかかった不幸は全てクレアの所為であると錯覚しており、出合い頭に発砲されたのだ。
  こんな場所に長居はしたくない、先程出会ったスティーブという囚人の少年(17才)を探し出して脱出に備えなければ、、、、。と、刑務所部隊宿舎の一室に差し掛かった時、元来た廊下の道が突然降りてきたシャッターにより断絶され後戻りができなくなってしまった。そしてすぐさま古びたスピーカーから、先程のアルフレッドのかん高い、人を見下したような声が響いてきた。

アルフレッド「フアハハハハ、よーうこそ、クレア・レッドフィールド!。この部屋の先には君へのちょっとしたプレゼントが用意されているよ、、ふふふ、間違っても簡単に死んで私をガッカリさせないでくれよ、、、。アハハハハハハハ!。」
クレア「、、、!、あなたの考えは誤解があるのよ!。。」

 この島の持ち主で主人でもあるアルフレッドの罠だ、恐らくTーウィルスを使用したクリーチャーが待ち構えているのだろう。
 クレアは今まで幾度となく迫る危険を辛うじて切り抜けてきた。それは皮肉にもアンブレラの凶行の産物でもあるが、どのような困難に対しても冷静に立ち向かう勇気は身に付けているつもりだった。
 扉は二つある。だが開く扉は前面の大型倉庫へと続く鉄扉だけで、後戻りはできない。鉄扉の取っ手は古く錆び付いて入るが、手入れはされているらしく意外に軽い力で降りた。心臓の鼓動が激しく波打つが意を決して部屋に飛び込み、すかさず拾っておいたベレッタM93を構える。
 大型倉庫の2階部分に直結していた扉付近は広いスペースはあるが、なにせ明かりが先の襲撃で落ちているため暗い。そのため倉庫の向こう側まで見る事ができない。青い瞳を見開き、油断なく周囲を警戒しながら少しづつ壁ぞいに移動するクレア。
 すると突然壁に沿って設置されている鉄製の扉が開き大型の生物が飛び出してきた。新型の怪物だ。今までのTーウィルスのクリーチャーに比べておどろおどろしい突起や、体液が流れ落ちるというような風ではなく、異様に長い一本の 腕とのっぺりした全身の印象が強い新手の怪物だ。(バンダ-スナッチという敵。)

クレア「!!、何?、見た事のない、、。」

 新型の生物の能力は未知数だ。しかし彼女からクリーチャーまではまだある程度の距離が離れている。それに相手はどうやら一体だけのようだ。ここからならばこのハンドガンで射殺できるだろう。すぐさまベレッタM93の3点バースト機能を使った激しい銃撃がクレアから放たれる。だが攻撃を喰らいつつもペースを落とす事なく接近してくるクリーチャー。その意外なまでの硬さに思わず戦慄がクレアの背筋を走り抜ける。とその瞬間、クレアの背後の天井を突きやぶって、同じ形の怪物が轟音と共に飛び下りてきた。とっさに通路の反対側に転がり十分な間を取ったと思い顔を上げるが、クリーチャーはその長い腕を軟体動物のようにグイと伸ばし、数メートルはあった距離をいっきに超えてクレアに掴みっかった。それにはさすがのクレアもあっけにとられた一瞬判断が遅れ、クリーチャーに頭を握りこまれ空中に吊るし上げられた!。

クレア「う、ウアアッ、放して、、!!。」

 だが化け物に言葉が通じる筈もない、クリーチャーは倉庫2階の天井の高さから、一階の鉄製の床めがけてクレアを投げ降ろした。
 裏返った悲鳴を短くあげ、なす術もなく床に叩き付けられるクレア。かろうじて床から立ち上がる事はできたが、頭を強打し額からは血がつたっている。そして2階から飛び下りてきたクリーチャーの、次の攻撃を避わしきる事ができずに脇腹を一撃をくらい、背後のコンテナに背中から叩き付けられた。凄まじい衝撃に彼女の意識は一気に遠くなり、天地が逆転して揺らぐ視界の中にゆっくりと近付いてくる怪物の歩みが見えた。

クレア「う、、あああ、、ク、クリス兄さん、、、」

 、、、、いつもだ、いつもは妹が大きなトラブルに巻き込まれた時には兄のクリスが最大のパートナーになってくれた。
 しかしアンブレラ社の凶行によりその兄妹の運命も大きく狂いだいしていた。

 次にクレアが意識を取り戻した時、彼女は自分の状況を把握する事ができなかった。ただ酷く寒くて、薄暗い空間である事だけしか分からない。クレアが情況把握するより早く聞き覚えのある声が響いてきた。神経を逆なでするような声、アルフレッド=アシュフォードだ。
「やあ、クレア、お目覚めかい?。あんまり長く眠っているからこのまま目を覚まさないんじゃないかと心配したよ。
 君にはこれからたっぷりと楽しんでほしいからねえ、、」
「アルフレッド!?、あなた、一体私に何をしようというの!。」
「今に分かるよ、クレア。」
 アルフレッドの声は、まるで広い空間にいるかのように反響して響いている。どうやらそれなりに広い空間を持った部屋のようだ。
 肌に伝わってくる冷気から、コンクリートの壁でできた閉鎖空間であるらしい事が分はかろうじて分かる。
 重々しい金属音と同時、部屋の天井に設置されていた無数の蛍光灯の電源が入った。
 クレアが放置されていた部屋は、先の倉庫と同じ程度の広さと高さを持った実験施設後らしかった。床のあちらこちらにはかつて巨大な電子機器が置かれていた後が残っている。だが今はただのからっぽの空間だ。
 そこであらためてクレアは自分が下着姿の上、何かの手術台の上に手足と肩を固定されて寝かされているのが分かった。
 両肩はただのベルトだが、四肢を固定しているのはまるで工作用の万力の様に分厚い特殊な金属製のようで、いくら力を入れてもビクともしない。
 手首と枷の間には硬質ラバーの様な物がはめこまれており、それが完全にクレアの手首足首を万力へと固定している。
 クレアは巨大な部屋の中央にポツンと設置された手術台の上にいるのだ。
「アルフレッド!、姿を現しなさい!。」
「やれやれ、知能の低い下等な人種は語彙にバラエティーがなくて良くない、、。いつも同じ事しか言えないのだから。」
 スピーカーからではなく、今度は部屋の中から声が発せられ、クレアはそちらの方へと顔を向けた。
「!、アルフレッド、私に一体何をするつもり!。これを、、、はずしなさい!。」
 アルフレッドはクククッ、と押し殺した笑い声を上げながら近付いてくる。先程遭遇した時と同じく、軍服を模した派手で大仰な衣装に身を包んでいて、天井の蛍光灯の明かりで逆光になり目もとが影となり彼の不気味さを演出している。
 手術台のそばまでよると、片手でクレアの顎をしめつけながら耳もとに口を近付けて囁いた。
「クレア=レッドフィールド、先程も質問したようにお前がどこの組織の工作員か素直に言うのだ。私とアレクシア、そして先祖代々ヴェロニカの頃から築き上げてきた栄光に傷をつけてくれおって。」
 彼の口から耳鼻の中に直接流れ込む暖かい息に鳥肌を立てながらもクレアは気丈に反論する。
「だから、私はスパイなんかじゃないわ、偶然ここには連れてこられただけなのよ!。私だってこの孤島を誰が襲撃したのかなんて分からないわ!!。、、、私を自由にして!。」
 するとアルフレッドは手術台の脇に設置されている小型のテーブル程の電子器械の側まで歩み寄ると、その機械の電源を入れた。
 手術台に隣接していた手術用ライトにも明かりがともり、一瞬クレアは眩しさで眉間にしわを寄せる。
「このごに及んでまだ強きだな。自分の立場をわきまえていないようではないか、クレア=レッドフィールド。
 素直に言えばよし、もしくは一生障害を残して生きていく覚悟が必要だな、、、。」
 アルフレッドの指が装置の無数にある操作パネルの一つに触れる。するとクレアの手首を固定していた万力がその場で軸回転をし、それに同調するように彼女の手首も頭の方向へ軸回転をする。
「な、、、、何っ、、」
「早めに懺悔をしないと、お前の両腕はさらにひねりあげられるぞ。毎回120度づつジワジワとな。アハハハハハッ。」
 アハハハハハハハ、アルフレッドは甲高い声をあげながらさらにパネルを操作する。
 ギリギリギリ、と力強いモーターの音が響きそれと同時に万力とクレアの両手首は120度さらに回転した。
「あ、あ、痛っ、痛いわ!!。」
 これで計240度手首が回転した事になる。当然人間の腕はそこまで自力で回転させる機能などない。まだ骨折などとはいかないものの早くも上腕の筋肉は悲鳴を上げはじめた。
「言うのだ、クレア、お前はどこの組織に雇われた?、どこの部隊に襲撃の手引きをしたのだ?。」
 なるべく上腕の筋肉にかかる負担を軽減しようと、クレアは上体を持ち上げるようにしている。それにつれて首と鎖骨をつなく筋肉の緊張がおこり、力んだままでクレアの顔面は赤らんできた。
「だから、、、だから、私はただ兄のクリスを探しに来ただけなのよ、、!、それだけよ、頼むからそれ以上腕をひねらないで!」
「まだ余裕があるみたいだね、クレア=レッドフィールド。」
 そして彼はもう一度パネルを操作し、再び万力は回転を始め角度が300度に差し掛かった時点でクレアは咽の奥から押し殺ろした悲鳴を上げはじめた。
「き、やあああァァ、、。」
 回転が止まり再び手の甲が天井の方を向いたが、それは360度彼女の手首が回転したためであり、当のクレアは両腕の筋肉と筋が引きちぎれんばかりの痛みを与えられている。
 大学や趣味で行って入るスポーツでひきしめられた筋肉を総動員して両腕両肩の負担を減らすために仰け反り、色白の胴体にくっきりと肋骨の形が浮き上がらせ、腹筋の方も強くピンと張っている。
「ふむ、細い割になかなか綺麗な腹筋をしているじゃないか。硬さもなかなかある、、、。だがあまり動かない方がいいぞ。
 そうだ、こうしよう。」
 そう言うとアルフレッドは実験用らしい白い手袋をはめ、あらかじめ用意されていた200cc程の容量のビーカーに何か透明な液体をひたしてクレアのヘソの上においた。ビーカーのふちギリギリまで注がれた液体は、クレアの呼吸や筋肉の微動によって今にも溢れそうに波打っている。不安そうな表情を浮かべるクレア。
「あうぅ、何よ、そ、それ、、?。」
「あはは、良く聞いてくれたね。これは硫酸だよ。鋼でも白煙を上げるような強力なね。これが溢れたら、、、、
 大変だねえ、クレア=レッドフィールド、、、。」
「、、!!、止めて、この変態男、、!。後で必ず酷い目に会うわよ、、!。」
 痛みを軽減しようと力を込めている上体の筋肉をなるべく動かさないようにと、叫ぶ、とは言えない声でアルフレッドを罵倒した。
 だが痛みの所為もあるだろう、先程から異常は角度に両腕を捻りあげられているせいで指先に充分な血液が回らず、指先の感覚が少しずづ鈍くなってきている。
「おまえはまず礼儀作法から習った方がよさそうだな。脳みその出来も悪い、作法も悪いではまさに存在価値がないというものだ。」
 アルフレッドは注射器で硫酸を瓶から少し吸いあげると、クレアの胸の中心、ブラジャーのつなぎ目に一滴たらした。
 するとすぐさまパチン!とブラの細い帯びは切れて、クレアの形の整った乳房があらわになった。
 それだけでは止まらなかった硫酸の雫はさらにクレアの乳房の谷間の肌を焼き、ジュウジュウと濁った音を上げる。
「、、ク、ア、、ッ!。」
「ふっ、さて、尋問を続けようか。」
「頼むから、もう止めて、、、腕がちぎれるわ。」
「今度は一気に180度を行ってみよう、いいアイディアだろう。おまえの腕が何回転できるか楽しみだ、、、。」
「や、やめてェエ、ええええッェェッェ!?。」
 クレアの懇願の声は途中から悲鳴に変わり、万力と同時に手首が再び回転を始めた。クレアの両肘の筋肉の筋が小枝を折るような音をたて、そして両肩がゴキンとくぐもった音をたてて脱臼した。
「クウ、あああああァアアアアアアアァァァァァァァーーー!?。」
 万力はすでに最初から480度以上回転をし、早くも限界を迎えたクレアの両肘の筋肉の筋が一斉に、まるでポップコーンが弾けるような軽快は音をたてて次々とちぎれる。上腕筋の方もあともう少し捻りが入れば完全にちぎれるだろう。
「きゃあァぁぁ!、痛い、痛い!、兄さん、、、!うう、ああああ、あ!。」
 万力が回転を止め、540度回転した後には、クレアは両肘から出血をし両肩は奇妙なヘコみかたをしていた。
 すでに肩の関節は外れているのだが、肘の関節の方はずっと強度があるためにまだしっかりとつながっている。
 肩の関節がはずれているのに肘の筋肉の筋がいかれたのは、上腕筋の弾力が肘の筋肉の筋よりも強いためだ。
 両目からは涙があふれ、胸で大きな呼吸をしているものの、かろうじて腹筋の上のビーカーのバランスは保てたようだ。
 クレアの悶絶する姿を楽しそうに眺めていたアルフレッドは再び彼女の顔を覗き込み先程と同じ質問をくり返した。
「クレア=レッドフィールド、、、もう一度聞くぞ。お前は誰の為に働いていたのだ?。、、、言っておこう、今度もまた180度捻る。そしてその次の、またその次もね。確実におまえの筋肉はずたずたになり、二度と両腕を動かす事は叶わないだろう。」
 両腕から脳髄に直接響いてくるような激しい痛みの中でクレアの中で何かが弾けた。両腕を失ってもかまわない、もしかしたら命を失うかもしれないが少なくともこんな変態男に屈したくはない!。それが一時的な感情だったにせよクレアは涙まみれの顔を自分からアルフレッドの方に近付けると、壮絶な表情で叫んだ。
「だ、誰があんたみたいなひ弱で貧弱で、過去の栄光にこだわるような単細胞で異常で変態な最低男に負けるもんですか!。」
 そこまでをまくしたてるとクレアはアルフレッドに唾を吐き、荒い呼吸のまま睨み付けた。
 顔に飛び散ったクレアのだ液をゆっくりとした動作で払うと、アルフレッドは静かにほくそ笑みながら告げた。
「、、、ふふふ、後悔するだろう。今に許して下さいと言うようになる。」
 アルフレッドが再びスイッチを入れ、万力が回転する。万力が停止しては、また捻りを始めるという事をくり返す。
 まるで獣のような悲鳴を上げながらクレアが首を左右に激しく振るが、もちろんそんな事でこの縛めからのがれられる訳ではない。
 彼女の激しい動きで、腹筋の上の硫酸が少しこぼれだし、彼女の腹の上で白い煙りをあげている。両腕が引きちぎられる程の痛み、腹筋が焼かれる二重の苦しみでクレアの意識は混濁しだしていた。
 まるでボロ雑巾のように捻りあげられてゆくクレアの両腕は、螺旋状に寄った無数のシワからかなりの量の血を吹き出しはじめている。
 筋肉以上に弾力があり、非情に敏感な両腕の腱がバラバラに骨折してゆく骨の角に引き延ばされ今まで体験した事もないような痛みが連続してクレアを襲った。
「キャアアアァッァァァァァァァ、ウウゥゥ、ア、ギャウアああああッ!!。」
「はははア、ゴミ虫女でももがき苦しむ事は上手にできるようだあ、クレア=レッドフィールド!。ほうら、さすがにそろそろ腱の方もちぎれる頃だ。」
 アルフレッドの宣言したとおり、それから僅か数秒程の間を置いてクレアの両腕の腱がブチン、ブチンと断絶する音が一際大きく響いた。
「ア!!、アっ、、、!。う、腕、私、私の腕、、ああああァァァァっっ!!。」
「いい音だ、もう両腕は二度と使えないだろう。ククク、愚かなスパイに下される当然の罰の一つだァ。」
 それからさらにたっぷり5回転はしてから再び万力が動きを停止した時、彼女の両腕は見るも無惨な状況だった。千切れた筋肉があちらこちらからとびだし、何度も捻られせいで白い肌はあちこちが紫色に変色しだしている。
 腹筋の方も少量だが、クレアが暴れた為に溢れ出した硫酸が彼女のヘソの回りの皮膚を溶かし、筋肉がむき出しになっていた。
 激しく嗚咽するクレアの首筋に栄養剤と覚醒剤の一種を注射すると、アルフレッドは黒いベルトでクレアの両腕の付け根をきつく縛り、これ以上出血しないように固定した。
「ハア、、、ハア、、、わ、分かったでしょう、、?、私は、、、何も、知らないのよ、、もう放してよ、、あんまりだわ、、」
「何を言ってるんだい?、君の両腕は放っておいても直に腐り出す。そうなってしまう前に両方とも切断しておかないとね?。」
 両腕切断という台詞を聞いた途端、もう拷問は終わったと思っていたクレアの表情が一気に青ざめる。
「だが残念ながらこの我が美しい島にはノコギリやナイフなどといった野蛮な物は置いてない。メス位はあったかもしれないが
 先の襲撃で医務室は一部焼けてしまってねえ。で、替わりと言ってはなんだがこれで許してくれよ、クレア=レッドフィーフド。」
 そうアルフレッドは言うと懐から携帯電話程のリモコンを取り出して操作する。すると実験室の床の鉄で出来きている部分が扉の様に開き中から大型の野獣用の檻が競り上がってきた。檻の中には無数の何かの影がある。
 ゾンビ達だ。さらにアルフレッドがリモコンを操作すると檻の扉のロックが外れ、中から6体のゾンビ達がノソリノソリと出てきた。事態を理解しきれない、もしくはしたくはないクレアは恐怖の眼差しで自分に迫るゾンビの群れを凝視しするしかない。
「ふふふ、あのゾンビ達は元ここの施設の元囚人達で、脳髄にマイクロチップを埋め込んで外部から司令を与える事が可能になった作品だ。もともと優れた作品ではなかったが、ゾンビとなった今でもコントロールできるのだよ。不死者と言えども脳まで腐っている訳ではない、という訳だ。」
 6体のゾンビ達はクレアの左右にそれぞれ3体づつ回り込み、そこで動きを止めた。
「、、アルフレッド、止めて、こんなこと、許される事ではないわ、、こんな、恐ろしい、、。」
「許されない事だと!?、このスパイ女風情が!。貴様が我々アシュフォード家に対して働いた行為の方が遥かに
 許されない行為だ!。さあ、ゾンビ共、彼女の両腕を食い尽くすがいい。」
 アルフレッドのリモコンの動作と同時に、計6体のゾンビ達が一斉にクレアの左右の腕にかぶりつき、肉を食いちぎりだした。
 艶のある、健康的な赤色のクレアの肉がゾンビ達の口の中へ細切れになって少しずつ消えていく。
「ギャ、ギャ、ギャアあ、ギャアアア!!、止めて、、、いヤアア!、痛い、兄さん!、クリス兄さ、、ギャアアァァ!!!。」
 クレアは固定された上体で目一杯身体を捻るが、その反動でついに腹の上の硫酸のビーカーが倒れ彼女の腹全面から白煙が立ち上り始めた。硫酸がクレアの白い皮膚をジュウジュウと焼き、みるみるうちに筋肉が露出する。
 両腕の方も半分程で肉の五割を食いちぎられ、二の腕や皮膚の薄いところは石膏のように白い骨が見えだしている。
「ああアア、だ、タスケて!、、食べナイ、、、グィィィィ!!、ギャアアアアアァァアァ!!!。」
「大袈裟だね、クレア=レッドフィールド。、、、、、、ほら、終わったよ。綺麗なもんじゃないか、まるでウェディングドレスの様に白い骨だ。」
 ゾンビ達が唐突にピタリと動きを止めて、元来た野獣用の檻の中へと戻っていく。
 残されたクレアの両腕は、肩口に縛られたベルトから先が見事に白骨化し、殆ど血痕すら残ってはいない状態だった。
 クレアは自らの両腕の骨を信じられない、といったふうに充血した目を大きく見開いてみつめている。
「さて、クレア=レッドフィールド、なんとか喋る気になってくれたかな?、おまえがどこのスパイがいい加減言うんだ。
 そうすればあまり苦しませずに死なせてやろうじゃないか。」
「、、、、、兄さんが、、きっと、、、あなたを殺すわ、、、。きっと、、、。」
「兄さん?、ははん、そうかいそうかい。それは楽しみだ。クククククク、、、。」
 まるで何か面白い遊びを思い付いたとでもいうかのように甲高い笑い声を上げるアルフレッド。
「ところでだ、暴れたりするからお前の腹筋は硫酸でずいぶん酷い状態だよ。まあ、治療できない程の怪我じゃあないだろうが、しかしこうすると、、、、ククク。」
 アルフレッドはおもむろに手袋をはめた右手の人さし指をクレアの鳩尾の中央に当てると、力をこめて彼女の身体に爪先を押しこむ。
 硫酸によって筋肉の接合面が弱くなっており、アルフレッドの人さし指はクレアの腹の中にズブズブと沈みこんでいく。
「ヒうッ!?。」
 朦朧としていたクレアの意識が、腹部に走った新しい痛みで一気に覚醒する。彼女はすでに重傷であったが、先程注射された覚醒剤が彼女の意識をつなぎ止めるのに大きく役立っているようだ。
 楽しげな笑顔をニマリと浮かべると、アルフレッドは第2関節まで沈みこんだ指を、少しずつゆっくりとクレアのへソの下まで移動させていく。腹筋の盛り上がった山の部分を超えるたびにクレアが悲痛な叫び声をあげた。
 さらに鳩尾と下腹部を指で横に切れ目を入れるとアルフレッドは、クレアの腹部を窓を開ける要領で左右に大きく開いた。
 学校の理科室でよく見る人体解剖図のような感じで内臓がむき出しになり、内臓特有の腐ったような臭いがムワリとひろがってくる。
 アルフレッドはクレアのポニーテールを掴んで、彼女にも自分の内臓が見えるように頭を持ち上げた。
「あ、、、ああ、、止めて、もう沢山、、こんなんで私、これからの生活なんて、、、。」
 『生活』という言葉がでてくるという事はこのような惨たらしい姿になりはてても、彼女の瞳のどこかにはまだ生に対する固執がしこりのように残っているのろうか。それがアルフレッドには理解できない。
 クレアの頭を持ち上げたまま、アルフレッドはもう片方の腕でクレアの腸をおもむろに掴むと引きづりだし、彼女の乳房の間に積み上げて臭いを嗅がせた。すでに腹部にかんしては痛みという感覚が鈍り出しているため、クレアは悲鳴を上げなかったが、目の前に自分の内臓を積み上げらるという事実に頭が追い付いていない様である。
 その時、アルフレッドのリモコンが携帯電話の着信音みたいな音をあげ、リモコンの液晶画面に写し出された情報を見たアルフレッドはニッコリと笑みを浮かべた。
「クレア=レッドフィールド、君の兄、クリス=レッドフィールドがこの孤島に到着したようだ。」
 驚きの表情を浮かべたクレアは言葉を発しようと口を開けるが、口から大量の血を吹き出してむせる。
「グッ、ゲホッ、ゲホッ、あ、、兄さんが、、やっぱり、来てくれた、、、」
「、、、、本来ならばこのまま尋問を続けたかったのだが、たった今とても良いアイディアを思い付いた。クリス=レッドフィールドといえば資料によればかなりやっかいな人物らしいなあ。今のうちに始末するのが将来の為だな。」
「に、、、ゴホゴホ、兄さんに手出しなんか、、、させ、ない!。」
「ふっふふふ、おやおや、兄妹愛か。ま、理解できなくもないが。私も妹のアレクシアの事は心から愛している、、、。
 では約束しようではないか。私も、私の管理下のモンスター共も誰としてクリス=レッドフィールドに手は出さないと、、、。ククク。」
「、、、なんで、、すって、、、?。」
 アルフレッドの意外な発言に、一瞬痛みも忘れて怪訝な表情を浮かべるクレア。すぐに力尽きたように全身をダラリとさせて大きく胸を上下させるが、その瞳には僅かながら希望という名の光りが確かにともっていた。
 リモコンを懐にしまうと、アルフレッドはふたたび手術台の操作パネルのスイッチを押し。それにより、クレアの足を縛り付けている手術台の下半分が時計の針のように左右に大きく開閉した。当然、それに固定されていたクレアの両足も大きく左右に開く。
 クレアのパンティに手をかけると、アルフレッドはそれを引きちぎった。髪の毛の色と同じく少し赤みがかかった陰毛が姿をあらわし、当然股間の性器はむき出しになった。
「、、今度は何を、、するの、、。犯す気?、、、やっぱり変態ね、、。」
 この状態でまで強気な台詞を吐くクレアに、アルフレッドはクレアの膣道に中指をつっこんで引っ張り、始めて怒りをあらわにする。
「いいか!?、二度とこの高貴な私の事を変態呼ばわりするな!、この売女スパイが!!。」
 彼はクレアの性器のヒダの部分をこれ以上伸びない程にひっぱると、操作板の隣に硫酸の瓶と共に用意されていた無数の手術用の縫い針で足の付け根の皮膚に引っ掛ける様にして固定した。性器に鋭い痛みが走るたびにクレアは小さな悲鳴を上げる。
 アルフレッドは同じ作業を何度もくり返し、10数本の針によってクレアのヒダは完全に縫い広げられた。その為クレアの膣穴は、10センチ程奥の子宮の入り口まではっきりと観察する事ができるようになっている。
「なんだ、クレア=レッドフィールド、君は処女じゃないのかい。そんな器用そうではないのに。、、、ふふ、まあ豚はブタらしくオス豚と交わってれば良いのだ。」
 衰弱のために、恥辱で顔を染める余裕もなくなってきたクレアに、アルフレッドは満足そうにこれから行う最後の儀式について説明を始めた。その右手には最初の遭遇の時に使用した射撃用ライフルが握られている。
「さて、このライフルの中には弾が一発だけ入っている。このライフルを撃つ。当然的はお前だ。」
 するとアルフレッドは手術台のクレアから離れ、10メートル程離れた壁まで距離を取ると、そこでクレアの股間に向けてライフルを構えた。
 ライフルの上部の設置されたレーザーポインタはまっすぐに彼女の膣穴の中を照らしている。
「この弾は君へのプレゼントだ。この弾の中には私と、私の妹アレクシア二人で発見した新たなるウィルス『始祖ウィルス』のサンプルが注入されている。私が我々の愚かな父親にしたのと同じ実験をおまえの身体でも試してみようという訳だ。ククク。」
「い、言ってる事、、が分からない、、」
「直に、分かる!!。」
 充分に狙いをすまされた銃口から激しい破裂音と共に、ウィルス入りの強化プラスチック弾が飛び出す。狙い違わず一直線にクレアの膣穴に飛び込んだ弾丸は、彼女の子宮に命中し、衝撃波で周囲の細胞を破壊しながら腹の真ん中で停止しウィルスが拡散した。
 だが所詮は殺傷を目的としてはいないプラスチック弾だ、クレアの傷からは殆ど出血もない。
 アルフレッドはクレアの両足、両肩の戒めを解くと乱暴に彼女を床の上に突き落とした。その衝撃で腹の中に収まっていた腸の一部も外に飛び出した。
「、、う、クうう、、。あ、あなたみたいな人が、、人を、不幸に、す、、、するんだわ。」
「言っているがいい、クレア=レッドフィールド。所詮おまえもモルモットとして使われたにすぎない。リサイクルされる分感謝してもらいたいな。フフフ、ほら、そこの扉から外に出れるぞ。お兄さんに助けてもらうんだなぁ。あはは、アハハハハハッッハ!!。」
 狂気と例えるのが適切な笑い声を上げるアルフレッドを背後に、クレアはおぼつかない足取りで立ち上がり、溢れ出る内臓を地面に引きづりながら歩き始める。腹筋が分断されている為に直立する事ができず、老人の様に背中を丸めゆっくりとした速度でしか進めなかった。

 元警察の特殊部隊員だったクリス=レッドフィールドは欧米の都市に、アンブレラ社の極秘調査をすべく潜伏していたが、クレアの知り合いであるレオン=ケネディから連絡を受け妹のクレアが孤島から助けを求めている事を知った。
 すぐさま準備をすませ、クリスは孤島へとゴムボートで侵入する事に成功した。孤島はアンブレラ社の刑務所施設であるので、それなりの警戒をしての侵入であったが、施設は何者かの襲撃を受けたのかあちらこちらで赤い炎が上がっている。
 島のあちらこちらに徘徊しているゾンビ達が、この島で何かが、ラクーンシティの様な惨事がが起った事を物語っている。
 昼間だというのに空は分厚い雨雲で覆われており、クリスは何かとても悪い予感がしていた、、、、。
 直前に入手した資料によると、彼が今目前にしている施設はアンブレラ所有の刑務所のはずだ。しかしやはりその建物もいたる所から煙を上げている。
 クリスが建物を囲むコンクリート外壁まで来た時、正面の鉄製扉から何かが歩み出してきた。その緩慢な動作からまたゾンビであると思ったクリスは拳銃で警戒しながら良く見える位置まで接近する。そのゾンビは丸裸で両腕が切断され、腹部からは腸などの臓器を地面にこすりつけながら動いている。歩くのもやっとなのか壁に重心を預けながらやっと歩いているのだ。
 、、、、いや、ゾンビにしては何かがおかしい。弱よわしいながらも呼吸音が聞こえてくるのだ。肌の色も死者よりも張りがある。そして形の整った乳房、見覚えのある体型、ポニーテール、、、、、クレアだ!。
「!、ーーークレア!?。」
 目の前の無惨な女性が自分の妹である事に気付き、クリスは我が目を疑って駆け寄った。
「あ、、、クリ、、ス兄さん、、?、」
 クリスが彼女の身体に手をかけると、クレアは力尽きたようにその場に倒れこむ。クレアの背中を抱きかかえながら、クリスは酷く変わり果てた妹の姿に呆然とした。腹は腹筋を縦横に大きく切開され内臓が溢れ出している。両腕も肩から引きちぎられたようだが、ベルトで止血してあるところを見ると人為的に虐待されたのだろうか。
 しかし、いずれによクレアは瀕死の重傷だ。
「クレア、、クレア!!、しっかりしろ、俺だ、クリスだ!。、、、何が、一体何が起ったんだおまえに!?。」
「、、、クリ、ス、、来てくれる、、、と分かって、、た。」
 出血で目が良く見えないのか、眼球は焦点を定めていない。
 みるみる間に微笑むクレアの顔から生気が失われ、蒼白になっていく。一刻も早く設備整った施設で治療を受けなければ妹は、、。
「、、、わた、、、し、、ずっと、探して、、た、のよ、、兄さ、、、。」
「、、分かった、もう喋るな、クレア!、頼むから、、。待ってろ、応急処置をしてやるからな。」
 クリスはもう悟っていた。病院で治療を受ける前に恐らくクレアの命が終わってしまう事を。だがそれは認めたくなかった。
 兄を探していた結果クレアが死んでしまえば、間接的にだがそれはクリスが妹を殺したのも同然だ。
 とにかく、これ以上内臓が傷つかないように薄手の布でクレアの溢れ出した内臓を包み込もうとするクリス。
 その時、突然クレアが上半身を仰け反らせ苦しみはじめた。彼女の胸が内側から圧力をうけたようにいびつな形に膨らみ始めたのだ。
「グあ!!?、は、、、は、、、い、息が、胸が、痛い、、!、兄さん、クリスにいさ、、」
 本能的とはいえ、危険を感じたクリスは妹を支える腕を放してしまった事を後でも後悔している。兄として失格だと。
 クリスの目の前で、愛しい妹は悲痛な叫び声をあげながら見る見る変形していく。大開きだった腹の傷はあっという間に癒え、両腕の切断面からは新たな骨と肉が再生している。それと同時に彼女の背中はもりあがり、全身の筋肉も強く発達していく。
 両腕は人間の腕の形を一瞬だけみせると、そのまま変型をつづけてコウモリの様な羽へと変化した。
変形が終わった頃、もうそこには人間の少女のクレア=レッドフィールドは存在しなかった。
 女性のラインを基調とした灰色のボディーライン、両肩と背中から計4枚はえたコウモリの羽と天使のような羽。
 頭部は以前のクレアとほとんど同じだが、瞳が赤外線の様に赤く明滅している。他者が見ればあるいは美しいと表現した姿かもしれない。
 アルフレッドによって注入された『始祖ウィルス』によって、クレアはゾンビやタイラントと同様のクリーチャーに成り果ててしまったのだ。すべてはアンブレラの巨悪の鱗辺なのか、、、。クリスにアンブレラに対する、妹にこんな惨い事をした人物に対する強い怒りが沸き起こってきた。
「ア、アンブレラめェえええええええええええッ!!!!。」
 彼の叫び声と同時、クレアは空中へと舞い上がり、カギ爪となった足の指でクリスに踊りかかる。辛うじてそれを交わした彼は足のベルトに止めてあった大型拳銃を右手に取るが反撃はできない。
 立て続けに、この世のモノとは思えない悪魔のような叫び声を上げてクレアは次々と攻撃をしてくる。何度か射撃の機会があるにもかかわらず発砲できないのは、クリスの中に妹をまだ助ける事ができるかもしれないという僅かな希望があったからだ。少なくともクレアの肉体はもう瀕死の状態ではないようだ。
だがこんな姿で妹が生き続けて、それは誰にとっての幸せなのか?。所詮はアンブレラに実験体として利用されるだけではないのか?。、、、ましてクレアの幸せなどでは、当然ない!。
「うおおおおおおッ!!。」
 雄叫びと同時、クレアの足首を掴んだクリスは、そのままクレアを地面に叩き付けようとする。だがクレアの力の方が遥かに強く、彼女はクリスを足にぶら下げたまま空中に舞い上がった。
 刑務所施設の屋上にたたき落とされ悶絶するクリス、急降下をしてとどめをさそうとするクレアの一撃をすんでのところで避した。謎の部隊の襲撃で構造が弱くなっていたのか、施設の屋上の床の一部がクレアの一撃で崩壊し、彼女は片足をコンクリートに埋め込んで動けなくなる。
 とっさに周囲を見渡したクリスは、クレアの真横に大型のボイラーを見つけた。ボイラーには『高圧力・危険』の警告文がはりつけてある。クリスがそれをめがけて拳銃を連射するとボイラーが大爆発をおこし、クレアの巨体を地面へと吹き飛ばした。
 それで全てが終わった。地面の上に倒れたクレアには、ボイラーの巨大な金属片が何本も突き刺さっており再生もままならない状態である。それらの金属片を抜き取ってやると、クリスは拳銃の残り弾をすべて彼女の胸に打ち込んだ。
「クレア、、、許してくれ、、、俺がふがいないばかりに、、、。」
 クリスの腕の中に抱かれたクレアの姿がみるみる元の人間の姿に戻っていく。拷問された傷は癒えていたが、怪物と化した後のダメージはそのまま身体に刻まれたままだ。
 しかし、すでに事切れているクレアの表情はどこか穏やかであり、それだけがクリスにとって唯一の救いでもあった。
 物言わぬ骸となった妹を強く抱き締めると、クリスは改めてアンブレラ社に対する宣戦を自らに布告した。
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