前置きがスゲー長いです。拷問させるからには世界観も知りたいという方以外は少し飛ばしても大丈夫す。


原作・フロントミッション3



 西暦2112年 OCU日本、摩南諸島沖
薄暗く陰湿な、そして圧倒的な質量の海水を掻き分けて一隻のステルス軍用原子力潜水艦が日本国海域深度400メートルを潜行していた。
 古さびた鉄板で囲まれた狭い部屋の中、USNアメリアカの科学者エミール・クラムスコイは軍用潜水艦に設けられた『私室』に3日以上監禁されていた。左右に分けた短い金髪に、ロシア系女性特有の華奢な童顔からはとても想像できないが、22歳という若年でUSN軍科学研究所の所長という重役に抜擢されている程の優秀な頭脳を持った研究員であるのだ。狭く、イオン電球一つの明りの部屋の中唯一生活感を感じさせる簡易ベッドの端にエミールは祈る様に額の前で掌を組み合わせ腰掛けている。波にもまれて揺れる海上船と違い、潜水艦は大きく揺れる事はほとんどない。だが殺風景な金属板むき出しの狭い部屋に、『考える為の時間』を与えられ何日も閉じ込められ精神的にも少しめいってきていた。
 エミールを監禁している組織は、彼女の頭脳に納められたUSF軍最高軍事機密を目的としているのだが、彼女はそれを口に出す訳にはいかない。複数の連合軍に追跡され流石に切羽詰まっている彼等はそろそろ強引な手段を使ってでもエミールの口を割らせようとしているのは明白であり、彼女はその時を恐怖心と戦いながら待っているのだ。
  
 『西暦2112年、世界は新しいフェイズを迎えていた。人類はその領域を太陽系にまで広げ、情報ネットが世界をくまなく駆け巡る時代。だが強力な重力という足枷が存在する地球においては旧世紀において延々と行われてきた紛争という愚行が、あいも変わらず人類の歴史を刻んでいた。核兵器開発以来人間は大量虐殺兵器を発明してはいなかったが、2111年にUSNニューコンチネント合衆国アメリカの軍事科学研究所(所在地アラスカ)において画期的な新型爆弾が開発されたのだ。
核兵器は基本的には使えない兵器である。何故ならば原子爆弾や水素爆弾といった核兵器は威力は凄まじいものの、放射能という目に見えない驚異が敵国はもちろん、投下した当事国にすら及びそして数百年に渡って放射能は生物界を遺伝子レベルでの渾沌に貶めてしまうからだ。この「放射能」という恐ろしい福次効果が世界の軍事国家にその使用をためらわせていたのだが、今回開発された兵器はその点が画期的だった。
頭文字を取って「MIDAS」(物質放射型分離加速システムの略)と呼ばれる新型爆弾は、威力こそ核兵器よりも多少劣るものの放射能を一切放射しないという点が異なっていた。具体的には金原子核線という原子の結合分離が行われ、爆弾が起動すると目標は原子レベルで分解されてしまうのだ(文字どおり消滅してしまう)。この悪魔の兵器の基本理論を完成させたのがエミールというロシア系アメリカ人の女性化学者であり、この理論を完全に理解しているのは現時点では彼女一人であった。この新技術を平和利用に、という彼女の当初の意志とは裏腹にすぐにも金原子核線の兵器転用が国防総省で決定され、完成したMIDASのプロトタイプは劇的にも他国により奪取されその驚異は世界を巻き込みつつある。すでにMIDASの不完全なコピーが使用され、日本の横須賀基地とフィリピンのダカール市が消滅するという悲劇が起きてしまった。、、、そしてこの知識の為にエミールは様々な困難に直面し、そして今その完全なる知識を求める者によって捕らえられ、監禁されているのである。エミールは絶対に、例え命をとしても機密を口から漏らす訳にはいかないのだ。

 監禁室に向かう複数の足音が反響して響き、エミールは直感的に来るべき時が来たのだと深く大きな呼吸をした。
日に一度だけ運ばれる味気ない固形食品は常に一人の兵士によって運ばれていたが、今回は監禁室に向かう足音は2つでありこれはすなわちエミールを監禁室から別の場所へ移動させる為なのだと彼女は理解した。
USNアメリカ本国を離れる際に彼女はMIDASの起爆の鍵となるレーザー照射器、金原子核線の安定値等のデジタルデータは全て
消去してきた。
((重要機密に関わる人間は秘密を口外しないようにマインド・セキュリティーという一種の催眠術がかけられている。
自白剤や誘導尋問等で機密を漏らす事は無いが、本人が"理性的"に「話そう」と頭の中で順序だてれば喋る事はできる。
だからうっかり他人と話していて機密を漏らす、という事はない。))
ガチャン!、という音と共に部屋の扉が開け放たれ2人の兵士がエミールの監禁されている部屋に入ってきた。
緊張した表情を浮かべてエミールは長身な兵士達を見上げた。
兵士「クラムスコイ女史、ルカーブ様がお呼びです。」
機械的、そして一方的な言葉を発し、彼女が反応を示すよりも早く兵士達はエミールの両脇を抱えて部屋から引きづり出した。
無駄とは分かりつつも身じろぎするが力の強い兵士達相手にはビクともできない。、、、ついに始まる、、、、。
すでに他界している両親に勇気をくれるようにと祈りを捧げるが、エミールの心臓は弾かれたように上下に鼓動して呼吸が
荒くなり、両方の手のひらは汗にまみれ始めていた。

 薬品の臭いが鼻を突く一室にエミールは連れてこられると、抵抗する事もできずに乱暴に衣服を剥がされあっという間に全裸姿にされ
床にボルトで固定された手術台にベルトで拘束されてしまった。ダークトーン一色の潜水艦の医務室の中でエミールの白い身体が一輪
の白百合の様な存在感を放っている。
数人の兵士達の中から一際背の高いリーダー各らしいオールバックの男がゆっくりと歩み寄り、恐怖と戦っているエミール童顔を愛しい者にするように撫でた。
感情を必死に押し殺した瞳でその若い男を見つめ返すエミール。男は驚く程に整った顔をしており、いかにも沈痛であるといった感情を込めていた。演技であるだろうが。
ルカーブ「エミール、もう一度聞こうか。私が知りたいのはただ一つ、MIDASの核線安定値だ。ヨコスカやダカールの様な不完全なMIDASは何時に暴発するか分からない。」
エミール「あ、あなたは約束したハズよ。私があなたと一緒に来ればもうMIDASは製作しないと。あれは悪魔の力、人の手には余る力なのよ、分かってルカーブ。」
プログラムされた様な穏やかな口調のルカーブにエミールは努めて平静な眼差しで応じようとしたのだが声は半分上ずり、顔も蒼くなっている。
彼女は一応軍属の人間ではあるがあくまで一般研究員であり、戦闘員のように拷問に耐える為の特殊処理などされてはいない。
ルカーブ「だからこそだ、エミール。人間は我々やお前の様な優れた新人類によって管理統率されなければならない。そしてMIDASは確実に旧人類の手には余る代物、その知識は新人類たる我々だけによって補完される必要があるのだ。MIDASという驚異を前にすれば旧人類も無駄な抵抗をしようとはせずに、新たな主人に服従をできるであろう。平和的なやり方はエミール、おまえの望むところの筈だったな。」
そう、ルカーブやエミール、そしてこの潜水艦に乗り込んでいる全ての兵士はラーブヌイ共和国(旧ロシア)の国営研究によって誕生した新人類なのだ。知能、身体能力、容姿において普通の人間よりも遥かに優れた人種をつくり出そうとした結果が彼等なのだ。(イマジナリーナンバーと彼等は呼ばれる。)
そして彼等は遺伝子的に劣る人類を支配するべく、MIDASの一見以降巧みに各国を利用しきたのだ。この潜水艦は今、唯一存在する最後のMIDASを回収、もしくは破壊するために日本の沖縄海洋都市を目指している。このオリジナルさえ他国の手に渡らなければ後はエミールの知識以外にMIDASの製造法は全く分からなくなるのだ。
エミール「平和的?、ミ、MIDASの恐怖で人々を押さえ付ける抑止力が平和的だなんて思えないわ。あなたも私も、皆同じ人間。あ、過ちが起らないという保証はないのよ。ダカール市の有り様を一緒に見たでしょう?、考えなおして、ルカーブ、、。」
震える唇を必死に制御しながらも気丈に相手を説得しようとするが、ルカーブ達イマジナリーナンバーは自分達の革命にあくまで純準である。
ルカーブ「フウ、、、そうか。君も所詮は失敗作。OCU軍やUSN軍も本格的に行動を開始する、我々には余裕を見せる時間などないのだ、強引な方法を取らせてもらう。ロザヴィア!。」
兵達の傍らからロザヴィアと呼ばれた長身の若い女兵士が前に出てきた。青い瞳以外、髪も肌も真っ白な絶世の美女だが、彼女もルカーブに絶対服従のイマジナリーナンバーの兵士である。
ルカーブ「ロザヴィア、ここはお前に任せる。殺さなければ何をしても構わん。明朝までに確実に吐かせろ。」
ロザヴィア「了解しました、ルカーブ様。」
ロザヴィアの敬礼に会釈で返すとルカーブは雑用があると告げて、兵士達と共に部屋を出て言った。医務室には縛られたエミール、女兵士ロザヴィア、兵士が二人の計4名だけである。美しいコバルトブルーの瞳でエミールに一瞥をくれると、二人の兵士に何かの準備を指令し、彼等はまずエミールの頭をを手術台に金属製機具で動かないように厳重に固定し、続いて兵士達は医務室の一角のチタンボッスに納められていた手術用電動ドリルを運んできた。
不安と恐怖で大きな瞳を皿の様に広げるエミールの頭を金属製の台に固定すると二人の兵士はドリルを台に取り付け、エミールの頭部にドリルの
先端をあてがう。アダプターに接続された装置の先端の細長い小型ドリルがモーター音をたてて高速回転を始め、兵士達が装置のレバーを操作するとドリルの先端が、シュイーンという音をたててエミールの頭蓋骨にめり込んでいった。
エミール「う、、クゥ、、。」
ドリルはエミールの頭皮を一瞬で切り裂き、頭蓋骨すらものの数秒で貫通してしまう。頭に空いた小さな無数の穴から血が額を伝って流れるが、この行為事態はエミールにそれほどの痛みは与えていない。むしろドリルの先端が脳を傷つけないかという事が彼女には恐怖である。
続けて兵士達は彼女の頭の無数の穴に極細い針を深々と差し込んでいく。針からは光りケーブルが生えておりその端は手術台の片隅の
ラップトップ・コンピュータに接続されている。
エミール「あァっ、、ひいぃ、」
実際に脳そのものに痛覚はないので苦痛はまだないが、頭の中に異物を挿入される圧迫感と目眩がエミールを襲っている。
兵士達はエミールが暴れても針が抜けたり脳を傷つけたりしないよう瞬間接着剤で穴の周囲を固める。
頭部につづいて首筋に太めの注射針を挿入する。尋問中に衰弱死しないように生物学を駆使した生命維持液が点滴されるのだ。
これらの作業を終えると兵士達は天井から伸びた人形兵器ヴァンツァー牽引要チェーンでエミールを万歳をする姿で吊るし上げた。
冷やりとして冷気が細長いエミールの脚を伝い登ってくる。股間を大きく開く姿にされて彼女は僅かに顔を赤らませた。
そしてロザヴィアはケーブルの反対側に接続されたラップトップコンピュータを起動させる。
エミール「、、まさか、この頭に接続したケーブル、、、、」
ロザヴィア「さすが、イマジナリーナンバーの端くれだな。恐らく貴女の予想したとりのモノだろう。」
コンピュータのキーを軽快に操作すると、ロザヴィアはエミールのむき出しの太ももを爪を立てて軽く引っ掻いた。と、その途端エミールの太ももに凄まじい激痛が走った。
ただ軽く触られただけだというのに、焼けた鉄の板を当てられたかのような激痛が走ったのだ。
エミール「、、っキャア!。」
ロザヴィア「ふ、、、良く出来たソフトだな。御存じだと思うがこれは拷問用アプリケーション『ゴウモン君』だ。ふざけた名称だが、製作した人間が頭の狂しい日本人だというのだからな。ちなみに今のは痛覚5倍だ。
こいつはプログラムが改造してあって最大で40倍まで痛覚を鋭敏化できる。」
そう言ってエミールの目の前で小型の端末のメモリを見せるロザヴィア。
恐らく多少コンピュータに詳しい人なら聞いた事はあるだろう有名な拷問ソフトが『ゴウモン君』だ。脳外科技術で頭に穴を開けなければならないので誰にでも使用できる訳ではないが、その効果は恐ろしいものだ。脳細胞のシナプスを制御して最大で対象者に通常の20倍もの痛みを感じさせる事ができ、さらに簡単に発狂、気絶またはショック死したりできないようにする機能も付いている。国際法で使用が禁止されているソフトの一つだ。
ロザヴィア「始めは10倍から尋問を開始する。実際にこれを使用するのは始めてだがな。」
一通りのソフトの設定を終わらせるとロザヴィアは戦闘服のポケットに差し込まれていたやや細めのペン状の物体を2本取り出してエミールの目の前にかざした。これで眼球でも抉るつもりだろうか。
エミール「、、、、な、何?。」
ロザヴィア「ーー起動。」
ロザヴィアの声に反応する様に2本の棒状の物体はまるで生き物の様にその銀色の細身をくねらせはじめた。
ロザヴィア「これはウォームという本来スパイ専用の小型ロボットだ。地面やコンクリートすらも先端のプラズマ採掘装置で粉砕しながら前進し、必要な情報に到達する。これはそのウォームを改造した物でプラズマ採掘装置のかわりに小型ミキサーを先端に取り付けてある。」
さらにロザヴィアがウォームの尻の部分にあるスイッチを押すと、尖った先端から何本も突き出した超小型ドリルが生き物の泣き声にも似たキシューという音をたてて回転を始めた。2本のロボットは蛇の様にロザヴィアの手のひらから飛び跳ねるとエミールの白い身体に張り付き、彼女の胴体を螺旋を描きながらシュルシュルと素早く動き回りだした。
エミール「キャあ、あぁ!。い、いや、気持ち悪い、、、なんなの、、。」
もともとエミールは神経の敏感な体質だ、皮膚を駆け巡られる嫌悪感に全身の毛穴という毛穴が一斉に起立する。
ロザヴィア「始める前にもう一度だけ聞いておく。MIDASの秘密について陳述する気はあるか?。さもなくば2匹のウォームはつま先からお前体内に侵入し、死ぬまで筋肉、脂肪、骨、神経と構わず食い荒らす。さらにその痛みは全て10倍に増幅される
、それに耐えられるか見物だな?。」
それを聞いたエミールは一瞬息を飲み顔から一気に血の気の表情が消え失せ、唇が小刻みにハッキリと震え出した。
エミール「、、、言えないのよ、どうしても言えない。わ、分かるでしょう?、あなたにも。あれは危険なのよ、私はアレを創るべきじゃなかったの、、。ご、拷問しても無駄だから、そんな非人道的な事はやめて、、。」
ロザヴィア「おまえに選択肢の答えは一つしかない。すぐに口を割る事になるだろう。さあ、ウォーム、食事の時間だ。」
半分泣き声になっていたエミールの懇願には耳を貸さず、ロザヴィアが尋問開始を告げると同時に2本のウォームは一斉にエミールの長い両足をスルスルと這い降りていく。そして、、
エミール「は、大丈夫、大丈ぶ、大丈ブッ、、、、き、きゃあああああああ!!!、か、ひいゃあああああっ!!!。」
エミールの脚の第1指と第2指の間の薄い肉を一瞬で噛み切り、ウォームは細い胴体をうねらせながらジワジワと彼女の両方のつま先へと侵入を開始した。
今までに経験したどんな痛みにも勝る激痛にエミールはその細身を背後に仰け反らせて絶叫した。
ウォーム達はつま先の骨と骨の間肉を喰い破る。
それも一直線に足首を目指さずに、足の周囲(皮膚の真下)を数ミリという幅でゆっくりと螺旋を描きながらエミールの肉を喰いやぶっている。
エミール「きギャアッぁああああ!!、キャうぅ!、き、ぎゃあ、ギぃあああああああああああ!!、いた、痛いぃい!!」
脚の先から脳天にかけて電撃のような痛みに、強風に呷られる衣服にようにエミールは全身をくねらせた。
ロザヴィアが何やら手元のリモコンを操作すると足首まで到達たウォーム達が、今度は
エミールのヒザ骨の周囲を螺旋を描きながらだんだんと股関節の方へと登っていく。そのペースは際程よりもさらに遅く、螺旋と螺旋の幅は
1~2ミリ程度であろうか。
もちろんただ純粋に骨の周囲の筋肉を破壊するだけでなく同時に神経の一部を削り落としながら前進しているのだ。
神経を刺激するのはただでさえ相当の痛みなのに、2匹のウォーム達はその神経を喰いやぶり、さらにその痛みは10倍に増幅されている。
神経を傷つけられるたびに体を仰け反らせエミールが悲痛な叫び声をあげる。
エミール「ぎ、ギャあアアァァアアアあああああ!!、ギひっ!!、あ!ア!!、、脚が、きゃああああぁぁぁぁぁぁあああ!!。」
およそ10分後、膝の皮膚、神経をあらかたズタボロにしたウォームはさらに太ももへと喰い登っていく。そして複数の筋肉が束となる
太もものそれら一つ一つの筋肉の周囲を複雑な曲線を描きながら(外からは分かりにくいが)、ジワリジワリとエミールの
股関節部へと登りつめていく。筋肉から切り離された膝から下の皮膚は血の色に紅く変色し、まるで赤のタイツを履いているいるようにも
見える。
エミール「あぁヒぃいいいいいいぁあああ!、ぐあうっ、うあっ、うあっ、が、ギいいきゃああぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ウォームがエミールのスネ、膝、太ももへと上昇していく様子は皮膚がロボットに圧迫されて生じる螺旋状のフクラミではっきりと観察する事ができた。天井に向かって叫び続けるエミールの悲鳴が鉄製の医務室の中に乱反射して複雑なソプラノコーラスを構成するが、借りにこのコーラスにタイトルをつけるとすれば「悲鳴」意外は思い付かないだろう。
腰骨と脚の骨の付け根である大転子からウォームが皮膚を破って外部に再び姿を現し、すぐさま今度は脚の付け根からつま先へむけて
表面から皮膚を喰いやぶりながら螺旋移動へと移行する。
エミール「ぎ、ギャあっ!、や、やめでぇぇぇ、とめで!、シぬ、あああぅ!、あぁァアアう、イダい、いぎヤああああぁあ!!。」
殆ど絶叫と区別できない懇願の声を上げるエミールをロザヴィアは完全に無視している。ある一定まで痛みつけるまでは
ウォーム達の行動を停止さえるつもりはない、尋問の主導権が彼等にある事をまず体で教えなければいけない。
リンゴの皮を剥くようにシュルシュルとエミールの皮膚が絶える事なく細い糸状になりながら床の上に蜷(とぐろ)をまいていき、喰い破られた皮膚の下からは鮮やかなピンク色の筋肉が少しずつ露出していく。
一旦ウォームに指令を出せば後は観測する意外に特にする事のないロザヴィアは口元に指を当てながら頭を激しく振り回すエミールを感情の無い眼差しで見つめている。
外からは分からないが、コンピュータにのメモリーに記憶された”痛み”のデータは一過性ではなく連続してエミールの脳に送信され
続けている、つまりつま先を喰いやぶられてから神経をボロボロにされるという今まで全ての痛みが消える事なく彼女を苦しませ
続けているのだ。当然時間が経てば経つ程痛みは増大していく、、。
エミール「イダぁ、痛イ!、痛い!、イタイッ、いいいィイ!!、シぬっ、くは!!、ひヤあァああっ!!。」
人好きのする愛らしい顔を激痛みに歪め、涙を流し口からは唾をまき散らすエミールの姿は普段の物腰の穏やかな彼女からはとても想像はできないだろう。
むき出しの艶のある脚の筋肉を激しく動かし彼女は暴れているが、コンピュータ制御で正確に皮を剥がされている為か出血は思った程の
量ではない。
下半身が張り裂けるような痛みは一時も衰えたり緩和する事もなく連続的にエミールの脳に送信され続け、最先端技術なしには体験しえない強烈な激痛を維持させている。約20分の時間をかけて足首までの皮膚を完全に剥き終えた時点で一旦ウォームの動きをリモコンで止めると、ロザヴィアは頭を落とし激しく胸を上下させ嗚咽しているエミールに近寄ると再び先程と同じ質問を繰り返した。
ロザヴィア「エミール・クラムスコイ、言え。そうすれば終わる。」
エミール「ハアッ、ハヒッ、ハアッ、ハアッ、ア、このロクデナシ、、あなたも、おん、な、でしょう?、ハッ、ハッ、もう、やめて、、。どんなに、い、痛めつけら、れても言えないモノは言えないのぉ、、どうしても駄目なのっ、、い、痛いからぁ、もう、やめてぇ、、」
泣き声で強情を張る相手に対し顔色一つ変える事なくロザヴィアはエミールの太もものむき出しの筋肉の谷間に手を伸ばすと、ありったけの力を込めてひっかいた。
エミール「!、ギィっいいいいぃいいいぃぃああああ!!!。」
ロザヴィア「貴女の意見など聞いてはいない。私の質問に素直に答えろ。さもなくば次は両腕、そして胴体だ。下半身より上半身の
方が神経は敏感だ。」
無言のエミールを待つが、まだ気力が残っているようだ。もう少し気力を削ぐ必要があるようだ。
再び操作されたリモコンの指令に応じてウォーム達はシュルシュルと真っ赤な両足を登り、エミールの脇の皮膚の下を
滑り抜け両腕の付け根に達すると、両足の時と同様に筋肉の束の隙間を、神経を、皮膚を喰い破りりながら指先目指して
螺旋運動を開始する。激しくもがいているため相当の疲労があるはずだが、地獄の痛みに疲れも忘れてエミールは
体をくねらせ続けた。
二の腕の筋肉がほぼボロボロになった頃合を見て、ロザヴィアは痛覚レベルを10倍から20倍まで
一気に操作すると、一際大きくエミールが上体を反り返らせた。
エミール「ウギッがっッ、、、ぐいぎぃ!!??、」
一瞬の内に20倍に増大した痛みに理性が付いていけなかったのだろう、たっぷり10秒近く体を硬直させると
以前にも増して凄まじい絶叫と悶絶のダンスが再開された。
エミール「きゃアアアアアァア!!、ヒィイイア、アアッ!、ちぎれル!、ぎぃいぃ!!、マ、ママッ!、、グッヒァア!、ギアア!!」
 両親と生き別れ、アメリカでUSN軍に所属した今まで寂しさを論理や理想であやふやにし、強い女性を演じてきたが内面は
非情に脆い女である、エミール・クラムスコイは。その薄っぺらな強がりは拷問で剥がされ、死んだ親に助けを求める
彼女にロザヴィアは僅かな苦笑を浮かべた。
エミールはと言えば平和利用という名目で[寂しさを忘れる為に没頭して]MIDASという兵器の原理を発明したが、
その兵器利用された時の驚異に責任を感じてルカーブの「MIDASを破壊する」という言葉を真に受けて大韓中(中国)
まで彼等と行動を共にしてきた。
だが途中日本人のタケムラという青年に感化されて逃亡し、妹を殺すと脅されば再びルカーブの元へ戻ってきた。
そのくせいざ戻ってくるとやはりMIDASの機密は喋れないというのだ。今拷問されている原因は全て自分で
作ったのだ、その優柔不断で理解できない行動、ロザヴィアに言わせればエミールはイマジナリーナンバーの恥、
道化である。
 両腕がグチャグチャの筋肉剥き出しの状態になると再びロザヴィアは機械的に先と同じ質問をくり返す。
ロザヴィア「MIDASの安定値、それを言えば苦しむ必要はない。どの道最後には吐かねばならないのだ。尋問が長引けば
維持装置が付いているといえど脳に深刻な障害が残るぞ、どうする?、言って楽になるか、一生精神病院で過ごすか。」
ガックリとうなだれるエミールの前髪を掴んで睨み付けるが、彼女は何かブツブツと呟いているだけで返事をしない。
エミール「、、、私が、、、なのに、、、から、、もう絶対に、、、には、いかない、、、」
チッと舌打ちして発狂させたてしまったのかとコンピュータの脳波データを見るが、激しくβ波やα波が発生しているが
発狂した訳ではないようだ。
ロザヴィア「、、この後に及んでまだ現実逃避か?、理解できないな、その先にあるのは終わりの見えない苦痛だけだというのに。
それに、、、こうすれば外部から直接"現実"に連れ戻せるのだぞ。」
ロザヴィアがコンピュータのディスプレーを操作すると、エミールの脳のシナプスの流れが強引に変更される。
再び激痛の中に連れ戻されたエミールは悲痛な絶叫を上げた。
 それから再びウォームにエミールの両足を責めさせる。今度はつま先から太ももの真ん中までを完全に白骨化するまで肉を削り
取った。大量出血も脳にアポトーシス(細胞懐死)の指令を出させ最小限に押さえた。
控えの兵士に足の切断面をバーナーであぶらせ、さらに責めを続行して背中の筋肉、神経もズタズタに喰い荒らして
いったがエミールの口からは屈服の返事が出る事はなかった。
 
 背中から脇の下の皮膚を潜行してきたウォームはエミールの両方の乳房の中に潜り込み、乳首を喰い破って出現すると
外側から乳房を根元まで削り落としていく。間隔が敏感な乳房をおろされる激痛に一際大きな悲鳴を上げるエミール。
絶えず絶叫を上げ続ける彼女の咽は内壁がボロボロになり吐血し、悲鳴も最早老婆のようにシャがれてきていた。
そして皿の様に見開かれた両目の縁は切れてそこからも出血している。まさに満身創痍だ。
エミール「ッギャアァァアア!!、ヒギィイイイイ!イ、ギャ、ギャゥウウウっ、タすけ、!!、ダすけでッ!!、ビぎゃいいいい!!」
医務室の床といい壁といい、血と脂肪でピンク色に濁った肉汁をまき散らしてエミールの乳房は跡形もなく剃り下ろされた。
休む隙なくウォームは彼女の体に再び潜りこむとダメージの小さい腸にトンネルを作りながら降下すると、肛門から現れ
そのまま彼女の秘所まで移動するとクリトリスを喰い破りながら再び体の中に潜り、女性の体の中で最も鋭敏な部位の
一つである膣の内壁を螺旋移動で破壊しながら子宮にせまる。
その激痛に腰を激しく振ってもがき苦しむエミールの血液がロザヴィアの白い顔に飛び散り、紅い筋を引いて垂れていく。
ロザヴィアがちらりとコンピュータの画面を確認すると、エミールの最後まで抵抗を続けている精神の壁が崩壊寸前で
ある事が分かる。
そこで一旦ウォームの動きを停止させると、鋭敏にしていた痛覚の信号も一切を停止させた。
それより少しタイミングを遅らせてエミールの口から流れていた悲鳴を細長い尾を引きながら消えていった。
エミール「ギャガアガガガッ!!、ギぐ、ぐ、ひゃうぅう?、、、、、あ、ぐ、、、、、」
ここまでで2時間もの拷問が行われている。だがあれ程の強い決意を持って拷問に臨んだというのに、想像を絶する責めに
エミールの精神力は限界の寸前まで追い詰められていた。もう駄目だ、、後20分も責めを続行されたら自分は確実に口を
割るだろう、だったらそうなる前に殺してほしかった。
エミール「ガハ、、ころ、しなさい、、そうすれば、もう誰も、、MIDASを作れ、、ないわ、、もう、責めにも、
た、耐えられない、。」
ロザヴィア「そうはいかない。例え我々が所持する不完全だが唯一のMIDASがあっても、一度使用してしまえばそれ以上の
戦略的意味も、まして抑止力にすらなりはしない。寿命の短い我々にはMIDASの占有が今必要なのだ。」
医務室の縦長の台座付きの鏡をエミールの前に持ってくると、背後から頭を掴みボロボロになった自分の姿をエミールに
よく見させる。
そしてエミールの耳もとに顔をくっつける程接近して囁くように質問がくり返される。
ロザヴィア「よく見るといい、エミール・クラムスコイ。お前の体は生命維持装置がなければすでに死んでいても不思議が
ないダメージを受けている。だが逆を言えばこの装置がお前に接続されている限り、心臓と脳さえ無事なら半永久的に責めを
行う事ができるのだ。この意味が分かるか?、もし今機密を教えれば苦痛はそれまで。望み通り楽にしてやろう、、。
だが最後まで強情を貫くなら施設の地下に監禁し、今までの激痛に残りの人生何十年も責められながら生きるのだ。」
鏡に写ったボロボロの自分の姿を見てエミールの顔に一気に絶望の表情が浮かび上がる。目から恐ろしさで涙が溢れだした。
今自分が口を割れば、私の死にさらに大勢の人が死ぬ。だが喋らなければこの拷問の地獄が無限に等しい時間も続けられる
のだ。
後、もう一押しで恐怖に決意が押しつぶされる。
ロザヴィア「まだ足りないというのか?、解せん。おい、ナイフを。」
控えの兵士がロザヴィアの言葉に応じて大振りのセラミック・ナイフを渡す。それをロザヴィアは
エミールのへその下辺りに根元まで深々と突き刺し、さらに柄を左右に激しく捻りを加える。
エミール「グはっ、、!、あう、あぅうううぅう!、、、」
ナイフを抜いた腹部の穴からは腸の一部がはみ出していて、命じられた兵士は手で掴んで引きずり出した。以外と腸は細い、せいぜい
人の親指程の太さだった。
エミール「あっ!、あっ、あぁぁぁぁあ!、あ、いや、、やめ、、やめ、、!」
内臓を引きずり出されるショッキングな出来事に動揺して言葉にならないエミールを無視し、兵士は鉄パイプに
エミールの腸をローラーの容量でグルグルと巻き取っていく。
エミール「はギャ、ハぎ、や、ひやあ、うぁぁぁ!」
無意識の内に腰を大きく突き出して巻取られる腸の速度を相殺しようとするが、もちろん全く意味のない行為だ。
ウォームによって穴だらけにされた腸が体外に引きずりだされる際に激しい痛みが襲い、そしてそれ以上に腹の中身が
減っていくという恐ろしい感覚にエミールの最後の精神力が少しづつ剥がされていった。
たっぷり巻取られた腸の長さが3メートルを越えた頃あやつり人形の様にカクカクとした動作でエミールは
ロザヴィアに顔を向けると、声にならない様子で口をパクパクさせる。
兵士から巻取られたエミールの腸を受け取ると、(コードに気を付けて)首輪の様に腸で輪を作ると
それを小刻みに痙攣する彼女の首に掛けてやった。
異様な光景だった、女性の首に掛けられている赤黒い首輪は彼女の腹部から生えており、その腹部は異様な形でヘコんで
いるのだ。
最後の抵抗力を削ぐ目的でロザヴィアはリモコン操作で痛みを増幅させる、切る、という短いサイクルをくり返しそれに連呼してエミールが
ぎゃあ、ぎゃあという悲鳴を上げて体をビクつかせる。
エミール「ぎゃあ!、、、ぎゃあ!、、、ぎゃあ!、、、ぎゃひ!、、、ぎゃあ!、、、グっ!、、、ぎゃあ!、、、っ!!
い、、ぎゃあ!、、、言う、ぎゃあ!、、、言うから、、、ギャう!、、、助けて、、、ぎゃあ!、言う!、、、ぎゃハ!」
エミールの口からついに屈服の言葉が漏れても、ロザヴィアはエミールの動きが鈍り切るまでその作業を15分程続ける。
彼女の反応が弱くなって装置のスイッチを切ると力尽きてエミールはダラリと鎖に垂れ下がり、ヒュー、ヒューと
息も絶え絶えに呼吸した。弱々しい吐息に混ざってエミールの啜り泣きが混じる。
(実際には連続に流し込まれる薬液の効果で’本当の限界’はまだまだ先なのだが、、)
ロザヴィアは満足そうにそれを見つめると、顔ひ飛び散った血液をハンカチで拭うと手首に付けている通信機に話しかける。
ロザヴィア「ルカーブ様、クラムスコイ女史を屈服させました。供述するそうです、私が聞き出しましょうか?。」
ルカーブ『ザッ、、そうか、思ったよりも時間がかかったな。』
ロザヴィア「は、、。」
ルカーブ『分かった、私が直聞こう。これからそちらに行く。』

(20分後)
医療ポッドの中、ルカーブの質問に泣きじゃくりながらも全ての質問にエミールは答えた。
途中、MIDASの核心部分の説明では一瞬言葉に詰まったがロザヴィアが脅すと、かき消えそうな絞った声で機密を語った。
 それらの情報全てを携帯端末に素早く入力し終えるとルカーブは珍しく満足な表情を浮かべた。
だがエミールはこれまでにないほど完璧に打ちのめされていた。恐らく最悪の兵器MIDASを使って大勢の人々が、女性も
子供も死ぬだろう。何万という人々の命よりも、苦痛から解放されたばかりに屈服してしまった己にエミールは完全に
失望していた。もう拷問される事はないという安堵感すら感じている自分を心底恨んでいた。
もしUSNアメリカ本国に帰還できたら死ぬつもりだった。

ルカーブ「フフフ、、協力を感謝するよ、エミール。これで我々のMIDASは完璧に起動し、沖縄海洋都市も確実に
壊滅できるだろう。」
携帯端末を懐にしまうと、もう用はないとルカーブは立ち上がる。
エミール「ま、、待って、、、ルカーブ。や、約束は守って、、、。妹アリサやカズキ達には手出しはしないって、、。御願い」
すると今思い出した、とばかりにルカーブが目を細めた。
ルカーブ「そうそう、あの邪魔なカズキ・タケムラか。もちろん私は彼を殺す意図はない。むしろ彼の理解できない行動
パターンを解析する為に是非捕獲し、脳の構造を解析したいものだ。貴重なサンプルだ。」
エミール「な、、、、!」
ルカーブ「だがな、お前の妹アリサ、つまりアリシアーナについては約束は守れんな。完全ではないにしろ彼女は
MIDASの金核線理論を理解している。懐柔ができないと分かった以上、アリシアーナには死んでもらわねばならない。
禍根を残さぬ為にもな。」
エミールは痛みも無視して上半身を起そうとするが、医療ポッドが拘束具の様に彼女の体を押さえ込んでいる。
エミール「痛っ、、ル、ルカーブ、約束が違うわ!、わ、私があなたの所に戻ってきたのはあの娘の為っ、、!、
殺さないって約束したのに、、、!」
わざと演技がかった身ぶりでルカーブはすまない、と言うとロザヴィアから先に拷問で使用していた端末リモコンを
受け取った。医療ポッドに入っているとはいえ、ショック死する可能性があった為エミールの頭部には無数のケーブルが
刺さりっぱなしである。ラップトップコンピュータも起動したままである。
ルカーブ「だがな、私も悪魔ではない。機密を供述してくれたお前を殺す事はしない。しかしお前の頭の中の
MIDASのデータは最早邪魔物以外、何物でもない。かといってお前の脳は何重にもプロテクションがかかっていて
データだけ削除するという起用な真似をしている時間もない、、、。」
そういうとルカーブは携帯リモコンの痛覚レベルを今までの20倍から最大の40倍まで上げると、短く宣告した。
ルカーブ「精神を破壊させてもらう。データごとな。」
エミール「、、、え、、、?」
彼女がルカーブの言葉を理解するよりも早く、彼は端末のスイッチを押した。
エミール「っ!!!!!!!!!?」
ケーブルに接続されたラップトップがメモリーに記憶していた激痛の全てが40倍に増幅されて、エミールの脳に送信され
始めた。しかし今回は「発狂できるように」一部のプログラムを解除してある。
顎の骨が外れたのではないかという程口を大きく開き、エミールは完全に硬直していた。
激痛のあまりの凄まじさに悲鳴をあげる事も身をよじる事もままならないのだった。
エミール「、、、カ、、、カ、、、カ、、、、」
今のエミールにはルカーブや兵士達全員が医務室から退室した事を確認する余裕など全くなかった。ただ
圧倒的な「痛み」の情報のみが頭の中で氾濫し、エミールの過去、思い出、人格を次々と飲み込んでいく。
エミールを構成していたありとあらゆる情報が渾沌として意味をなさない情報に変わっていく。
そのまま数十分も経過しただろうか、最後に自分に好意を持ってくれていたカズキと妹アリサの顏が彼女の頭の中に浮かび上がり消えると、
エミールの口元には無気味な笑みが溢れた。


エピローグ)
沖縄沖に浮かぶ巨大な浮島・メガフロートで構成される沖縄海洋都市、その地下ブロックの一つの巨大な鋼鉄製の壁
が爆発音と共に吹き飛んだ。
武村カズキ「ここだ!、ここのリアクターにミダスが仕掛けられて入るハズだ!。」
倒壊した扉の向こうから巨大な複数の人影が現れる。ヴァンツァーと呼ばれる人形の戦闘車両だ。
草間ショウゴ「おいおい、カズキ、独りで突入して連中が待ち伏せしていたらどうするつもりだ、いいかげん学習しろよな!」
カズキと呼ばれた青年がその相方と言い合いをするのがヴァンツァーの外からでも聞こえてくる。
アリサ「あ、、!、あれは何?」
小柄な若い女性がヴァンツァーのハッチを解放して飛び出すと、そびえ建つリアクターに向かって一目散に掛けていく。
武村カズキ「お、おいアリサ!、どうしたんだ!」

彼等がリアクターのそばまで駆け付けた時、そこにある物を見て一同は言葉を失った。
アリサ「お、、お姉ちゃん、、、?、、こ、この体は一体、、、」
カズキ達一同の目の前には若い白人女性がリアクターに細い杭で打ち付けられていた。だがその姿はまさに満身創痍で
両足は根元から千切れ、両腕は筋肉が剥き出し、胴体のあちこちも不自然な形にヘコんだりしている。
一応の応急処置はされてまだ息はあるようであったが、その瞳に力はなく口からは涎を垂らしている。
武村カズキ「何だって!?、アリサ、今なんて言ったんだ!、これが、、これがエマだっていうのか!?」
草間ショウゴ「ひ、ひでえ、どうすりゃこんな状態になるんだ?」
その時傭兵仲間の一人がさらに高い位置に設置されているMIDASを発見した。
「おぉい!、アリサ、MIDASを発見した!、可哀想だが時間がない!、もうカウントダウンが始まっているぞ!」
武村カズキ「クソッ、エマ、絶対に助けてやる、死ぬんじゃないぞ!!」
あまりにも壮絶な状態のエミール。しかしMIDAS爆発という一刻を争う事態である、カズキはエミールを両腕で
担ぎ上げると自らのヴァンツァーに乗り込んだ。

Fin

(作・矢型魔