那智香織


「ひ、あ、あ……」
「抵抗しても、痛い目を見るだけだって、まだ分からないんですか?」
 掠れた声を漏らし、床の上を這いずるように自分から遠ざかろうとする美化委員長、那智香織のことを見下ろしながら、如月葉月は嘲笑を浮かべた。彼女の右足がまともに香織の顔面を捉える。
「はぐうぅっ!?」
「まぁ、分からないんなら、これからたっぷりと身体に教えてあげるだけのことですけどね」
「ふぐっ! あぐあぁっ! げぶうっ!」
 どすっ、どすっと、どすっと、容赦のない蹴りが香織の身体へと叩き込まれる。整った美貌を青黒く晴れ上がらせ、鼻血で顔を赤く染めて床の上にぐったりと倒れ伏す香織。彼女の髪をつかんで強引に引きづり起こすと、葉月は口元に笑みを浮かべながら更に香織の顔面を殴りつける。
「あぐっ! や、やべでぇっ」
「やめて? やめてください、でしょう?」
 涙をぼろぼろと流しながら哀願する香織へと、冷たい声音でそう告げると更に葉月が拳を振るう。くぐもった悲鳴を上げ、香織が腫れ上がった顔を血と涙とよだれとでべちゃべちゃにして泣き叫ぶ。
「やべてぐだざいっ、もうゆるじでぐだざいっ、おでがいじばすうぅっ」
「あらあら、全校生徒から恐れられる闇の生徒会の一員、美化委員長ともあろう人とは思えない台詞ですね」
 嘲笑を浮かべながら葉月が香織の髪の毛を掴んだままゆっくりと立ち上がる。ひきづられるような感じでよろよろと中腰になった彼女を、葉月は乱暴に拘束台の上へと放り出した。他人に暴力を振るうことには慣れていても、自分が暴力を振るわれる立場になった経験が少ないせいか、香織はすでに抵抗する気力を完全に失い葉月のなすがままだ。
「さて、とりあえず、この邪魔な物は取ってしまいましょうか」
「ひいっ」
 チキチキチキと音を立ててカッターナイフの刃を引き出し、香織の制服の胸元を掴んで葉月が笑う。瞼が腫れ上がり、異常に狭くなった視界に光を反射する刃を捉え、香織が引きつった悲鳴を上げた。本能的な恐怖に身をよじる香織の制服へと、葉月がカッターナイフを当て一気に引く。
「きゃああああああああぁぁっ!!」
「あら、下まで切れちゃいましたね。まぁ、この程度なら何の問題もないでしょうけど」
 布地もろともに切り裂かれ、白い肌の上にくっきりと一本の赤い線が走っている。血を溢れさすその傷口を見やりながら無造作にそう呟くと、葉月は更にカッターナイフを振るった。びびっ、びびびっと香織の身に着けた制服が切り裂かれていくが、そのたびに肌も同時に切られて香織が悲鳴を上げる。
「きゃああああぁっ、痛いっ、痛いっ、やめてぇっ!」
「この程度の痛みで泣いていては、身が持ちませんよ? ふふふ……」
「ひいいいいぃっ!」
 笑いながら葉月がカッターナイフを振るう。スパッと布地もろともに肌を切られ、香織が悲鳴を上げる。
「……さて、準備は、こんなものですか」
「あう、あうう、も、もう、許して、ください……ここで起きたことは、誰にもしゃべりませんから……だから、もう……」
 香織の身に着けていた制服をぼろきれに変え、裸身をあらわにしてしまうと血まみれになった彼女の肌の上に手を這わせつつ葉月が笑う。引きつった声で哀願を繰り返す香織へと笑いかけると、葉月は無造作に彼女の右胸の先端をつまんだ。爪を立てて捻り潰すようにしつつ、引っ張る。
「くひいいぃっ! ひいっ、痛いっ、痛いいぃっ!」
「うふふふふ……」
 悲鳴を上げて首を振る香織の姿に楽しそうな笑い声を漏らし、引き伸ばされた香織の乳房へと葉月がカッターナイフを近づける。何をしようとしているのか悟ったのか、香織が甲高い悲鳴を上げた。
「いやっ、いやいやいやっ、やめてぇっ!」
 泣き叫ぶ香織の引き伸ばされた乳房……それ自体の大きさと比較すると小ぶりの乳輪の下辺りにカッターナイフの刃が押し当てられる。葉月が口元に笑いを浮かべながら手に力を込め、ずぶずぶと刃が柔らかい肉へと食い込んでいった。
「ひぎゃあああああああああああああああぁぁぁっ!!」
 削ぎ取るように乳房の先端部分を切り落とされた香織が、喉が張り裂けんばかりの絶叫を上げる。くすくすと笑いながら反対の乳首へと指を伸ばした葉月の耳に、ピンポーンというチャイムの音が届いた。
「あら?」
 怪訝そうな表情を浮かべて葉月が扉のほうを振り返る。この部屋は学院の地下の懲罰室の中でも委員長用の部屋の一つだ。基本的に、この部屋は美化委員長にしか使えない。
「誰か、呼びましたか?」
「し、白井さんよっ。美冬の手当てをするのに必要だろうと思って、彼女を呼んでおいたの。あ、あなたも、もうおしまいね」
「ふぅん……そう、ですか」
 引きつった笑みを浮かべる香織のことを冷ややかに見やると、葉月は血を流す乳房先端の傷へと爪を立てかきむしった。激痛に絶叫を上げる香織。再び、チャイムの澄んだ音色が響く。軽く溜息をつくとカッターナイフを拘束台の上へと放り出して葉月は扉のほうへと足を進めた。鍵を開け、無造作に扉を開く。
「あら……如月さん? その格好は……?」
 扉の向こうに立っていた保健委員長、白井絵夢が目を丸くする。全裸のまま、葉月は軽く肩をすくめて見せた。身体のあちこちに返り血がまだらに飛び、両腕は真っ赤に血で染まったかなり異様な姿に意表を突かれたのか絵夢がその場に立ち尽くす。
「白井さんっ、助けてっ!」
「あら、あらあらあら……那智先輩?」
 拘束台の上で血まみれになっている香織の叫びに、絵夢がますます目を丸くする。彼女の背後に控えていた、おそらくは保健委員であろう男子生徒が眉をひそめた。
「どういうことですの? これは」
「残念ですね……時間切れ、ですか。これで終わりだなんて、あっけないものですね」
 怪訝そうな絵夢の問いかけに、小さく首を振りながら葉月が溜息混じりにそう呟く。拘束台の上で、香織が悲鳴じみた叫びを上げた。
「見れば分かるでしょう!? 彼女は、私に暴行を……! 早く捕まえてっ」
「もっと時間があれば、彼女を完全に屈服させられたと思うんですけど。こうなってしまうと、もう、言い逃れはききそうにないですね……」
「あら、もしかして、お邪魔でしたか? ごめんなさいね、如月さん。私としては、邪魔をするつもりは少しもなかったんですけれども」
「かといって、この状況で私のことを見逃してくれはしないんでしょう?」
 自嘲気味の笑いを浮かべて葉月が溜息をつく。だが、軽く首をかしげながら絵夢はあっさりと周囲の予想を完全に覆す発言をした。
「別に、如月さんの気が済むまで黙って見ていてもかまいませんけれど?」
「ちょ、ちょっと、白井さん!?」
 拘束台の上で香織が泡を食った声を出す。流石に驚いたような表情になって絶句した葉月へと、絵夢はにっこりと笑いかけた。
「状況を完全に把握しているわけではもちろんありませんけれど、如月さんは那智先輩の口を塞ぐ自信があるのでしょう? でしたら、それがうまくいくかどうか、試してみるのもよろしいのではないかと思うのですけど、何か問題でもあるでしょうか?」
「そ、それは、私には何の問題もないですけど……」
「白井さん! あなた、自分が何を言ってるか分かってるの!? これは立派な反逆なのよ!? それに加担したりすれば、いくらあなただって罰を受けることに……あ」
 顔色を変えて、まくし立てた香織が不意に何かに気づいたような表情になって絶句する。くすっと小さく笑うと、絵夢は葉月へと軽く肩をすくめて見せた。
「もちろん、この場で如月さんを拘束しない見返りは、頂きたいと思いますけどね」
「見返り……? あ……!」
 すいっと動いた絵夢の視線を無意識に追い、その先にあるものを認めて葉月が小さく声を上げる。手酷く痛めつけられた美冬の姿を見つめる絵夢の表情には、どこかうっとりとしたものが浮かんでいた。
「そうか……あなたにとっては、どちらでも同じことなんですよね。私が成功すれば、私から。私が失敗すれば、生徒会の人たちから。やる人と名目は違っても、行為そのものは同じ、ですものね」
 やや憮然とした表情を浮かべて、葉月がそう言う。にっこりと笑みを返してくる絵夢へと軽く溜息をつくと、葉月は香織の方に振り返った。葉月と同じ結論に達し、絶望の表情になって香織ががちがちと歯を鳴らす。
「それじゃあ……再開しましょうか、那智先輩?」
「ひっ。や、やめてっ。分かったわ、分かったからっ。ここで起きたことは誰にも言わないっ。言わないからっ、許してっ」
 葉月の言葉に、悲鳴を上げる香織。くすっと口元に笑みを浮かべると、葉月はゆっくりと首を振った。
「さっきの台詞、忘れてはいませんよ? 今はそう言ってても、他の委員長たちの前に出ればすぐに手のひらを返すてことは、もうよく分かってるんですから。
 徹底的に、刻み込んであげますよ。恐怖と苦痛を……例え自分の身の安全が確保されていると頭では分かっていても、それでも逆らえなくなるぐらいに、ね」
 にいっと、悪魔のような笑みを浮かべる葉月。ひいいっと甲高い悲鳴を上げ、香織が拘束された身体をよじった。自重で潰れた巨大な乳房が、その動きにあわせてブルンブルンと震える。
「さぁ、はじめましょうか」
「いっ、イッヤアアアアアアアアァァッ!!」
 絶叫を上げる香織の姿を、ニコニコと笑いながら絵夢は見つめていた。どこか、羨ましそうな表情で。

「ギイイイィッ! ヒギイイィッ! ヒギャアアアアァァッ!!」
 ずぶずぶ、ずぶずぶっとカッターナイフの刃が豊かな香織の乳房へと沈み込んでいく。敏感な場所を切り刻まれていく激痛に、大きく目を見開いて香織が絶叫を上げる。血まみれになってのたうつ香織の身体に覆いかぶさるように自らの身体を重ね、くすくすと笑いながら葉月が右手を動かす。
「イギャッ! ギヒャアアアアアァァッ!!」
 傷口に指が突っ込まれ、左右に割り開かれる。鮮血にぬらぬらと光る柔らかい半球を、鋭利な刃が切り裂いていく。切り刻まれた傷口へと葉月が唇を寄せ、肉の一部を噛み千切った。絶叫を上げて身を震わす香織の顔の辺りへとぺっと噛み千切った肉片を吐き捨てると、再び乳房に刃を沈める。新たな激痛に絶叫する香織のことを見やりながら、ふふっと低く葉月が笑った。
「これだけ胸が大きいと、切り刻みがいがありますよね。あ、そうだ、白井さん」
「何ですの?」
 ひょいっと顔を上げて呼びかけてきた葉月へと、壁に背を預け、自らの胸を揉みしだいていた絵夢がどこか鼻にかかったような甘い声で応じる。
「使っちゃって悪いんですけど、いくつか道具、用意してもらえませんか? 自分で取りに行くつもりだったんですけど、せっかく人手があることですし」
「ヒギャアアアアアァァッ!!」
 視線を絵夢のほうに向けたまま、無造作に葉月が手を動かす。すっぱりと乳房を切り開かれ、香織が濁った絶叫を上げた。美しかった彼女の右の乳房は、今では見るも無残な有様だ。
「え、ええ、それは、かまいませんけれど。何が、必要なんですの?」
「そうですね、とりあえずヤカンとコンロはあるから、後はタワシですね。それと、例の薬、私の手持ちだとちょっと少ないんで、もらえるとありがたいです。少しでも充分効きますけど、量が多すぎて困るというものでもありませんし。
 後は……そうですね、変電機なんかも、あると楽しいですね。白井さんも、電気で責められるのは好きでしょう?」
「ええ、大好きですわ……分かりました、すぐにそろえさせましょう。それぐらいなら、私の手持ちで充分ですもの。ねぇ、あなた」
 うっとりと頬を染めた絵夢が、伴ってきた男子生徒へと視線を向ける。釈然としない表情を浮かべながらも、命令と割り切ったのか男子生徒が部屋から出て行った。
「ヒギャアアアアァァッ! 許してっ、もう許してっ、アギャアアアアアァッ!!」
 無残に切り刻まれた乳房をいじくられ、香織が絶叫を上げる。ふふっと笑うと、葉月がいったん香織の上から身を起こした。ぜぇぜぇと息を荒らげ、すすり泣く香織へと嘲笑を向けると、いっぱいに水を満たしたヤカンを卓上コンロにかける。もともとは、紅茶好きの香織が責めの最中に飲み物を用意するために持ち込んだものだが、熱湯はそれ自体立派な拷問の道具として使用することが可能だ。
「お湯が沸くまで、ちょっと時間がかかりますからね。その間は、もうしばらくこれで楽しみましょう。ね?」
「いやっ、いやいやいやっ、もういやああぁっ! 許してよぉっ」
 ぼろぼろと涙をこぼしながら激しく首を左右に振る香織の左胸をわしづかみにすると、葉月がカッターの刃を白い肌の上へと滑らせる。すっぱりと切り裂かれた乳房から鮮血があふれ、香織が絶叫を上げて身をよじる。
「ヒギイイイィッ! もうやめてぇっ! ウギャアアアアアアァッ!!」
「ああぁ……あの表情……うぅんっ」
 激痛に歪んだ香織の顔を見つめながら、絵夢が自分の胸を揉み、スカートの下へと手を入れる。くちゅくちゅと湿った音がそこからは響くが、部屋を満たす香織の絶叫がそれを掻き消した。
「やべでっ、もうっ、胸はやめてっ! 死ぬううぅっ!」
「胸がなくなったぐらいで、死にはしませんよ。それに、これだけ大きいんですもの。半分ぐらいになったって、それより胸の小さな女の子なんていくらでもいますしね」
 ずぶずぶとカッターナイフで香織の乳房を外側から削ぎ取るようにしつつ、葉月が笑う。乳首をつまみあげ、乳輪の下辺りへと刃を埋め込むと葉月は一気に香織の乳首を乳輪もろともに切り落とした。
「ヒギャアアアアアアアアアアァァッ!! グヒイイイイイイィィッ!!」
 乳首を切り落とされる激痛に絶叫を上げ、身体を弓なりにのけぞらす香織。今出来たばかりの傷へと葉月が冷たく光る刃を突き入れ、びびびっと肉を切り裂く。
「ア゛~~~ッ、ア゛~~~ッ、ア゛ァ~~~ッ!!」
 零れ落ちんばかりに目を見開き、濁った絶叫を上げる香織。くすくすと笑いながら、格子模様を描くように縦横に葉月が香織の乳房を切り刻む。刃が動くたびに絶叫を上げる香織の姿を、楽しそうに葉月が見つめる。
「ふふっ、どうです? 楽しんでますか?」
「楽しく、なんかっ、ないいぃっ! もう許してっ! 何でも言うことぎぐがらぁっ!」
「あら、私は楽しいですよ? あなたは、私を楽しませるための玩具なんですから、もっと頑張って私を楽しませてくださいね」
 叫びすぎてしゃがれた声で哀願する香織へと、そう告げると葉月が傷へと指を突き入れる。ぶちぶちと肉が引き裂かれていく感覚は、鋭利な刃で切り裂かれるのとはまた違った痛みだ。絶叫を上げる香織の血まみれの乳房へと葉月が顔を近づけ、ぐちゃぐちゃに切り刻まれた肉をほんの少し食いちぎる。
「イッギャアアアアァァッ! 食べちゃっ、駄目ぇっ!!」
 このまま全身を切り刻まれ、食べられるという光景を想像したのか、香織が絶叫を上げて身をよじる。ぺっと食いちぎった肉片を吐き捨てながら、葉月がやや呆れたような表情を浮かべた。
「食べませんよ、こんなもの。ああ、でも……うん、そうですね」
「ひっ!? ウッギャアアアアアアァァッ!!」
 香織の言葉に何かを思いついたのか、小さく頷くと葉月が大きく手を動かし、香織の乳房の一部を切り落とす。べちゃっと拘束台の上に落ちた肉片を摘み上げると、葉月はそれを激痛に絶叫する香織の口の中にぽいっと放り込んだ。
「うぶっ!? ぶはあぁっ!」
 口の中に広がる血の味。慌てて吐き出した香織の頬が、ぱぁんと高く鳴った。平手打ちを受けてひっと息を呑む香織へと、彼女が吐き出した肉片を再び摘み上げて葉月が冷たい声を出す。
「口を開けて。食べなさい」
「んんっ!? むううう~~っ!」
 葉月の言葉に、反射的に口をしっかりと閉じて香織が首を左右に振る。嘲笑を唇の端に浮かべ、葉月が軽く肩をすくめた。
「口では何でも言うことを聞くと言いつつ、少し嫌なことがあるとすぐに手のひらを返す……それで何を信じろというんです?」
「ヒギャアアアアアアァァッ!!」
 乳房を切り裂かれた香織が絶叫を上げる。くすくすと笑う葉月の耳に、ピーという甲高い音が届いた。コンロの上で沸騰しているヤカンのほうへと視線をやり、葉月が拘束台の上へと血まみれのカッターナイフを放り出す。軽いノックの音に絵夢が扉のほうへと足を向け、台車の上に大きめの箱を載せて運んできた男子生徒を室内へと迎え入れた。コンロの火を止め、ヤカンを手にした葉月が薄く笑う。
「いいタイミングですね。それじゃ、今度はこれで遊びましょうか」
「うぁ、あ、ぁああ……」
 苦痛に朦朧とした視線をさまよわせながら、香織が掠れた声を上げる。くすくすと笑いながら、葉月は無造作にヤカンの中に満たされた熱湯を香織の腹の上へと注いだ。
「熱いいいぃぃっ! アヅッ、アヅイッ、アヅウウゥゥッ!!」
「ふふっ、うふふっ」
 じたばたと身体を暴れさせる香織の腹の上へと、なおも葉月が熱湯を注ぐ。真っ赤に肌を染め、絶叫を上げながら苦痛から逃れようと香織が身体をのたうたせる。
「ヒイッ、ヒガッ、ギャアアアアァッ! アヅイイイィッ、アヅッ、アヅヅッ、アヅイィッッ!!」
 半狂乱になってのた打ち回る香織の腹部へと満遍なくヤカンの熱湯を注ぎ、真っ赤に染めると葉月が空になったヤカンの底を彼女の太股の辺りへと押し当てる。じゅうっという嫌な音が響き、肉の焦げる臭いが漂う。
「ヒギャアアアアアアアアアアアアアアァァァッ!!」
 目を大きく見開いて絶叫する香織の姿を楽しげに見やり、葉月がヤカンを太股から離す。歩み寄ってきた男子生徒からカメノコタワシを受け取り、空になったヤカンを渡すと葉月は低く笑った。
「美化委員長ですものね。綺麗にしてあげますよ」
「うぁ、あ、やめ……て……ぁぁぅ……ギャウウゥッ!?」
 熱湯を浴び、火傷を負った皮膚をざりっとタワシが擦る。べろりと皮が剥け、鮮血が滴る。悲鳴を上げて身をよじる香織のことを左手で抑えるようにしながら、葉月は更にタワシを動かした。
「がぁっ! あぎっ! ひぎゃあぁっ!」
 びくっ、びくっと香織が身体を跳ねさせて悲鳴を上げる。身悶える彼女の上に馬乗りになると、葉月は両手をそろえてまるで床の掃除でもするかのようにごしごしと勢いよくタワシを動かし始めた。
「アギャアアアアアアァッ! グギャギャギャギャッ、ヒャベッ、ウギャウウゥッ!! ウッギャアアアアアアァァッ!!」
 火傷を負った皮膚が、ずるずると剥がされていく。タワシが肉に食い込み、引き裂く。切り刻まれた胸からの出血とあわせ、身体の前面を真っ赤に染めて香織が泣き叫ぶ。
「ふふっ、薬も、使ってあげますね……」
 火傷を負わせた部分の皮膚をすべてはがし終えると、薄く笑いながらそういって葉月がタワシの上へとチューブから真っ赤な薬をたっぷりと搾り出す。激痛に、はぎっ、はぎっと荒く不規則な息を吐いている香織の無残な腹へと、葉月がたっぷりと薬を乗せたタワシを押し当てた。
「ハギャアアアアアアアアアアアアアアアァァァッ!?!?!」
 その強力な治癒効果と引き換えに、相手に激痛を与える塗り薬。無残に引き裂かれた傷へとそれを押し付けられて香織が濁った絶叫を上げる。ふふっと小さく笑いながら、葉月が腕を動かした。
「アビャビャビャビャッ、ヒギャハッ、ガウギャガッ、グギャベッ、ベビッ、ビャアッ、ギャビイィッ、ヒュゲギャバビギャガブボッ、ギャギャギャッ、ギャビャアアアァッ、ヒギャガゲグギャベビュウウゥッ!!」
 ごしごしと容赦なくタワシで傷をえぐられ、薬を塗りこまれていく激痛に、香織がかっと目を見開いたまま激しく身体をのたうたせ、音程の狂っためちゃくちゃな絶叫を上げる。くすくすと笑いながら、葉月が無残に切り裂かれた香織の乳房へとタワシを押し当て、体重をかけてねじるように押し込んだ。
「ギエエエエエエエエェェッ!! ギャアアアアアァァッ!! ヒギャアアアアアアアァッ!! ギエエエエエエーーーーーッ!!」
 ぐりっ、ぐりっとタワシが捻られるたびに断末魔の絶叫を思わせる凄絶な叫びが香織の口からあふれる。毛細血管が破裂したのか目を真っ赤に充血させ、見開かれた瞼の端が裂けて血の涙がこぼれる。香織の片胸を思う存分蹂躙すると、葉月は再びタワシにチューブの薬をたっぷりと乗せ、反対の乳房へと押し当てた。
「グギャハアアアアアアアーーーーーッ!! ギエエエエエエエーーーーーッ!! ウギャアアアアアアアーーーーーッ!!」
 切り刻まれた乳房へとタワシがねじ込まれていく。泡を吹いて断末魔じみた絶叫を繰り返す香織の姿を、楽しそうに見つめながら葉月がなおもタワシをねじる。肉に食い込んだタワシがぶちぶちと肉を引き裂き、香織に常人なら発狂してもおかしくないほどの激痛を与えた。
「グエエエエエエーーーーーッ!! オギャアアアアアーーーーーッ!! ハギャアアアアアアーーーーーッ!! ジヌウウウゥゥッ! ウギャガアアアアアアアアーーーーーッ!!」
 びくっ、びくっと身体を痙攣させる香織の上から葉月が降り、既に幾度か失禁してびしょぬれになっている彼女の股間を覗き込む。にいっと邪悪な笑いを浮かべると、葉月は両手でタワシを香織の秘所へとねじ込んだ。
「アガッ!? ガアアアアアアアアーーーーーッ!!」
 獣じみた絶叫を上げる香織。耳の痛くなるようなその絶叫を楽しげに笑いながら聞き、ぐいぐいと葉月がさらにタワシを香織の秘所へと押し込む。敏感な粘膜をタワシが擦り、引き裂き、更にはその傷へとタワシに塗られた薬がすりこまれる。傷ついた秘所の粘膜にこの薬を大量に塗りこむと、あまりの激痛が相手をかなり高確率で発狂させてしまう。香織自身の血でそのほとんどが洗い流されていなければ、香織も発狂していたかもしれない。もっとも、あるいはそのほうが彼女にとっては幸せだったかもしれないが……。
「抜いでっ、抜いでぇっ! ザゲルッ、ジヌウゥッ!!」
「へぇ、まだ、しゃべる余裕があるんですか。そろそろ、壊れちゃうかと思ったんですけどねぇ」
「ヒギャアアアアアアアーーーーーーッ!!!」
 感心したような笑いを浮かべつつ、葉月がタワシを秘所へとねじ込む。完全にタワシをくわえ込まされ、香織が絶叫を上げて身体を痙攣させる。くすくすと笑いながら、葉月が絵夢のほうへと振り返った。壁際にへたり込み、一心不乱に自慰に耽っている絵夢の姿に苦笑を浮かべるとつかつかと彼女に歩み寄る。ぱぁん、と、絵夢の頬が乾いた音を立てた。
「はぎっ!?」
「自分でしなくても、後で好きなだけしてあげますから。今は、私の役に立ってください」
 平手打ちを放った体勢のまま、葉月がそう言う。あぁ、と、うっとりとしたような溜息を絵夢が漏らした。
「はい、お役に立ちますぅ……だから、後で、たっぷりと御褒美を、くださいぃ」
「そう、いい子ね。それじゃ」
 葉月が絵夢の耳元へと口を寄せ、何事かをささやく。びくっと、絵夢が身体を震わせた。
「ああ……。そ、そんなことをしたら、滅茶苦茶になっちゃいますぅ」
「嫌なの?」
「いいえ……私にも、私にも、してください。お願いしますぅ」
 とろんと情欲に瞳を潤ませて舌足らずな口調で絵夢がそう言う。ふふっと小さく笑うと、葉月は絵夢の髪をつかんで引きづり起こした。
「して欲しければ、ちゃんと言うとおりにしなさい」
「はいぃ……分かりましたぁ……」
 ふらふらとした足取りで絵夢が拘束台のほうに歩み寄り、男子生徒が運んできた大型の機械のセッティングを始める。変電機の準備が整うと、そこから延びたコードの先端を長く太い針につなぎ、絵夢はうっとりとした表情で苦痛に身体を痙攣させている香織のことを見やった。
「それじゃぁ、やりますね……」
「ひっ、あっ、あぁ……やめて……やめて……」
 掠れた声で哀願する香織の下腹部へと絵夢が手を触れさせる。ひいっと悲鳴を上げて弱々しく首を横に振る香織。その下腹部を指の腹で何かを探すように撫でていた絵夢が、不意にぶすりと針を突き立てた。
「イッ! イッギャアアアアアアアアアアアーーーーーッ!!??!?!?!?」
「ふふっ、卵巣を貫かれた気分は、如何です……?」
「ひがっ、がっ、がっはっ、あがが……」
 激痛のあまり瘧に罹ったかのように身体をぶるぶると震わせ、香織は答える余裕もなく掠れた呻きをあげ、息を荒らげる。軽く首をかしげながら、絵夢がもう一本の針にコードをつなぎ、痙攣する香織の下腹部に指を這わせる。
「ゲギャアアアアアアアアーーーーーーーッ!?!?!?!?」
「ふふっ、準備、出来ましたぁ……」
「御苦労様。さて……」
 振り返って蕩けた笑みを浮かべる絵夢へと無造作に応じると、葉月は変電機のスイッチを手に取った。がくがくと身体を震わせている香織のほうに冷たい視線を向けると、カチッとスイッチを入れる。
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」
 一際大きな絶叫を上げて香織が身体を弓なりにのけぞらす。即座に葉月がスイッチを切ったために電流が流れたのは一秒にも満たない時間だったのだが、強烈過ぎる痛みのせいかブリッジでもするかのように身体を弓なりにのけぞらせたまま香織は痙攣を続けていた。
「アゲッ、ゲウッ、ヒゲギャゲウッ、オブッ、ウゲエエェッ!」
 僅かな時間を置き、痛みが多少和らいだ香織が身体をのたうたせる。痛みが強烈過ぎて今まではのた打ち回ることすら出来なかったらしい。苦悶の表情を浮かべ、びくんびくんと身体を跳ねさせる香織の耳元へと葉月が顔を近づけた。
「どうでした? 一番弱い電圧だったんですけど」
「ひゃべっ、ひゃべでっ、じぬっ、じんじゃうぅっ」
「喋る元気があるなら、まだ大丈夫ですね。それじゃ、一段階、上げましょうか」
「ひゃべでぇっ!」
 どす黒い恐怖に支配され、必死に叫ぶ香織。電圧調整用のダイヤルを回し、カチッと葉月がスイッチを入れる。

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」

 先ほどよりも更に大きな絶叫を上げる香織。今度も一秒に満たない時間の通電だったのだが、拘束用の皮ベルトを弾き飛ばさんばかりの勢いで香織が激しく身体を痙攣させる。勢いよく股間から小水が飛び、ぶりぶりと大便までも垂れ流して香織がのたうつ。
「あらあら、漏らしましたか。ふふふっ」
「アベウッ、ベギャッ、ヘギイィッ、ヒギャガッ、オベッ、ベウウゥッ、ビエギャアァッ」
 葉月の嘲笑も耳に入っていないかのように、香織が無茶苦茶な悲鳴を上げてのたうつ。ぶくぶくと泡を吹き、白目を剥いてのたうつ彼女へと葉月が呼びかけた。
「さて、それじゃ、もう一段階、上げましょうか」
「アーーーッ、アーーーッ、アアーーーーッ!!」
 恐怖に表情を引きつらせて、懸命に香織が首を左右に振り、叫ぶ。既にまともに言葉をつむぐことも出来ずにいる香織の姿を嘲笑を浮かべて見やり、葉月はダイヤルを回した。ますます大きな悲鳴を上げて首を振る香織の姿を見やりながら、無造作にスイッチを入れる。

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」

喉が張り裂けんばかりの絶叫を上げ、背骨が折れるのではないかと思うほど激しく背をのけぞらす香織。口からはぶくぶくと泡を吹き、股間からは小水と大便があふれる。白目を剥いて絶叫する香織のことをスイッチを切った葉月が笑いながら見つめる。
「アギッ、ギアッ、ギャウゥッ、ヒギャッ、ゲウウゥッ、アギャウッ、ギャッ、ギャビッ、ビギャアァッ」
 身体がばらばらになったかと思うほどの激痛。意味を成さない叫びを上げて香織が苦悶に踊り狂う。失禁と脱糞とを繰り返しながらのた打ち回る香織の姿を、楽しそうに葉月が見守る。
「さて……まだ電圧は上げられますが、どうします?」
「ぅぁ……ぁぅ……ぅぁぅぁ……ぃぅ……」
 香織の動きが緩慢になるころを見計らって葉月が問いかけ、弱々しく首を振りながら声にならない声で香織が呻く。軽く肩をすくめると、葉月は香織の下腹部から二本の針を引き抜いた。びくっと身体を痙攣させて呻く香織の腕の拘束ベルトを外しながら、無造作に命じる。
「右手で、左手の人差し指を握って」
「……ぁぅ……」
 弱々しい声で頷き、香織が素直に言われたとおりにする。にいっと口元を歪めると、葉月は無造作に命令を続けた。
「そのまま、折って」
「ぅ、ぅぁ……!?」
 流石に顔色を変えた香織のことを不機嫌そうに見やる葉月。さっと恐怖に青ざめた香織へと、淡々とした口調で葉月が告げる。
「そう、嫌なの。なら、もっと電圧を上げたのを、味わってもらうしかないわね」
「ぅぁ、ぅぁあぅっ!」
 慌てて首を横に振りながら、香織がぐっと腕に力を込める。ぼきっと乾いた音が響き、人差し指の骨が折れた。
「あぐううぅっ!!」
「他の指も、折って」
「ぅぁ、ぁぅぅ……」
 掠れた声で呻きながら、香織が今度は中指を掴む。ヒューヒューと喉を鳴らし、震えながら自分の手を見つめる香織。だが、葉月が口を開きかけるのを視界の端で捉えると恐怖に表情を染めて一気に腕に力を込める。
 メリッ……ボキンッ
「あがああああぁっ!」
「それで、終わり? 違うでしょう?」
 苦痛の声をあげる香織へと、葉月が淡々とした口調でそう問いかける。零れ落ちんばかりに目を見開きながら、香織が薬指を握った。だが、さすがに抵抗があるのか握ったまま手に力をこめることが出来ず、縋るような視線を葉月のほうへと向ける。
「あなたは、私を楽しませるのが役目でしょう? まぁ、やりたくないというのなら……」
 薄く笑いながら、手に持ったままの変電機のスイッチを軽くかざしてみせる葉月。ひいっと掠れた悲鳴をあげ、香織がぶんぶんと首を横に振った。
「ひやっ、ひゃっ、ひゃううぅっ」
「何を言ってるのか、それじゃ分からないわね。行動で示してもらいましょうか?」
「あう、あうあうあうあ……あがああああぁぁっ!!」
 葉月の言葉に、声にならない答えを返しながら何度も頷き、香織が腕に力を込める。乾いた音が響いて薬指がありえない方向に曲がる。
「次は、何をするのかしら?」
「ひあ、あう……うああああぁぁっ、あぐうううぅっ」
 まるで猫がねずみをいたぶっているかのように、酷薄な笑みを浮かべて問いかける葉月。恐怖に顔を染めた香織がまだ無事な小指を握り、一気にへし折る。苦痛の叫びを上げて身体を二つに折った香織の髪を掴んで上体を引きずり起こし、葉月が笑う。
「次は?」
「ぅあぁ、あぅぁ、あう……」
 全身を責め苛む激痛に、まともに言葉をつむぐことも出来ずに香織が左手の親指を掴む。恐怖に表情を染めて香織が右手に力を込め、捻ると乾いた音が響いた。
「あがあああああああああっ!」
 身体を二つに折って苦痛の叫びを上げる香織。弱々しく顔を上げた彼女が縋るような視線を自分に向けてくるのに対して嘲笑で応じると葉月は軽く肩をすくめて見せた。
「まさか、それで私が満足するとでも?」
「う、うぁ……」
「私を楽しませるのにどうすればいいのか、自分で考えられるでしょう? それとも、いちいち指示を出さないと動けないのかしら? 私は、そんな無能な玩具は必要としてないし……もしそうなら、潰してしまおうかしら?」
 にいっと悪魔のような笑みを浮かべる葉月にぶんぶんと香織は恐怖に表情を強張らせて激しく首を振った。拘束台の上に無造作に投げ捨ててあった血まみれのカッターナイフを掴み、恐怖に目を見開きながら自らの太股へと刃を突き立てる。
「あっ、がっ、がああああああぁぁっ!」
 苦痛の叫びを上げ、顔をのけぞらせる香織。くくっと低く笑った葉月の顔を涙で濡れた瞳で見やり、更に刃を動かす。肉を切り裂かれる激痛に叫びながら、香織が自らの足を切り裂いていく。
「ひがっ、ギャっ、ぎゃああああああああぁぁっ!」
 二度、三度と、自らの足を切り裂く香織。ふうっと溜息を葉月がつくのを耳にして、その動きが凍りついたように止まった。
「あ……ぁぁぅ……あぁ……」
「同じことの繰り返しでは、ねぇ。まぁ、努力は認めますけど」
「ぅぁあ、あぅぅ、うぁ、ぉ、ぅ、ぅぁあぉう」
 声にならない呻きをあげ、がちがちと歯を鳴らす香織。彼女の右腕をつかむと、葉月は無造作に背中側に腕を捻りあげた。ぎっと苦痛の呻きを漏らし、身体を反射的に暴れさせかける香織の耳元に口を近づけて、葉月が囁く。
「私の命令に従いたくないというのなら……暴れてもかまいませんよ?」
「ぅぁ……あぅぅ」
 凍りついたように動きを止めた香織の腕を、口元に笑みを浮かべて葉月がゆっくりと捻りあげていく。緩慢に、だが確実に増していく痛みに香織の口から呻き声が漏れる。
「うあ、ああ、うあああ……」
「もうちょっと捻れば、折れますね。痛いですか?」
 全身にびっしょりと脂汗を浮かべ、ぶるぶると小刻みに身体を痙攣させて呻く香織へと、当たり前の質問を葉月が発する。こくんと頷き、首を捻って哀願の表情を浮かべる香織へと笑いかけると葉月は更に腕に力をこめた。
「あがっ、がっ、がああああぁっ」
「止めて欲しいですか?」
 苦痛に叫ぶ香織へと、葉月が笑いながら問いかける。ミシミシという骨の軋む音が微かに響く。あと僅かに捻れば、確実に折れるという状況だ。
「うぁ、あぁ、うぅ」
 一瞬頷きかけた香織が、恐怖に表情を染めてゆっくりと首を振る。ここで首を縦に振ったところで、葉月が止めるはずがない。彼女を怒らせ、余計ひどい目にあうのが落ちだ、と、そう判断したのだろう。くすっと笑うと、葉月は一気に香織の腕を捻りあげた。ばきっと言う乾いた骨の折れる音を、香織の絶叫がかき消す。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアァァッ!!」
「ふふっ、止めて欲しいというなら、止めてあげてもよかったんですけど。まぁ、あなたがして欲しいというのなら、止める必要もないですしね。それじゃ、反対の腕も」
「あ、ああ、あぁ、ぅうぅうぅぅ」
 右腕を折られた激痛に喘ぐ香織の左腕を葉月が掴む。一瞬抵抗しかけたものの、既にそれだけの力は残っていないし、また、抵抗するだけの気力も香織にはない。単に、反射的に身体が震えた、というだけの話だ。実際、葉月が香織の腕をねじ上げ始めても、香織は苦痛に呻くばかりで抵抗しようとはしない。
「アギャアアアアアアアアアアアアァァッ!!」
 やがて、耐えられる限界を超えて捻られた香織の左腕が異音を発し、彼女の口から絶叫があふれる。ぐったりとなってひくひくと痙攣する香織の足の拘束を外すと、葉月はぐいっと彼女の左足首を捻りあげた。
「はぐっ!?」
「今度は、足首にしましょうか。もちろん、あなたが止めて欲しいというのなら止めますけど……あなたは、足首も折って欲しいんですよね? ううん、足首だけじゃなく、その他の場所も、気絶するまで折っていって欲しいんですよね?」
 足首に走った痛みにびくっと身体を震わせた香織へと、葉月が笑いながら問いかける。唇を震わせながら、香織はこくんと頷いた。軽く肩をすくめて見せると、見よう見まねで極めた足首へと葉月が力を込める。びくっ、びくっと身体を震わせながら香織が苦痛の叫びを上げ、涙を流す。ふふっと楽しげに笑いながら、葉月はゆっくりと香織の足首を捻っていった……。

 湿った音が陰気な室内へと響く。壁に背を預け、口元に皮肉げな笑みを浮かべている葉月。そして、その股間の辺りに香織が顔を当て、うつろな表情で舌を動かしている。両手、両足はありえない方向に捻じ曲がり、壊れた人形が打ち捨てられているような印象だ。全裸なのだが、全身が真っ赤に染まっているせいで赤い服を着ているようにも見える。香織に奉仕させている葉月がゆっくりと足を上げ、力なく投げ出された香織の腕へと踵を振り下ろす。
「はぎいぃっ!?」
「誰が、止めていいって言ったの?」
 骨の折れた部分を蹴りつけられ、香織がびくんと顔を跳ねさせる。冷たい口調で葉月が奉仕を中断させた香織へと呼びかけ、恐怖に表情を染めた香織が再び奉仕に戻る。ふふっとその姿に笑みを浮かべ、葉月は視線を絵夢のほうへと向けた。
「それにしても、この人、丈夫ですね。これだけされても意識を失わないなんて」
「まぁ、不死身の那智、とか、呼ばれてたそうですから」
 ぽとぽとっと至近距離から香織の尻へと溶けた蝋を垂らしながら、絵夢がそう応じる。怪訝そうな表情を浮かべつつ、葉月が再び足を上げて香織の折れた腕を蹴りつけた。
「ひぎゃああぁっ!?」
「続けなさい。……なんですか? その、不死身の那智って?」
「何でも、彼女の前任の美化委員長の人ってかなりのサドで、何人ものお気に入りを壊してきた『壊し屋』って呼ばれてた人だったそうなんです。で、その人の下で壊れもせずにずっとお気に入りでいられたことからついたあだ名だそうですよ。わたくしも、姉から聞いた話なので詳しくはしらないのですけれど」
 絵夢の言葉に、僅かに葉月が顔を曇らせた。
「だとすると、これぐらいの責めでは、参らないかもしれませんね……」
「さぁ、それはどうでしょう? その人も、ここまでやったことは、ないんじゃないかと思うのですけれど」
 ちらりと腕時計に視線を落とし、絵夢が苦笑を浮かべる。
「そろそろ始業時間になりますけれど、どうします?」
「そうですね……」
 絵夢の言葉に僅かに考え込むような表情を浮かべた葉月が、無造作に香織の腕を蹴る。びくんっと身体を震わせて苦痛の声を上げる香織のことを見やり、葉月は口元に笑みを浮かべた。
「まだ、しばらくは楽しめそうですし。授業に出なくても、特に問題はないでしょうから、もう少し続けましょう」
「ふふっ。分かりました、では、そのように連絡しておきますね」
 絵夢の言葉に頷きながら、葉月が手の中でもてあそんでいた変電機のスイッチを入れる。電圧を低めに設定された電流が香織の全身を駆け巡り、絞め殺される獣のような呻きを上げて香織が全身をのたうたせた。
「はがががががっ、がぎゃぐうぅっ、ぐががががっ、あががっ、ぐがああああっ」
 苦悶する香織の姿をしばらく楽しげに笑って見やっていた葉月がスイッチを切る。電流の責めから解放された香織が、苦しげに呻きながら再び自分の股間に顔をうずめ、奉仕に戻るのを満足そうに見やると葉月は小さく笑った……。
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