「ふぅ」
重い溜息をついて如月葉月が小さく首を振る。彼女の機嫌は、今朝、最悪に近かった。昨日やろうとした『遊び』に思わぬ邪魔が入ったせいだ。もちろん、邪魔をしてくれた相手にはそれなりの報復をするつもりだが、相手の立場が立場だけにそう簡単には行かない。それだけに、ますますいらだちは強くなる。
「ふぅ」
「あら、どうしたんですか?」
再び溜息をついた葉月の背後から、柔らかな声がかけられる。肩越しに振り返った葉月は、そこに立つ相手に向かって軽く肩をすくめて見せた。
「ちょっと、苛ついてて。昨日は、いいところで邪魔をされてしまいましたから」
「あらあら。お気持ちは分かりますけど、あまり気分をささくれ立たせるのは、健康によくありませんよ?」
くすくすと笑う白い絵夢のことをじろっと睨みつけた葉月が、ふいに何かに気付いた表情になって口元に笑みを浮かべた。唐突な葉月の変化に、軽く絵夢が首を傾げる。
「? どうか、なさいました?」
「ああ、そうですね、簡単なことですよね」
絵夢の言葉に答えるというより、独り言に近い調子でそう呟くと、葉月はにっこりと笑って絵夢のことを見つめた。
「苛々を発散させるのに、一番いい方法って、誰かにそれをぶつけることなんですよね。
と、言うわけで、絵夢? あなたの身体で発散させてもらおうかと思うんですけど、もちろん構いませんよね?」
にっこりと笑顔で物騒なことを言う葉月に、一瞬目を丸くした絵夢が、すぐに口元に嬉しそうな笑みを浮かべて頷く。
「ええ、もちろんですわ」
「ふふっ、そう、それじゃ、絵夢。ついてらっしゃい。楽しませてあげるから」
にいぃっと、口元を邪悪に歪めて葉月がそう言った。
「ああぁ、あぁん」
委員長用に用意された地下拷問室。そこで拘束台に仰向けで大の字に拘束された絵夢が、切なげな息を吐いて身体をくねらせる。当然、既に全ての衣服は脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿だ。くすくすと笑いながら、葉月が彼女の股間へと手を伸ばす。
「あらあら、もう濡れてきているのね。そんなに虐められるのが楽しみでしょうがないの?」
「あぁ、ご主人さまぁ、早く、早く私に苦痛を与えてくださいぃ」
頬を上気させ、誘うように腰をくねらせて絵夢が嬌声を上げる。重度のマゾヒストである絵夢にとって、苦痛は極上の快楽。普段から極悪な責めを行う葉月が、苛立ちを発散させるために行う責めともなれば、下手をすれば生命に関わりかねない過激なものとなるはずだ。死と隣り合わせの苦痛から自分がどれほどの快感を得ることが出来るか、それを想像するだけで絵夢の身体は熱く火照る。
「ふふっ、せっかちね。そうね、あなたのことだから、このままでも大丈夫だとは思うけど。一応、もう少し濡らしておきましょうか」
絵夢の姿に薄く笑みを浮かべ、葉月が拘束台の脇に立てかけてあったものを手に取る。金属バットに、有刺鉄線をぐるぐると幾重にも巻きつけた凶悪なそれを、見せ付けるように絵夢の顔の前にかざす。
「まずは、前菜と行きましょうか」
「ああぁ……これが、前菜……?」
うっとりとした表情で絵夢が濡れた目で無数の棘を突き出させたバットを見つめる。これで殴られれば、肌と肉が引き裂かれ、激痛と共に鮮血が飛び散ることだろう。その光景を想像し、熱い息を吐く絵夢のことを楽しげに見やり、無造作に葉月はバットを振り上げ、振り下ろした。剥きだしになった絵夢の両乳房を叩き潰すように。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアァァッ!」
柔らかく敏感な乳房へと加えられた容赦のない一撃に、絵夢が顔をのけぞらせて絶叫する。ふふっと楽しげな笑みを漏らすと葉月は再びバットを乳房へと振り下ろした。
「ウギャアアアアアアアアアアアアアァァッ! ギャッ、グギャアアアアアアアアアァァッ!」
びちゃっという湿った音を立ててバットが乳房を打ち据え、鮮血を撒き散らす。乳房は女の急所の一つ。単に拳で、いや、平手で打たれるだけでも強烈な痛みを感じる場所を、幾重にも有刺鉄線の巻かれたバットで力任せに打ち据えられたのだから、その痛みは尋常なものではない。絶叫を上げて身悶える絵夢の姿を楽しそうに眺めつつ、更に二度、三度と葉月がバットを振り下ろす。
「ギャアアアアアアァッ! ギヒイイイイイイイィッ! ウギャアアアアアアアァァッ!」
白い乳房が鮮血で真っ赤に染まり、形の良かった乳房は無残に石榴のように弾ける。叩きつけたバットをそのまま押し付けたままぐりっと回転させると、大きく目を見開いて絶叫する絵夢の股間から、ぶしゅうっと愛液が噴き出した。
「あら、もうイッたの? ふふっ、そんなに気持ちよかった?」
「はぁ~、はぁ~、はぁ~、う、ああ……」
荒い息を吐き、焦点の定まらない目を宙に彷徨わせて絵夢がこくんと小さく頷く。そう、と、笑って頷くと葉月は絵夢の股間のほうに回りこみ、秘所を指で左右に割り広げる。
「どろどろね、もう。これだけ濡れていれば、問題ないわね」
「本番、ですか……?」
無残に乳房を弾けさせ、上体を鮮血で赤く染めた絵夢がうっとりとした口調で問いかける。既に充分単体での拷問として通用するだけの責めだが、二人にとってはまだ本番前の軽い前菜に過ぎないらしい。くすっと笑うと葉月は空っぽの拳大のフラスコを手に取り、軽く振って見せた。
「この程度なら、楽に飲み込めるわよね、あなたなら」
「ええ、もちろんですわ」
期待するような絵夢の声。軽く肩をすくめると、葉月は無造作にフラスコを彼女の秘所へと押し込んだ。普通なら、拳大のフラスコなどそう簡単には入らないし、無理やり入れれば激痛を伴う行為だが、普段からフィストファックに慣れている絵夢にとっては特にどうということのない行為だ。
「ふわぁ、ア、あぁんっ、おっきくて、冷たいのが、はいってくるぅ」
甘い声を上げる絵夢の秘所の中に完全にフラスコを埋没させると、同じフラスコをもう一つ、葉月は取り出し振って見せた。
「二つ目は、入るかしら? この程度なら、まだ余裕よね?」
「ア、あぁっ、大丈夫、ですぅ」
甘い声を出して腰を振る絵夢の秘所へと、笑いながら葉月が二つ目のフラスコを押し込む。かちゃかちゃとガラスの触れ合う音を立てながら、絵夢の秘所の中へとフラスコが呑み込まれていった。
「うあ、ああぁっ、おっきいのが、また、ああっ、私の中で擦れて、ふわぁあぁんんっ」
陶然とした声を上げる絵夢の顔の前で、葉月が三つ目のフラスコを振って見せる。流石に、絵夢の表情に驚きの色が浮かんだ。
「三つ目、ですか?」
「入るでしょう? まぁ、裂けたところで、たいした問題じゃないし」
「あ、ああぁ……」
酷薄とも言える葉月の言葉に、絵夢がうっとりとした表情を浮かべてこくんと頷く。既に二つのフラスコを飲み込まされた絵夢の秘所に、葉月は三つ目のフラスコを押し込んだ。流石に、三つ目は簡単には入らず、かなり強い抵抗があるが、葉月は構うことなく強引に捩じ込んでいく。
「あっ、あがっ、あがああぁっ、おっき、いっ、裂けるっ、引き、裂け、るうぅっ! アガアアアアアアアァァッ!!」
びくびくと身体を痙攣させ、絵夢が叫ぶ。もっとも、それは苦痛ばかりの絶叫ではなく、多分に期待と快感を含んだ叫びだったが。くすっと笑い、葉月がフラスコを押し込んだ。ぶちいっという、肉の裂ける鈍い音が響く。
「ウッギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァッ!!」
身体を弓なりにのけぞらせて絵夢が絶叫する。大きく目を見開き、口から舌を突き出して喘ぐ絵夢の耳に、かちゃかちゃという乾いた音が届いた。涙で霞んだ視界に、葉月が指の間で挟んで振っている数本の試験管が映る。
「それ、は……?」
「流石に、もうフラスコは入らないけど。これぐらいなら、隙間に飲み込めるわよね?」
「あ、あ、あぁ……」
既に、三つのフラスコを飲み込まされ、引き裂かれた秘所に更に試験管を入れる……? そんなことをされたら自分はどうなってしまうのか。壊される、殺される、という思いが絵夢の脳裏に浮かび、それは暗い炎となってかっと絵夢の全身を燃え上がらせた。恐怖と期待がないまぜになった表情を浮かべる絵夢の姿を、心地よさげに見つめ、葉月が既にいっぱいになっている絵夢の秘所へと試験管の先端を当てる。僅かに試験管の先端が押し込まれただけで、身体がばらばらになったかと錯覚するほどの激痛が全身を貫き、絵夢が大きく目を見開いて絶叫する。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアァァッ!! アギッ、アギャギャギャギャッ、グギャアアアアアアアアアアアアアアァァッ!!」
ぶちぶちと秘所を引き裂きながら、挿入されていく試験管。激痛に泣き叫ぶ絵夢の姿を楽しむように、葉月がゆっくりと試験管を押し込んでいく。もっとも、既にぎちぎちになった絵夢の秘所の抵抗は強く、一思いに押し込もうとすればまず確実に試験管が折れる、という理由も、もしかしたら少しはあるかもしれない。
「グギャアアアアアアアアァッ!! ギエエエエエエエエエエエエェッ!! グギャハアアアアアアアアアアアァァッ!!」
ゆっくりと押し込まれていく試験管。一本目の挿入が終わると、すぐに二本目の挿入が始まる。ますます強くなる激痛に絵夢が狂ったように泣き叫ぶ。その姿を笑いながら見やりつつ、二本目の挿入を終えた葉月が三本目を押し込み始める。
「アギェエエエエエエエエェッ!! キエエエエエエエエエエエエエェッ!! クヒャアアアアアアアアアアアアアァァッ!!」
怪鳥のような甲高い絶叫をあげて絵夢が身悶える。口の端に泡を浮かべ、半ば白目を剥いて泣き叫ぶ絵夢だが、一方で激痛に比例した強烈な快感も得ているのか、際限なく股間から飛沫を飛ばしている。地獄の苦痛と天国の快楽、その双方を同時に味わっているのだ。
「四本目、は、流石に無理ですか。折れちゃうと、まずいですしね」
そういって軽く肩をすくめる葉月。一方、絵夢は下腹部をぽっこりと妊婦のように膨れ上がらせ、ヒューヒューと荒い息を吐いている。くすっと笑うと、葉月は壜とスポイトを取り出した。
「さて、しばらく、じっとしていてくださいね」
絵夢の腰の下に台を置いて突き込まれたフラスコと試験管の先端が上を向くようにすると、葉月は何重にもベルトで絵夢の腹から足にかけてを固定する。動かせる部分が上体だけになった絵夢が、拘束ベルトをぎしぎしときしませながら、苦痛と快楽に身体をくねらせる。
絵夢が完全に腰を動かせなくなったことを確認した葉月が、壜の中の液体をスポイトでフラスコと試験管に移しはじめる。多少は激痛にも慣れたのか、絵夢が僅かに顔を上げて怪訝そうな声を上げた。
「それ、は……?」
「ただの硫酸ですよ」
「硫、酸……!?」
目を丸くする絵夢にくすっと笑いかけると、更に葉月がフラスコや試験管に硫酸を注入していく。フラスコ三つに試験管三本、その全てを硫酸で満たすと、ゴム栓を填めて葉月が薄く笑った。
「さて、それでは……と、いけない、まだ、穴が一つ、残ってましたね」
絵夢の下半身の拘束を解こうとした葉月が、大きく広がった秘所の下でひくひくと震える絵夢の肛門に目を留めて軽く肩をすくめた。つんつんと指で肛門を突かれ、絵夢が身体を震わせる。
「あ、あぁっ、そんな、ところまで……?」
「試験管……ううん、あなたなら、フラスコでも平気ですかね」
溢れ出す愛液と血で濡れた肛門を指で揉み解しながら葉月が笑う。指の一本程度ならやすやすと飲み込む感触に、葉月の口元に凶悪な笑みが浮かんだ。空っぽのフラスコを手に取ると、肛門に押し当て、グイッと押し込む。
「アグッ、グッ、グアアアアアアアアァァッ! ゴリゴリって、中で、こすれるうぅっ! アガッ、ガッ、ガアアアアアアアアアァッ! おっき、いいぃっ」
単独でフラスコを飲み込まされたなら楽勝な絵夢でも、前をぎちぎちに拡張された状態では流石にきついのか。背筋を反り返らせ、絶叫を上げて身体を震わせる。くすくすと笑いながら、ずぶんっと葉月はフラスコを絵夢の肛門の中へと沈めた。
「アグアアアアアアアギヒヤアアアアアアァァッ! おグおエアアアアアオオオアオアオオオオッ」
きゅうっと足指が丸められ、手を握ったり開いたりを繰り返しながら絵夢が顔を振りたてる。無茶苦茶な悲鳴を上げるその姿を楽しげに笑いながら眺め、葉月は肛門に押し込んだフラスコにも硫酸を満たした。
「かはーーっ、はーーっ、ひゅうぅ~、ひゅうぅ~~」
大きく目を見開いて、荒い息を吐く絵夢。その下半身の拘束を外し、くすくすと笑いながら葉月は有刺鉄線を巻きつけたバットを再び手にとった。
「さあ、ご褒美を上げましょうか、絵夢」
「あ、あぁ、ああ、あ……」
無茶苦茶な激痛に目をとろんとさせ、口から涎を垂れ流して絵夢が喘ぐ。だが、その瞳に浮かぶ色は、恐怖や苦痛ばかりではない。歓喜と期待の色も、確かに浮かんでいる。ゆっくりとバットを大上段に振りかぶりながらにやりと笑うと、葉月はぼこっと膨れ上がった絵夢の下腹部へと、思いっきりバットを振り下ろした。
グシャッ、バキバキバキッ……!
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァッ!!!」
人間がこれだけの叫びを上げられるのか、と、そう思うほどの大絶叫。手足を拘束するベルトを引きちぎらんばかりに身体をのたうたせ、絵夢が絶叫を放つ。胎内に押し込まれた四つのフラスコと三本の試験管。それらが全て砕かれ、粘膜にガラスの破片が食い込む。中に満たされていた硫酸があふれ出し、絵夢の内臓を焼く。
「ウギェエエエエエエエエエエエエエッ!! オゴアガアアアアアアァァッ!! グギャガラベギャガアアアアアアアアアアアアァァッ!!」
ぶくぶくと泡を吹きながら、絵夢が滅茶苦茶な絶叫を上げて身悶える。大きくのけぞらせた身体がぶるぶると断末魔じみた痙攣を見せ、絵夢は白目を剥いて悶絶した。それも当然だろう。並の人間なら、ショック死してもおかしくないだけの激痛のはずだ。
「あらあら、気絶しちゃいましたか。けどね、絵夢? 誰が、気絶してもいいだなんて言ったかしら?」
凶器を含んだ笑みを浮かべつつ、葉月がバットを振り下ろす。血まみれの絵夢の腹へとバットが叩き込まれ、絵夢の胎内のガラスを更に砕き、深く粘膜に食い込ませる。
「グギェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!?!?」
びくんっと身体を跳ねさせ、激痛によって無理やり覚醒させられた絵夢が絶叫する。くすっと笑うと、再び葉月がバットを振るう。
グシャッ、メキメキメキィ……!
「ギヒャアアアアアアアアアアアアアアアアァァッ!! ジヌッ、ボンドニ、ジヌウウウゥゥッ!! アギャアアアアアアアアアァッ!!」
喉が張り裂けんばかりの大絶叫。びくびくと身体は痙攣し、零れ落ちんばかりに目を見開き、口から泡を吹いて絵夢が悶え苦しむ。あふれた硫酸によって内臓を焼かれ、しゅうしゅうと白煙を上げながら、血まみれになって身悶える絵夢の姿に、葉月が楽しそうな笑いをあげた。
「あははははっ、痛い? 苦しい? ほら、もっと苦しみなさい」
「ヒギイイイイイイイイイイイイイイイイィッ!! グギャアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!! ジヌウウウゥッ、ジンジャウウウウゥゥッ!!」
バットが振り下ろされ、血飛沫が散る。地獄の亡者でもこれほどまでは泣き叫ばないだろうと思うほどの絶叫を上げ、絵夢が身悶える。くすくすと笑いながら、葉月は何度も何度も、バットを絵夢へと叩きつけた。完全に意識を失い、彼女が動かなくなるまで。後に、絵夢の治療をした医師が、よくこれでまだ息があるものだと首を傾げるほどぼろぼろになるまで、彼女は絵夢のことを責め苛み続けた……。