女忍者


 大陸にいくつもの国が割拠し、互いに覇を競う戦乱の世。この時代、忍者と呼ばれる者たちが居た。敵の情報を探り、時には敵地に侵入して破壊工作や情報操作を行う者たちだ。戦場での兵たちのぶつかり合いに先立って人目に触れることなく闘いを交わす者たち……その多くは、相手の警戒を誘わない若い娘たちである。
 だが、任務に失敗し、敵の手に落ちた忍者を待ち受ける運命は悲惨の一言に尽きる。彼女たちのほとんどは、二度と日の目を見ることはない。過酷な拷問、そして陵辱……任務に失敗した忍者には、死によってのみ終わる苦痛の日々が待つだけなのだ。

「う、あ……う、くぅ、あぁ……」
 押し殺したような、喘ぎとも呻きともつかない若い女の声が薄暗い室内に響く。ぐちゅっ、ぐちゅっという湿った音と、ぎしぎしという縄の軋む音がそれに重なる。
「へへっ、どうした? 感じてるんなら、もっと派手に声を出したっていいんだぜ?」
「くっ、う……」
 嘲るような男の声に、女が悔しげに唇を噛む。両腕をそろえて縄で縛られ、天井から吊るされた全裸の女を前後から二人の男が犯していた。女の白い肌には痛々しい赤い筋が縦横に走り、所々では血を滲ませている。
「なぁに澄ましてやがるんだ。口でなんと言おうと、身体は正直だぜ。しっかり男を咥え込んで、離さねえじゃねえか。たっぷりと男を知ってるんだろ、ええ?」
「くうっ」
 あからさまな男の侮蔑の言葉に、怒りか羞恥か頬を赤く染めて女が顔を振る。両腕、両足の腱を切られた彼女には、例え縛られておらずとも男たちの蹂躙を避ける術はない。どんな目に遭おうと無抵抗でそれを受け入れなければならないのだ。
「へっ、へへっ、おら、いくぞっ」
「う、あ、あああぁぁ……」
 やがて前後から彼女の秘所と肛門とを犯していた男たちが下卑た笑い声を上げながら腰の動きを早め、彼女の体内へと精をぶちまける。自分の身体を汚していく熱い精の感触に、掠れた声を上げて女が悔しげな声を上げた。
「へっ、たいしたもんだ。もう何十回と犯されてるってのに、相変わらず具合がいいぜ、お前の持ち物はよ」
「さぁて、お楽しみの時間は終わりだ。ま、お前が素直に喋ってくれれば、もっと続けてやってもいいがね」
 自分の身体から離れた男たちの言葉に、女は無言で睨みつけることで応じた。今まで男たちに犯されていた秘所と肛門からどろりと白い粘液が零れ落ち、太股を汚す。その感触に不快そうに眉をしかめ、自分たちのことを睨む女へと軽く肩をすくめてみせると、男の一人が壁際から台車のついた三角木馬を引きずって来た。
「今日はこいつを使ってやる。へへっ、こいつに乗せられたら、お前さんの大事な所が酷いことになるぜ。どうだ? 怖いだろう?」
 ぽんっと鋭い木馬の背を叩いて男がそう言う。しかし、無言のまま男たちと木馬とを睨む女の顔に、怯えの色は浮かばない。その態度に少し気分を害したのか、ちっと舌打ちをすると男たちは女の横へと木馬を動かし、左右から彼女の太股を掴んで持ち上げる。
「そうら、よっと」
「くっ、あっ、あぁっ」
 どさっと乱暴に木馬の背にまたがされた女が、噛み殺しきれない苦痛の声を上げる。男たちの手が太股から離れ、完全に自分の体重が木馬へとかかると、女は苦しげに眉をしかめて頭を振り立てた。
「うっ、ううっ、くうぅっ!」
「どうだい? 木馬の乗り心地は。あんまり強情を張ると、お前さんの大事な所がずたずたになるぞ?」
「くっ、くうぅっ!」
 男たちの声に、懸命に悲鳴を噛み殺そうとしながら女が身をよじる。壁に吊るされた皮製の鞭を手に取りながら、男の一人が女へと問い掛けた。
「さあ、誰の命令でこの国に忍び込んだ? 素直に喋れば、そこからおろしてやるぞ?」
「くっ、だ、誰が、喋る、ものですか……! くうぅっ」
 男の言葉に、苦痛に顔を歪めながら女が応じる。軽く唇の端を上げると、男は手にした鞭をひゅっと振りかぶり、振り下ろした。
「きゃああああああああぁっ! あっ、あぐうぅっ!」
 パシーンという乾いた音とともに女の背に真紅の筋が走り、悲鳴を上げて身体をのけぞらせかけた女が別の種類の悲鳴を上げて身体を前に倒す。鞭の苦痛に身体をのけぞらせようとした瞬間、鋭い木馬の瀬が彼女の股間を抉り、新たな苦痛を生んだのだ。
「素直に喋れば、生命だけは助けてやる。さあ、誰の命を受けてここに来たんだ?」
「こ、殺されたって、喋るもんですか……!」
「やれやれ、強情だなぁ。おい」
 軽く肩をすくめた男の声を受け、もう一人の男が再び鞭を振るう。既に何本もの鞭跡が刻まれた肌へと新たな鞭の跡が刻み込まれ、女の口から悲鳴があふれた。
「きゃああああああぁっ!」
「ほう、今度は一応こらえたか。けど、こいつには耐えられないだろう?」
 悲鳴を上げながらも身体の動きは最小限に押さえ、股間に食い込む鋭い木馬の痛みを増幅することは回避した女へと、自分も皮鞭を手に取りながら男が笑いかける。ひゅっと風を裂いた鞭は女の乳房を直撃し、柔らかい肌を引き裂いてぱっと鮮血を飛び散らせた。
「きっ、きゃあああああああぁっ! ぎっ、ぎいいぃっ!」
 乳房で弾けた激痛に身をよじった女が、股間を木馬の背で抉られて濁った悲鳴を上げる。笑いを浮かべながら男たちは前後から女の身体を鞭で打ち据え始めた。
「ひいっ、あっ、ああああぁっ、きゃああぁっ、ひっ、ひいいいいいぃっ!」
 びしっ、ばしっと肉を打つ音が連続して響き、女が悲鳴を上げながら木馬の上で身をよじる。身体を動かすたびに股間で激痛が弾け、それをこらえようとしても胸を、背を、腹を、尻を、鞭が次々に襲うためにままならない。
「あ、あぎいいぃ……」
 鞭の連打がやむころには、女は全身を血まみれにし、掠れた呻きを漏らしてがっくりと首を前に折っていた。意識を失ってはいないようだが、全身にびっしょりと脂汗が浮かび、肩が大きく上下している。
「どうだ? 素直に喋る気にはなったかい?」
「……」
 男の問いかけにのろのろと顔を上げ、無言のまま女が首を横に振る。満面に汗を浮かべ、乱れた髪がそこに張り付いているさまは壮絶な美しさと色気を感じさせる。くくっと喉を鳴らすと、男はもう一人へと合図を送った。
「なるほど、この程度じゃまだ平気ってわけか。じゃ、足に重りを吊るしてやろう。そうすればますます大事なところに木馬が食い込むからなあ。お前さんの硬い口も、少しは開きやすくなるだろう」
「……勝手にすれば」
 ふいっと顔をそむけながら、女がそう呟く。重りにするための四角い石を運んできた男が、腱を切られたためにまったく動かせず、だらんと垂れ下がったままの女の足を掴み、まずは両足首を縄で結ぶ。そして、両足首をつなぐ縄の中間に短い縄で石をつなげた。
「ぎっ、ぎゃああああああああああああああぁっ!!」
 大きく目を見開き、女が顔をのけぞらせる。鋭い木馬の背が彼女の股間へと食い込み、肌を、肉を食い破る。引き裂かれた傷から鮮血があふれ、木馬の背を赤く染めた。
「さあ、どうだ? これなら喋る気になっただろう?」
「あ、ぎ、あ……しゃ、喋る、もん、ですか……あ、あぐううぅっ」
 股間を苛む激痛に、顔を苦悶に歪めて切れ切れの言葉を女が紡ぐ。軽く肩をすくめると、男は太い蝋燭を壁の棚から取りだし、壁で燃える松明の炎で火を点けた。
「そうかい、じゃ、これならどうだ?」
「あっ、あっ、あああああああああぁっ!!」
 蝋燭の炎が、直接女の肌をあぶる。上へと引き上げられた腕から脇の下、更に脇腹へと男がゆっくりと炎を動かし、じりじりと女の肌を焼く。微かな白煙とともに肉の焦げる臭いが僅かに立ち込め、女の口からは悲鳴があふれる。
「ひいっ、あっ、熱っ、あっ、あああああぁっ!!」
「熱いだろうなぁ、そりゃ。止めて欲しいだろう? だったら、素直に……」
「嫌ああぁっ、喋らないっ、私は、何もっ、喋らないわっ。あっ、ああああああぁっ!!」
 いったん太股の辺りに下がった炎が今度は腹を通り、乳房へと向かう。斜めに傾けられた蝋燭から滴る蝋が女の肌へと落ち、時には鞭で刻まれた傷を埋め、焼く。悲鳴を上げて身悶える女へと男が問い掛けるが、拒絶の叫びを上げて女は激しく首を左右に振った。もちろん、その間、女が身悶えるたびに木馬の背が女の股間を抉り、更なる激痛を彼女に感じさせている。
「あっ、ああっ、ああああああぁっ! ぎっ、ぎいっ、あっ、ひいいいいいぃっ!」
「そらそら、あんまり強情張ると、胸が焼けるぜ? 素直に喋っちまいな。どんなに意地を張ったところで、お前さんの運命はもう決まっているんだからよ」
「そうそう、捕らわれた忍者は二度と日の目を見られない。知ってるんだろ? 素直に喋って、楽になっちまえよ」
「あ、熱っ、ああっ。はやくっ、あ、っ、こ、殺し、なさいよっ。じ、時間の、ああっ、ぎっ、無駄っ、あああぁっ、だからっ、きひいいいいいぃっ」
 男たちの言葉と炎、木馬に同時に嬲られながら、女はあくまでも自白を拒む。悲鳴を交えながらの不明瞭な叫びに軽く肩をすくめると男の一人はじわじわと乳房へと近づけていた蝋燭の炎を一気に乳房へと動かし、もう一人は木馬に手をかけてがたがたっと激しく揺さぶる。
「ウッギャアアアアアアアアアアアアアァッ!! ギギャッ、ギャッ、ギャビャアアアアアアアアアアァァッ!!」
 股間を苛む痛みが一気に数倍に膨れ上がり、同時に女の身体の中でもっとも敏感な部分の一つである胸が焼かれる。その二つの激痛に女の口から獣じみた濁った絶叫があふれる。目を見開き、激痛に激しく身体を震わせる女。だが、それが皮肉にも更に股間を引き裂き、胸の火傷を広げる結果になる。
「ギャアアアアアアアアアアァッ!! ウギャアアアアアアアアァッ!! ギヒイイイイイイイィィッ!!」
 喉が裂けんばかりに絶叫を上げつづける女。その苦痛は、彼女が屈服するか気絶するかのどちらかでしか終わらない。気絶したとしたら一応の手当てを受けて一晩は眠れるが、翌日以降も同じように拷問担当の男たちに陵辱され、気絶するか屈服するかするまで拷問を受ける日々が続く。屈服したとしても、事態はさほど好転しない。拷問が加えられなくなるだけで、やはり待つのはこの日の差さない地下室で男たちに陵辱される日々だけなのだから。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアァッ!! 殺してっ、殺してぇっ!! ウギャアアアアアアアアアアアアアァッ!!」
 女の悲痛な叫びが、地下室に木霊した……。
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