占い師


「私が、魔女だとあなたは言うのですね? 踊り子だった姉さんを、魔女として殺したように、私も魔女として火刑に処すつもりなのでしょう?」
 淡々とした口調の中に、静かな怒りを込めて女がそう問いかける。ゆったりとウェーブのかかった衣服、顔の下半分を覆うベールという典型的な占い師のいでたちだ。女の視線を受けとめ、異端審問官が軽く肩をすくめる。
「未来を知ることが出来るのは、神と、神の使徒のみ。教会に所属していないお前が未来を語るのは、悪魔の力を借りてるからであろう?」
「私が何をいっても、あなたがたは聞く耳を持たない……。いいでしょう、私を拷問にかければいい。けれど、私は魔女などではない。どんな拷問を受けようと、それは譲れません」
「ふっ、大きな口を叩き寄る。しかし、それがいつまで続くかな?」
 異端審問官が軽く片手を上げ、兵士たちが女の衣服を剥ぎ取る。裸身を露にしながら、腕で隠そうともせずに女が異端審問官をにらみつける。兵士たちが女を柱に縛りつけると、異端審問官は椅子から立ち上がって女の前に歩み出た。兵士たちが女の足を抱え、割り開く。異端審問官の指が女の秘所へと伸び、薄い陰毛で覆われた割れ目を左右に押し広げた。
「うっ……」
「ふむ、奇麗な色をしておる。悪魔と交わり、多くの男をここで誘惑しているとは思えんな」
「私は、処女です。疑うなら、確かめてみれば良いでしょう?」
 秘所を押し広げられ、じろじろと無遠慮な視線を浴びて女が僅かに羞恥に顔を赤らめる。それでも毅然とした態度を崩さない女の態度に異端審問官が口元を歪めた。
「ふむ、ならば、確かめてみるとしよう。張り型を」
 異端審問官の言葉に、兵士の一人が男性器を象った木製の張り型を差し出す。くくっと低く笑うと、異端審問官は無造作に割り開かれた女の秘所へとねじこんだ。
「うあっ、あっ、裂け、るっ、くああああぁっ!」
 元々、彼女が受け入れるには大きすぎる張り型を、まったく受け入れ準備の整っていない秘所へとねじこまれ、流石に女が悲鳴を上げて身をよじる。くくっと喉を鳴らしながら、異端審問官は更に奥深くへと張り型をねじこんでいく。
「ああっ、痛いっ、裂けるっ、ああっ、痛いっ、裂けてるっ、くああああぁっ!」
「ふふふ、演技が巧いではないか。そうやって痛がってみせれば、処女と思ってもらえるというのであろう? だが、そんなのは魔女の常套手段。惑わされはせん」
 ぐりぐりと、えぐるように回転させながら異端審問官が女の秘所から張り型を抜き差しする。苦痛の声を上げてもがく女の秘所から真っ赤な血があふれ、彼女の痛みのためにピンと張り詰めた太股をつうっと伝った。ふむ、と、小さく呟いて異端審問官が張り型を引き抜く。べったりと血に濡れた張り型に荒い息を吐きながら視線を落とし、女は異端審問官へと呼びかけた。
「どう、です……。私が、処女であること、魔女などではないことが、くぅっ、これで、分かったでしょう?」
「ふむ、少々、器具が大きすぎたようじゃな。裂傷が出来てしまったらしい。この出血は、純潔の証などではなく、単に裂傷から出た血に過ぎん」
 血に濡れた張り型をしげしげと眺めながら異端審問官がそう言い、僅かに女が目を見開く。一瞬異端審問官の顔を凝視すると、彼女はふいっと顔を逸らした。
「あなたたちは、いつもそう。最初から結論を出しておいて、都合の悪い事実は適当な理由を付けて無視してしまう……。最初から、人の話を聞くつもりなんて、ないのよ。こんなの、ただの茶番だわ」
「ほう? 貴様、神聖なるこの異端審問会を侮辱するのか? それこそ、紛れもない魔女の証。敬謙なる信徒であれば、そのような戯言など口に出来る筈もない。
 悪魔に魂を売った魔女だけが、そのようなことを口に出来るのだ!」
「……」
「反論できまい? 貴様が魔女であることは既に明白。さあ、素直に自らの罪を悔い、魔女であることを告白するがいい」
「……私が何かを言えば、それが罪になる。何も言わなければ、それも罪になる。一体、どうしろって言うのよ?」
「まだ、しらを切るのか。ではしかたない。悪魔と交わった穴を聖なる炎で清め、貴様の腐った心根を正すとしよう。そうすれば、素直に罪を認めることも出来るようになるであろうて」
 異端審問官の言葉に、兵士が太い蝋燭を持ってくる。聖句を唱えながら異端審問官が蝋燭に火を点し、兵士たちが床の鎖に女の足首を繋いで大きく彼女の足を割り開く。左右から兵士の手が女の秘所へとのび、血と愛液とで濡れた割れ目をぐいっと左右に押し開いた。
「さあ、自らの罪を悔い、魔女であることを認めるがいい」
「アッ、アアッ、アアア----ッ!!」
 割り開かれた秘所へと蝋燭の炎が差し込まれ、敏感な粘膜をあぶる。その熱さには耐えきれず、女は大きく目を見開き、顔をのけぞらせて甲高い悲鳴を上げた。
「さあ、認めるのだ。悪魔に魂を売り渡した、魔女であることを」
「アヒッ、ヒイッ、熱いっ、ヒイイイィッ!! アアッ、熱っ、ヒッ、灼けるッ、アヒイイイィッ!!」
「認めよ。認めるのだ」
「違うぅっ! 私はっ、ヒイイィッ! 魔女なんかじゃっ、キャアアアアァッ、熱いいぃっ! キヒイイイイィッ!!」
「ええい、強情な奴だ。さっさと認めんか」
「ヒイイイイィッ! キヒイイイイィッ! イヤアアアアアアァッ!! 魔女なんか、じゃっ、アヒイイイィッ、ないいぃっ、キャアアアアアアアァァ----ッ!!」
 蝋燭の炎が揺れ、女の粘膜をあぶる。下腹部を襲う灼熱感に目を見開き、激しく身をよじって女が絶叫を上げる。それでもかたくなに魔女であることを拒みつづける女に、異端審問官は小さく舌打ちをすると蝋燭を動かした。秘所の割れ目の中へと差し込まれていた炎がいったん引き抜かれ、秘所の上にちょこんと顔を覗かせている女のもっとも敏感な所--肉芽へと向かう。
「キヒャアアアアアアァ---ッ!? ヒャッ、アッ、ヒヤアアアアアアアアァッ!! 熱いっ、死ぬっ、シンジャウウゥッ! ギャアアアアアアアアアア----ッ!!」
 あまりにも強烈な熱さと痛みに気丈な態度が崩れ、女が絶叫を上げて激しく頭を振る。がちゃっ、がちゃと激しく鎖が鳴り、彼女が縛りつけられた柱がギシギシと軋む。乳房を震わせ、目を大きく見開いて女が絶叫を上げる。
「キャアアアアアアアアァッ! 熱いっ、熱い熱い熱いぃっ! キヒイイイイィッ! ヒイヤアアアアアアァッ!! 死ぬっ、キヒイイイイィッ! 死んじゃうっ、アアッ、アッ、アヒイイイイイィッ!!」
「認めよ、魔女であることを認めるのだ」
「イヤアアアアアアァッ! 違うっ、アアッ、私はっ、ヒイイイィッ、熱いっ、ヒイッ、魔女っ、アアッ、ヒイッ、じゃ、アアア---ッ、ないぃっ。ヒイヤアアアアアアアァ----ッ!!」
「まだ、強情をはるか。だが、いつまで続くかな?」
「ヒィッ、ヒイイィッ、キヒイイイィッ!! 死ぬっ、アアッ、熱いっ、キヒイイイイィッ!! アアッ、ギャアアアアアア----ッ!!」
 敏感な肉芽が炎に包まれ、うっすらと白煙を上げる。大きく目を見開き、全身にびっしょりと浮かべた汗を飛び散らせながら女が身悶える。(挿絵
「キヒャアアアアアアァッ! やめてっ、やめてぇっ! アアッ、熱いっ、ヒイッ、燃えるっ、アアッ、アアアア---ッ! キイッ、キヒイイイイイィッ!!」
「やめて欲しくば、罪を認めよ。己が魔女であることを、告白するのだ」
「イヤッ、イヤイヤイヤッ! キヒャアアアアアアァッ、キャアアアアアアアアアァッ、アアアアアア----ッ! ヒイッ、ヒイイイィッ、キヒッ、キイッ、キヒイイイイイイイィ----ッ!!」 
 異端審問官の言葉も耳に入っているのかどうか定かではないような状態になり、女が身悶えながら絶叫を続ける。それはその後も変わらず続き、彼女が白目を剥いて気絶するまで炎が彼女の秘所から離れることはなかった。最後まで魔女であることを認めようとはしなかった彼女の、気絶した姿に異端審問官が鼻を鳴らし、水の審判にかけることを決定してこの日の異端審問会は幕を閉じたのである……。