草木も眠る丑三つ刻。客足も絶え、泊り客の居る二階はともかく榊屋の一階はしんと静まりかえっている。その、闇と静寂に満たされた廊下を、そろりそろりと足音を忍ばせて霞が歩いている。きょろきょろと落ち着きなく辺りを見回し、左手で胸元を押さえて。
 彼女が向かう先は、裏の通用口。緊張に表情をこわばらせ、汗を浮かべている。ぎし、と、廊下の床が軋んだ音をたて、びくっと霞が身をすくませた。しばらく周囲の様子をうかがい、何の変化もないことを確認してふぅっと息を吐く。
 廊下の角を曲がり、霞は額に浮かんだ汗を拭った。ごくりと唾を飲み込み、更に一歩を踏み出す。
「何やってんだい? こんな時間に?」
「ひっ!?」
 不意に背後からかけられた声に、びくっと霞が身体を硬直させる。怪訝そうに眉をしかめ、燭台を手にした女将が彼女の肩に手をかけた。
「厠かい? にしちゃ、変なところに居るみたいだけど、寝ぼけでもしたのかい?
 ……うん? ちょっと、あんた、懐に何を持ってるんだい?」
 霞を振り向かせた女将が、胸元を押さえる霞の左腕を掴む。あっと小さく霞が声をあげ、床の上に巾着袋が落ちた。じゃらっと、巾着の口から五分銀がこぼれ落ちる。ぎゅっと女将が眉を寄せた。
「何だい? この金は。まさかあんた、店の金を盗んだんじゃないだろうね!?」
「そ、そうよ! 何が悪いっていうのよ!? この間、人に濡れ衣着せて散々いたぶったくせに! 慰謝料代わりに頂いてったって、いいじゃない!」
 開き直ったのか、霞がそう叫ぶ。ぎゅっと唇を噛み締め、女将がパンっと霞の頬へと平手打ちを見舞った。きゃっと小さく声をあげ、霞が廊下に倒れ込む。
「盗人猛々しいとはこのことさね! 二度とそんな馬鹿なまねしないよう、たっぷり仕置きをしてやるよ!」
 床の上に倒れ込み、悔しそうにこちらを見上げている霞へと女将がそう怒鳴った。

「やだっ、やめてよっ。放してよっ」
 土間の上に転がされた霞が、もがきながらそう叫ぶ。竹を四角に組みあわせ、対角線にも竹を渡して補強した、凧の骨組みのようなものに霞は縛り付けられていた。四つの角に手足を結ばれ、裸に剥かれた身体を覆うことも出来ない。
「あんたは、まだ客を取っちゃいないからねぇ。多少後を引くような仕置きも出来るってもんさ。根性叩き直すためだ、せいぜい苦しんでおくれ」
 口元を歪め、女将がそう言う。ぎっと自分のことをにらみつける霞へと嘲笑を向けると、女将は小さな壷を小脇に抱え、竹のヘラを中へと突っ込んだ。どろりとした、黒い粘液が壷の中には満たされている。
「ちょ、ちょっと! 何するつもり!?」
「なぁに、ちょいと漆でかぶれてもらうだけさ」
 くくくっと笑いながら、竹のヘラで霞の胸や腹、太股、更には股間へと漆を塗り込んでいく。ぎゅっと唇を噛み締めて冷たい感触に耐えていた霞が、さほどの間をおかずに身体をくねらせ始めた。
「や、やだっ、ヒリヒリする……! やっ、か、痒い……!」
 薄く延ばされた漆の周辺で、霞の肌が赤く腫れあがり始める。くねくねと腰を振り、左右に頭を振って霞が身悶える。
「や、だぁっ。痒い、痒いのっ。ひっ、いっ。助けてぇっ」
 ぐんと腰を突き出すようにして身体を弓なりにのけぞらせ、霞が叫ぶ。全身に汗が浮かび、ぱくぱくと酸欠の金魚のように口を開閉させる。縛られた手首に血がにじむほど強く縄を引っ張り、何とか逃れようと身体を震わせる。
「漆にかぶれると、二、三日は腫れが引かないからねぇ。ま、自業自得と思ってあきらめるんだね」
「やだっ、や、ぁっ。痒いの、あぁっんっ。くうぅっ、あっ、あああっ」
 身をよじり、見ようによっては扇情的ですらある動きを霞が見せる。肌が弱いたちなのか、漆を塗られた部分を中心として結構広い範囲に早くもぼつぼつと湿疹が広がっている。
「ああんっ、あっ、あぁっ。ごめん、ごめんなさいっ、もうしないっ、しないからぁっ。痒くて……狂い、そう……くうぅっ」
「おやおや、まだ小手調べだってのに、もう降参かい? そんなにさっさとけつをまくるぐらいなら、最初からあんな馬鹿なまね、するんじゃないよっ!」
 苦笑するような口調から、一転して激しい口調に変わって女将が霞を怒鳴り付ける。ひっ、ひっと切れ切れの悲鳴をあげ、霞が痒みに悶え、涙を流して髪を振り乱す。
「あぁんっ、か、痒いぃっ。ごめんなさいっ、もうしないっ、お、お願いっ、助けてっ」
「ふん。仕置きがきついのは当然さね。ほら、追加だよ」
 男根を象った木製の張り型に布を巻きつけ、漆の壷に浸しながら女将が霞にそう告げる。先刻、ヘラで周辺部分に塗られただけで痛みと勘違いしそうなほど強烈な痒みを放っている秘所に、漆をたっぷりと含んだ張り型の先端が触れる。ひいぃっと甲高い悲鳴を上げて霞が首をのけぞらせた。まだ幼いとはいえ、彼女も遊郭で働く娘だ。既に開通式は済ませているが、漆塗りの張り型による刺激は今までに味わったことがないほど強烈なものだった。
「やっ、やあぁっ。やめてぇーーっ!」
 霞の絶叫に、くっと唇を歪ませると女将はぐんっと奥深くまで張り型を押し込んだ。潤ってない秘所に張り型をねじ込まれる痛みは、次の瞬間沸き起こった激烈な痒みによって打ち消された。脳裏が真っ白になり、何も考えられない。声にならない絶叫をあげ、びくんびくんと数度身体を痙攣させると霞はそのまま意識を失った。半開きになった口から、よだれがあふれて土間の上にしみを作る。
「おやおや……感じやすいたちなのかい? それとも、相性の問題かねぇ?」
 普通に予想されるよりだいぶ激しい反応に、女将が苦笑のようなものを浮かべて張り型を引きぬいた。失神してしまった霞から返る声はなく、軽く肩をすくめると女将が棚へと歩み寄る。慎重な手付きで、女将は一組の手袋を取り出た。
 見た目は、ごく普通の手袋だ。ただ、その指の腹の部分に小さな針がいくつも植え付けてある。もっとも、針の大きさはごく小さく、この手袋をはめた状態で腕などを掴まれたとしても、猫に引っ掻かれた程度の傷しかつかないだろう。
 失神し、ぐったりとしている霞の両手に、女将がその刺付き手袋をはめる。その後で手首に薄い金属製のベルトを巻きつけ、ぱちんと鍵をかけた。これで、ベルトを外さない限り手袋を脱ぐことは出来なくなった訳だ。
 準備を終えると、女将は手桶で霞の顔に水を浴びせた。小さく呻いて霞が目を開ける。ぼんやりとした視線が宙をさまよう。
「う、ん……」
 余裕の笑みを浮かべて見守る女将の前で、霞が小さく呻いて頭を動かす。ぼんやりとしたその瞳に、動揺の色が浮かんだ。
「あっ、な、なにこれ!? 痒いっ、ひっ、あっ、やだぁっ」
 霞が動揺の声を上げて身悶える。くすくすと笑いながら女将が床の上でのたうっている霞へと歩み寄る。草履履きの足が上がり、霞の薄い胸を踏み付けた。
「どこが痒いんだい? ここかい?」
「い、やぁっ、痛いっ。
 あっ、ダメッ、やめないでぇっ」
 乳房を踏みにじられる痛みに思わず苦痛の呻きをもらした霞だが、女将の足が胸から離れようとすると慌ててそれを呼びとめる。胸と股間に広がる強烈な痒みを、痛みが一瞬とはいえ紛らわせてくれるのだ。霞の反応を楽しむように、ぐりぐりと爪先で女将が霞の胸を踏みにじる。まだ幼い乳房が草履に押し潰され、淫らな形に歪む。
「い、たいっ。やっ、やだぁっ。そ、そんなに強く……あぁんっ、やだっ、やめちゃ、くぅうんっ」
「おやぁ? もしかしてあんた、感じてるのかい? そうか、あんたはこうされるのが好きなんだね」
 くくくっと含み笑いをしながら女将が嬲るような声をかける。女将の言葉を否定するように霞が激しく首を左右に振った。瞳に涙があふれ、こぼれ落ちる。
「そ、そんなこと、ないわよっ。あっ、くうぅっ」
「おや、そうかい。別に気持ちよくないって言うんなら、続けることもないかねぇ」
 余裕の笑みを浮かべてそう言うと、女将が一歩退く。まだ散々踏みにじられた乳房に痛みが残っているが、それを打ち消すかのように股間から強烈な痒みが沸きあがってきた。ひいぃっと悲鳴を上げて霞が身体を弓なりにのけぞらせる。
「やっ、痒いっ、何、何なの!? ひっ、ひいいぃっ」
 びくんびくんと腰を突き上げるようにして霞が身体を痙攣させる。彼女の秘所は真っ赤に腫れあがり、内部の肉ひだが膨れて外にはみ出してしまっている。当分は使い物にならないだろうと思われる、無残な姿だ。
「痒いのっ、やだっ、お、お願いっ、掻かせてっ。あぁんっ、痒いよぉっ」
 涙を流し、霞が身悶える。くすくすと笑いながら女将が霞へと問いかけた。
「そんなに、掻きたいかい?」
「掻かせてっ、あぁっ、変になるっ。ねっ、えっ、お願いだからっ。や、あぁっ。ひっ、ひいぃっ」
 くねくねと腰を揺すり、霞が叫ぶ。苦笑を浮かべながら、女将が懐から取り出した小刀で霞の右手を縛る縄をぶつっと断ち切った。弾かれたように霞の右手が動き、赤く腫れあがった秘所へと伸ばされる。だが……。
「ひぎっ!?」
 秘所に指が触れた途端走った激痛に、ぶんっと右手を秘所から離して霞が悲鳴を上げた。自分の右手へと向けた瞳が、大きく見開かれる。
「やっ、何これ!?」
「どうしたんだい? せっかく右手を使えるようにしてやったんだ。痒いなら、好きなだけ掻くがいいさ」
 からかうような女将の言葉に、霞が呆然とした表情を浮かべる。指に植え付けられた針に小さな血の玉が光っていた。この程度の小さな針でも、敏感な粘膜を痛め付けるには十分だ。右手を自由にされたというのに、その手で思う存分痒いところを掻くことが出来ない。
「ひっ、酷いっ! 何で、何でこんな酷いことが出来るのよ!? う、あぁっ、ああんっ」
 霞の抗議の言葉が力なく震え、苦しげな喘ぎに変わる。ぴりぴりと肌に刺激が走り、後から後から痒みが沸きあがってきて彼女の心を惑乱させていく。
「やっ、あぁんっ。痒い、の……う、くぅっ。だ、ダメ……我慢、出来な、い」
 ぶるぶると震える右手が、自分の身体に伸びる。一番痒みが激しいのは言うまでもなく秘所だが、そこで味わった痛みはまだ脳裏に焼きついていた。流石にその痛みをもう一度味わう勇気は出せず、二番目に痒みを放つ胸へと手が伸びる。
「ひっ、いいぃっ。痛っ、痛いよぉっ」
 かりっ、かりっと手袋をはめられた指で乳房を引っ掻く。激しく、バリバリと掻きむしりたいという欲求はあるのだが、指に植えられた針が乳房の柔らかい肌に刺さる痛みにどうしてもおっかなびっくりな動きになってしまう。その程度の動きでは大して痒みは和らがず、ほとんど無意味な傷が無数に腫れあがった乳房に刻み込まれていく。
「いっ、痛いっ。……あっ、あぁっ、だめ、痒い……」
 痛みに耐えかねたのか、右腕を身体から離して霞が喘ぐ。だがすぐその口から切なげな呟きが漏れ始めた。痒みは収まる気配を見せようとはせず、むしろ強さと範囲を増しているような気さえする。浅い傷を無数に刻み込まれた右胸がずきずきと痛むが、その痛みもあまり痒さを紛らわす役には立ってくれない。
「左手も自由にしてあげるよ。私は優しいからねぇ。痒いところを掻かせもせずに放っておくような酷いまねはしないんだよ。好きなだけ、痒いところを掻くがいいさ」
 嘲笑を浮かべながら、女将がそう言って霞の左手を拘束する縄を断ち切る。両手が自由になった霞が、何とか手袋を外そうと悪戦苦闘するが、手首をがっちりと締め付けるベルトは緩みさえしない。逆に、手袋に覆われていない腕の肌を針で引っ掻いてしまい、僅かに血がにじんだだけだ。
「外れやしないよ。鍵を使わなきゃねぇ。あきらめて、痒いところを掻いたらどうだい?」
「お、鬼っ。ひとでなしっ。何でこんな酷いこと……!」
 女将の言葉に、両目に一杯の涙を溜めて霞が叫ぶ。親切めかしているが、こんな手袋をはめられてどうやって痒いところを掻けというのか。こんな状態に置かれるぐらいなら、まだ両手を拘束されたままの方がましだ。生殺しもいいところである。
 霞の怒りの叫びに、くくくっと女将が低く笑う。両足を拘束されたまま、上体だけを起こしていた霞へと、女将は抱えた壷の中身をばしゃりと浴びせかけた。
「ひっ!?」
「人の親切は、素直に聞くもんだよ? ええ? 霞」
「ひ、いっ。や、やだぁっ」
 二つのふくらみの谷間から腹へとどろりとした漆が流れる。手袋の甲の部分で懸命に霞がそれを拭うが、あまり効果はない。むずがゆさが次々と湧き起こり、霞が声にならない悲鳴を上げる。上体をひねって地面へと身体を投げ出し、身体の前面を地面にこすりつけるが、漆を拭う効果はほとんど得られないし、痒いところを掻くという目的も果たせない。
「ひっ、ひいぃっ。痒いっ、痒いっ、痒いぃっ。やだ、助けてっ、いやあぁぁっ」
 ばんばんと、手で地面を叩いて霞が泣きわめく。ふんと鼻を鳴らして女将が霞の両足を縛る縄を断ち切った。完全に拘束から自由になった霞が地面の上を転がり、のたうち回って苦鳴を漏らす。
「や、やだっ、痒いっ、死ぬ、死んじゃうぅっ」
「冗談はおよしよ。漆にかぶれたぐらいで死ぬもんかね。大体、そんなに痒いなら好きなだけ掻けばいいだろう? せっかく人が自由にしてやったんだからさ」
「い、嫌ぁっ。やだっ、外してっ、これを外してよぉっ。痒いのっ、痒くて死んじゃうぅっ」
 ぼろぼろと涙を流し、手足をばたつかせて霞が絶叫する。口からよだれが飛び散り、ひきつけを起こしたかのようにぶるぶると身体が細かく震える。思ったよりも激しい反応に女将が薄く笑った。
「よっぽど肌が弱いのかねぇ。普通は、そこまで酷いざまにはならないもんなんだが。ま、きつい仕置きをするって言う意味じゃ、好都合だけどねぇ」
「ひ、ひとでなしっ。うあっ、あああっ、ひいぃっ」
 一瞬ぎっと女将のことをにらみつけるが、すぐに猛烈な痒みに意識が撹乱される。こんな痒さを味わうぐらいなら多少の痛みを味わう方がましだと判断したのか、それとも単純に手袋の存在を忘れただけなのか、霞の両手が胸から腹へとかけて広がる真っ赤な湿疹へと伸ばされ、がりっと掻きむしる。
「ぎぃっ、ひぎゃぁっ」
 大きく目を見開き、絶叫を上げて霞が身体を弓なりにのけぞらせた。身体に走った傷はどれも浅いものだが、肌が真っ赤に腫れあがり、敏感になっていたせいで激痛として知覚されたのだ。地面の上を転がりまわり、僅かでも痛みと痒みを紛らわそうとするのだが、かえって傷口に漆と土を刷り込んでしまう。ずきずきと傷が痛み、それをかき消そうとするかのように痒みが激しくなる。
「ひゃ、あっ、あうぅっ。死ぬ、死んじゃうっ、だめぇっ。やだ、変になるっ。あっ、あっ、ああーーっ」
 ぐったりと四肢を投げ出し、ひくひくと身体を痙攣させている霞へと悠然と女将が歩み寄る。笑いながら女将は、まだ僅かに壷の中に残っていた漆を真っ赤に腫れあがった霞の秘所へと滴らした。
「ひっ、ひいぃっ、ひぃっ、ひっ、ひやああぁっ」
 新たな刺激に、霞がこれ以上はないというほど目を大きく見開いて絶叫する。七転八倒してのたうちまわる霞を、女将が軽く蹴り付けた。
「ほらほら、痒いんだろう? 意地を張らずに掻いちまいな。意地を張ったって、いいことは一つもないよ?」
「ひ、ぎぃ」
 女将の言葉を受けた霞が、半ばもうろうとした意識で自らの股間に手を伸ばす。手袋に植え付けられた針が腫れあがった粘膜を傷つけ、激痛を生んだ。短い悲鳴をあげ、慌てて霞が秘所から手を離す。だが、勢いよく離れた手がまたそろそろと秘所に近づいていくのを女将は笑いながら見守った。
「ぎぃっ、ぎ、ぎ、ぎゃああぁっ」
 ずぶっと、霞が左右の人刺し指をまとめて秘所に突き刺した。激痛に身体をのけぞらせ、絶叫を上げながらも霞みは指を秘所へと刺し込んでいく。痛みと痒み、二つのせめぎあいはどうやら痒みが勝利を収めたらしい。
「ぐぎっ、ぎぎゃうぅっ。ぎゃ、う……ぎゃああああっ」
 更に中指も加え、合計四本の指を秘所の奥深くまで突っ込み、えぐりかきまわす。柔らかく敏感な粘膜が針で傷つけられ、絶え間ない叫びを霞が上げる。膝をつき、うつぶせに尻を高く上げた姿勢になって霞が自らの秘所をいじり、血と愛液の混ざった液体を滴らせる。秘所へとねじこまれなかった残りの指が、太股や尻の肉を掴み、肌を破って血をあふれさせていた。
「ひっぎぃっ、ぎぎっ、だ、めぇっ。ひっ、ひぃっ、ひぎゃうぅっ」
 口から絶叫と共にとめどなくよだれをあふれさせ、霞が身体を震わせる。胸を地面にこすりつけ、高く上げた尻を振る。真っ赤にかぶれ、腫れあがった秘所を大きく指で割り広げて内部の肉ひだをあらわにする。女将に視線にさらされたまま秘所へと指を出し入れし、えぐり、湿った音を響かせながら腰を振る。まるで、男を誘っているかのようにも見える痴態を霞はさらけ出していた。
「ひあぁっ、ひっ、ひいぃっ。ひぐっ、ぐ、ぎゃあああぁっ」
 親指の腹で秘所の上に息づく敏感な肉の芽を押し潰し、霞が絶叫を上げる。それでも、秘所をいじる手は止まらない。ごろりと仰向けに転がると、左手を秘所から離して胸や腹を激しくかきむしり始めた。針によって肌が破れ、鮮血があふれる。漆と血が混じりあい、黒と赤の斑になった粘液が霞の肌の上をゆっくりと流れていく。霞の左手がこねるように肌の上を這いまわるが、その動きは粘液を拭き取ろうとしているのかそれとも塗り込んでいるのか、どちらとも判別しがたい。くねくねと頭を揺すり、霞が泣きわめく。
「やだっ、やだやだやだっ、痛いっ。痛いのはもういやぁっ」
 そう叫びつつ、その痛みを自ら与える手の動きは止まらない。くちゅくちゅと音を立てて右手で秘所をいじり、左手で乳房を揉みしだく。乳首を針の生えた指で押し潰し、甲高い悲鳴を上げて身体を震わせる。痒みと痛みに思考は混乱し、半分錯乱状態に陥っているらしい。そんな霞の狂態を、薄笑いを浮かべながら女将が見守っていた。
「どうだい? 気持ちいいだろう? 霞」
「き、気持ちよくなんか……ひいぃっ。ぎっ、ギャウゥッ。うぎぎ、ぐぎ、ぎゃあああっ」
 僅かに残った理性で反論しかけるものの、すぐに霞の口から漏れるのは意味をなさない叫びだけになる。涙とよだれと土とで顔を汚し、針の付いた指で自らを痛め付けながら霞が昂ぶっていく。
「狂う、狂ちゃうっ。ひぎ、いぃっ。死んじゃうぅ……!」
 はっはと切れ切れの息を吐き、ぶるぶると身体を痙攣させながら霞が叫ぶ。意地の悪い笑みを浮かべながら、どんっと女将が霞の尻を蹴り付けた。
「ほらっ、いっちゃいなよ!」
「ひぐっ、ひぐぅっ。ひいいぃぃっ!!」
 甲高い悲鳴を上げ、霞がぐんっと背をのけぞらせた。そのままぶるぶるっと身体を震わせ、身体を硬直させる。しばらくそうして身体を硬直させ、不意にぐったりと霞の全身から力が抜けた。秘所に指を突っ込んだまま、白目を剥いて完全に失神している。口の端からよだれがあふれ、頬を伝って地面を濡らした。指を突っ込まれ、広げられた秘所から血と愛液があふれ、地面にしみを作っている。
「ふぅん、思わぬめっけもんだったかもねぇ。その手の趣味の客には、好評だろうよ」
 血と汗と漆でドロドロに汚れた霞の無残な姿を見下ろしながら、女将が低く笑った。
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