遊女・霞


 江戸で唯一の公認の遊郭、吉原。そこには何十何百という数の妓楼が軒を連ね、数千人にも及ぶ遊女たちが暮らしている。女街ぜげんによって親元より買われ、吉原に連れてこられた女たちは、年期が明けるか誰かに身請けされるまで吉原から一歩たりとも出ることは許されない。年期が明ける前に病などで死に至るものも多く、華やかな外見とは裏腹に浮世の地獄とも呼ばれる所だ。
 そんな吉原に軒を連ねる遊郭の一つ、榊屋。その一室で、今夜、新たな新造の御披露目がされようとしていた。とはいえ、密やかに、ではあるが。

「ほう、これが女将の話していた新造か。自信たっぷりだったから期待してみれば、ふん、乳臭い小娘ではないか」
 でっぷりと太った中年の男が、つつましやかに頭を下げている少女を見やって不満そうに鼻を鳴らす。板張りの部屋の中、彼が座っている部分だけには畳が敷かれていた。身に付けた羽織もかなり豪奢なもので、一目で豪商と分かる姿だ。一方、板の上で頭を下げている少女の方は、いかにも遊女らしい派手な着物ではなく、そっけない白装束を身にまとっている。髪も結い上げておらず、いわゆる遊女というイメージからは程遠い。
「まぁまぁ、越後屋の旦那。評価は、試してからにしておくんなまし。万が一、旦那のお気に召さないとあれば、お代は結構ですから」
「ふん」
 媚びるような笑みを浮かべて自分の方に身を乗り出す榊屋の女将の言葉に、男が再び鼻を鳴らす。パンパンっと軽く手を打ち鳴らすと、女将は頭を下げている少女とその向こうに並んでいる二人の下男へと声をかけた。
「ほら、準備をおし」
「はい……」
 緊張を含んだ小さな声で少女--霞が応じ、その場に立ち上がると帯を解く。はらりと彼女の身体から白装束が滑り落ち、一糸まとわぬ少女の裸身が露になった。まだ未成熟な霞の裸身へとじろじろと無遠慮な視線を送りながら、男が杯を傾ける。
 下男たちが天井から床と平行になるように竹の棒を吊るし、そこに霞の両手首を縛りつける。Yの字型になった霞の姿にふんっと小さく鼻を鳴らすと、男がのっそりと立ち上がり、彼女の前に歩み寄った。
「やはり子供だな。胸も尻も小さい」
「あぁんっ、痛いっ、旦那様、お許しをぉ」
 ぎゅっと乳房を掴まれ、霞が鼻に掛かったような甘い声を上げる。普段の活発な彼女には似つかわしくない声と口調だが、彼女も遊女のはしくれだ。客を相手に態度を変えるぐらいは何でもない。
「ふむ……」
 霞の胸から手を離した男が、下男から短めの白木の棒を受け取る。よくしなるその棒の先端を男はぐりぐりと霞の胸へと押しつけた。未発達な霞の乳房が棒で嬲られ、その形を歪める。僅かに身をよじり、棒から逃れようとするようなそぶりを見せつつ、しかし実際には棒で乳房を嬲られるがままにして霞が鼻に掛かった声を上げる。
「あんっ、痛い、痛いですわぁ、旦那様ぁ」
「この程度で泣き事をぬかすな。さて、こちらは、どうかな?」
 薄く笑いを浮かべながら男が棒の先端を霞の股間へと向ける。うっすらとした叢に覆われた秘所を遠慮なしに堅い棒の先端が嬲り、あぁんっと可愛らしい喘ぎ声が霞の口からあふれた。
「あんっ、あふっ、ふあぁっ、あんっ、あぁんっ」
「ふん、棒で女陰ほとを嬲られておるというのに、腰を振って喜びよるか、この牝犬めが。ふふん、どうだ、よいのか? んん?」
「はい、イイ、イイですぅ、旦那様ぁ」
 男の嬲るような言葉に、瞳を潤ませて霞が頷く。にやりと口元を歪めると、男は霞の秘所を嬲っていた棒を引き抜き、ひゅっと振り上げた。
「では、この味はどうじゃ!?」
「ヒイイィィッ!」
 パシィィンと乾いた音が響き、振り降ろされた棒が霞の右胸に一筋の真っ赤な跡を刻み込む。顔をのけぞらせ、甲高い悲鳴を上げる霞。その姿にくっくっくと男が低く笑う。
「ほぅ、なかなかよい声で鳴くではないか。どれ、もう一度……」
「アヒイイィィッ! あぁんっ、旦那様ぁ、お許しをぉ」
 今度は左胸を打たれ、甲高い悲鳴を上げて顔をのけぞらせた霞が男へと哀願の声をかける。しかし、その哀願によってますます嗜虐心をそそられたのか、男は笑いを浮かべたまま棒を振り上げ、振り降ろす。
「ヒイイイィィンッ! だ、旦那様ぁ、アヒイイイィィッ! お、お許しをぉ、ヒイイイィィッ!」
 ピシーンッ、パシーンッと続けざまに棒が霞の肌を打つ音が響き、その度に大袈裟なほど甲高い悲鳴を上げて霞が顔をのけぞらせる。合間合間に許しを乞うような哀願の声を上げているが、本気で棒打ちから逃れたいと思っているわけではなく、相手の嗜虐心をそそるのが目的だ。霞は女をいたぶり、悲鳴を上げさせることに愉悦を見いだすタイプの客用の遊女なのだから。
「そうら、鳴け、もっと鳴けぇ」
「ヒヤアアアアァァッ! ヒッ、ヒイイィィッ! 旦那様ぁっ、アヒイイイィッ! ヒイイイイイィッ! やめ、やめてっ、キャアアアアアアアアァッ!」
 男が目をぎらぎらと光らせ、無茶苦茶に棒を振るう。棒の乱打を受けるうち、最初の頃は演技の色が濃かった霞の悲鳴が次第に切迫したものに変わり、表情もこわばってくる。今まで避けようともせずまともに受けていた棒から逃れようとするそぶりを霞が見せ始めたのをすばやく女将が見て取り、下男たちに視線で合図を送った。下男たちが手を伸ばし、後ずさって棒から逃れようとした霞の背中や腕を押さえる。縦横に無数の赤い筋を刻まれた霞の白い肌の上に、更に容赦なく男が振るう棒が叩きつけられる。鋭い痛みが走り、演技でなしに霞は悲鳴を上げた。もっとも、彼女は痛みを同時に快感とも感じるたちであり、そこに遊女としてのしつけ--客の要望に最大限沿うようにするというもの--が加わって痛みから逃れたいという思いともっと味わいたいという思いが彼女の中で交錯している。そのせいか、彼女の上げる声も混乱したものになっていた。
「ヒイイイィッ! やめてっ、もう許してっ、キャアアアアァッ! お願いっ、もっと打ってくださいましっ、アヒイイイイィッ!!」
 ピシィーンと乳首を打ちすえられ、甲高い絶叫を上げて霞が身悶える。ぼろぼろと涙を流して哀願の声を上げる霞の反対の乳首を容赦なく棒が打ちすえ、霞が悲鳴を上げて身体を震わせ、もっと打ってくれとせがむ。男は容赦なく棒を振るいつづけ、胸の辺りだけでなく腹や腕、太股の辺りにも何本もの赤い筋を浮かび上がらせた痛ましい姿となり、霞が身悶え、悲鳴を上げる。
「そらそら、どうだ? ん? よいのであろう? この牝犬めが」
「ヒイイィッ! は、はいっ、嬉しいですっ、ヒイイイィィッ! ああっ、痛いっ、もう許してぇっ、キャアアアアァッ! ああっ、も、もっと打って、アヒイイイイィッ! あぁ、あ、旦那様っ、ヒッ、アッヒイイイィィッ!!」
 男の振るう棒が、霞の叢に覆われた秘所を襲う。よくしなる棒で、派手な音が響く割りには痛みは小さいのだが、それでも最も敏感な部分を打たれれば痛みは尋常ではない。霞が甲高い悲鳴を上げ、爪先立ちになって背筋を反りかえらせる。そのままぶるぶるっと僅かに身体を震わせると、ひいぃぃ、と、掠れた声を上げて霞はがっくりとうなだれた。身体からも力が抜け、両腕で吊るされるような格好になる。
「おやおや、軽くイっちまったようですねぇ」
 軽く肩をすくめながら女将が苦笑を浮かべる。ふむ、と、小さく声を上げると男は手にした棒の先端を霞の顎に当て、顔を上げさせた。ぼんやりとした焦点のあわない霞の瞳を覗き込み、くくくっと小さく笑う。
「いやはや、ただの乳臭い小娘と思えば、なかなかいい声で鳴くではないか。女将、次は蝋燭を試してみたいのだが?」
「はいはい、すぐに用意させますよ、旦那。今日はこの子の御披露目ですからねぇ。旦那の気が済むまで、たっぷり試しておくんなまし」
 男の言葉に、愛想よく女将が応じ、下男に蝋燭の準備をさせる。軽く頭を振った霞が、怯えたような表情を浮かべた。その表情を楽しげに眺めながら、男が下男から受け取った燭台を彼女の顔の前に掲げてみせる。
「さて、今度はどんな鳴き声を聞かせてくれるかな?」
「あぁん、旦那様ぁ、お許しくださいぃ」
 無数の赤い筋が刻み込まれた裸身をくねらせ、霞が甘い哀願の声を上げる。さんざん棒で打たれ、全身がずきずきと痛むが、その痛みは不快であると同時にどこか心地好い。霞の言葉にくくっと喉を鳴らし、男は燭台を霞の胸の上で傾けた。蝋燭から真っ赤な蝋が滴り落ち、霞の胸の上に赤い花を咲かせる。
「ひいっ、熱っ、熱いぃっ。だ、旦那様ぁ、ひいっ」
「くっくっく、熱いか? ん? そうら」
「ひいっ、ひっ、ひゃうっ。熱い、熱いぃっ。ひいぃっ。旦那様ぁ、お許しをぉ」
 楽しそうに笑いながら男がぽたぽたと霞の左右の胸へと真っ赤な蝋を滴らせる。裸身をくねらせ、蝋が落ちるたびにびくっ、びくっと身体を痙攣させながら霞が悲鳴を上げる。たちまちのうちに、彼女の二つの乳房は真っ赤な蝋に覆われてしまった。男は更に腕や太股の辺りにもぽたりぽたりと蝋を滴らし、霞に甘い悲鳴を上げさせる。
「あぁんっ、熱いっ、熱いですぅ、旦那様ぁ。ひゃうんっ。あぁ……ひぃんっ。あぁんっ、旦那様ぁ、どうかお許しをぉ、ひいっ」
「ふふん、甘えた事を申すな。責めは、これからが本番だぞ? おい、お前たち、この女の足を押さえよ」
 彼女が瞳を潤ませ、哀願の声を上げる姿にますます興奮したのか、男は下男たちに霞の足を押さえるように命じると燭台をすっと動かした。ゆらゆらと揺れる蝋燭の炎が、直接、霞の右の脇の下をあぶる。
「ひいいいぃっ!? いやっ、やめてっ、イヤアアアアアアァッ! 熱いっ、ひいっ、ヒイイイイイィッ!!」
 蝋を滴らされていた時とは一転して、目を見開き、本気の悲鳴を上げて霞が炎から逃れようと身体をくねらせる。しかし、両足を二人の下男によってがっしりと抱え込まれた状態では逃れようもない。上体をくねらせ、揺すり、少しでも炎から身体を離そうとあがくのが精一杯だ。そして、そんな霞の姿を愉悦の笑みを浮かべて見やりながら男は蝋燭を動かし、じりじりと霞の脇を焼いていく。
「ヒイイイイイイイィッ! だ、旦那様っ、熱いっ、熱いぃっ! やめてっ、もうやめてっ、イッヤアアアアアアアァッ!!」
 演技ではなしに悲鳴を上げ、霞が身悶える。蝋を滴らすとか肌に炎を近づけるとかいうぐらいならまだしも、直接蝋燭の炎で肌をあぶるとなればこれは立派に拷問だ。吉原でも、足抜けを試みた遊女に対する仕置きとして、蝋燭の炎で肌をあぶるということが行われているぐらいなのだから。いくら霞が体質的に苦痛を快感に変換しやすく、しかも訓練を受けて更にその傾向を高められているとはいえ、流石にこれは辛い。しかし、そんな霞の姿に男はますます楽しそうな笑みを浮かべる。
「くっくっく、反対の脇もあぶってやろう。そうら、どうだ?」
「アヒイイイィッ! ヒイイイィッ! キャアアアアアアァッ! いやっ、やめてっ、許してぇっ! アヒイイイィィッ!!」
 全身を汗でてらてらと光らせ、霞が悲鳴を上げて身悶える。肌の上を蝋燭の炎がじかに這いまわっているのだから、当然火傷を負うことになるのだが、程度はごく軽いから女将は特に止めようとはしない。遊女を傷つけるのは本来は御法度とされているが、霞の場合は軽い怪我ぐらいは最初から負うのを前提に考えられているのだから、この程度で止めていては話にならない。
「くっくっく、打たれた時とは、また違う味わいのある鳴き声よな。では、ここをあぶるとどんな声で鳴くのかな?」
「ヒイイイィッ! 熱いっ、イヤッ、旦那様っ、お許しをっ、ヒイイイイィッ! し、死んでしまいますっ、ああぁっ、お許しをっ、キヒイイイイイィッ! 胸っ、胸がっ、燃えてしまいますっ、キャアアアアアアアアァッ!」
 脇の下から炎が離れたかと思ったら、今度は胸へと炎が当てられる。胸に刻まれた棒で打たれた跡をなぞるように炎が動き、目を見開いて霞が身悶える。左右のふくらみをじりじりと炎であぶられ、さんざんに悲鳴を上げて身悶える霞。その姿に男は目をぎらぎらと輝かせながら蝋燭の炎を胸の先端の突起へと向けた。
「キヒャアアアアアァァッ! ヒイッ、アッアツッ、アアアアアアァッ! ヒイイイイイイィィッ!」
 乳首を炎で包まれ、霞が絶叫を上げて激しく身悶える。炎を当てては遠ざけ、遠ざけては当てる、という事を繰り返して霞から散々悲鳴を引き出すと、男は反対の乳首へも炎の洗礼を浴びせかけた。
「ヒッヤアアアアアアァッ! キヒィッ! ヒヤアアァッ! ヒャアアアアアアアァッ! ヒイイイイィッ!」
 乳首が炎に包まれている時間はごく僅かだが、そのわずかな時間に味あわされる熱さと痛みはかなりのものだ。しかも、乳首から離れている間も蝋燭の炎は彼女の乳房をあぶっているのだから、痛みが消える時間はない。ポロポロと涙をこぼし、霞が頭を振り立てて泣き叫ぶ。
「おうおう、良い声で鳴くのぉ。さて、ではそろそろこちらも……」
 霞の狂乱する姿を眺め、愉快そうに笑うと男が燭台をすうっと下の方に下げていく。同時に下男たちが肩幅ぐらいに開いていた霞の足を更に左右に割り開いた。何をされるか悟った霞が、表情を引きつらせて激しく頭を左右に振る。
「い、いやっ、やめてっ、やめてくださいっ。旦那様っ、そこはっ、そこだけはお許しをっ!」
「怯える顔もなかなか良いのぉ。さぁて、どんな声を聞かせてくれるやら……」
 男が愉悦の笑みを浮かべながらそう言い、霞の股間、叢に覆われた秘所へと蝋燭の炎を近づける。
男の左手の指が伸びて霞の秘所を割り開き、奇麗な色をした秘所の中へと炎が差し込まれた。
「キッヒッイイイイイイィィッ!!」
 秘所を炎であぶられ、目を剥いて霞が絶叫を上げる。流石にそこを炎であぶったのは一瞬のことだったが、それでも霞が受けた苦痛はかなり大きい。蝋燭の炎を秘所から離され、ひっ、ひっ、ひっと切れ切れの息を吐いて大きく肩を上下させる霞。その姿を楽しげに見やりながら、男は再び蝋燭を彼女の秘所へと近づけた。
「ヒヤッ、アヒイイイイイイイイイィッ!!」
 大きく首をのけぞらせ、霞が絶叫を上げる。蝋燭の炎はすぐに秘所から離れたが、霞はがっくりとうなだれて荒い息を吐いていた。半開きになった口からつうっとよだれが滴って糸を引く。ひくっ、ひくっと身体を痙攣させている霞の秘所へと、三度蝋燭の炎がかざされた。
「アッヒッイイイイイイイィィッ!!」
 弾かれたようにうなだれていた霞の頭が跳ね上がり、目を剥いて絶叫を上げる。シャアアアッと彼女の股間から小水がほとばしり、慌てて男が手を引いた。板張りの床の上に小さな水溜りを作り、全身を油汗でてらてらと光らせて霞が喘ぐ。
「やれやれ、漏らしおったか。女将、少々、しつけがなっとらんようだな?」
 手に付いた霞の小水を懐紙で拭いながら、男が苦笑を浮かべる。恐縮したように女将が頭を下げた。霞の方はといえば、放心したようにぼんやりとした視線を宙にさまよわせ、小さく喘いでいる。
「申し訳有りませんねぇ、旦那。後でとっくりとしつけておきますから」
「ふむ。まぁ、よいわ。さて、良い声を聞かせてもらったことだし、今後もひいきにさせてもらう、といいたいところだが……あちらの味も、一応は試しておかんとな」
「はいはい、もちろん結構でございますとも。ほら、霞っ、しゃんとおしっ」
 半分放心している霞の頬をぴしゃぴしゃと掌で叩くと、女将は下男たちに霞の身体を降ろさせた。そのまま彼女を四つんばいにさせると、崩れ落ちそうになる彼女の肩の辺りに下男たちが手をかけて支える。服を脱ぎ捨てた男が、四つんばいになった霞の腰の辺りに手をかけ、無造作に後ろから貫く。
「あぁんっ、あっ、ああっ、旦那様ぁっ、ああっ、ふあっ、ふわわっ、ああっ、イイッ、ああっ、もっと、もっと突いてくださいましっ、あぁんっ、あっ、ふわわぁんっ」
 後ろから貫かれ、霞が嬌声を上げる。腰を動かしながら、男が苦笑を口元にひらめかせた。
「ふぅむ、悪くはないが、やはりまだ若いのぅ。ほれ、自分ばかり楽しんでおらんで、もっと締めつけんか」
「ふわっ、ふわわっ、あぁんっ、旦那様ぁんっ、あんっ、あぁっ、ふわぁっ、あぁんっ」
 まだ未発達な乳房を揺らし、霞が喘ぐ。苦笑を漏らしながら腰を動かしていた男が、ふと怪訝そうな表情を浮かべた。女将が、四つんばいになって犯されている霞の前に水の張られたタライを運んできたのだ。
「うん? 女将、それは?」
「いえね、せっかくこの子を使うんですから、特別な趣向があってもよろしいでしょう?」
 男の言葉に笑顔で応じると、いきなり女将はゆらゆらと揺れている霞の頭を掴み、タライの中に張られた水へと押しつけた。
「うぶぅっ!? ごぼっ、ごぼぉっ!?」
 突然顔を水に沈められ、動揺の声を上げて霞が身体をよじる。とはいえ、四つんばいになって背後から犯されている最中であり、しかも両肩を下男たちに押さえられ、女将に両腕で頭を押し下げられているのだから容易には逃れられない。ぼこぼことタライに張られた水に気泡が浮かび、霞の身体が痙攣する。
「おお!? これは良い、ぐいぐいと締めつけてきよるわ!」
 霞の身体の痙攣は当然秘所にも及び、男が歓喜の声を上げる。口元に笑みを浮かべ、小さく頷くと女将は霞の顔を水から引き上げた。顔や髪から水を滴らせ、げほげほと咳き込みながら霞が空気を貪る。
「げほっ、げほげほっ……お、お母さんっ、何を……!? うぶうぅっ!?」
 僅かに呼吸が整い、狼狽の声を上げかけた霞の頭が、再び女将の手によってタライに押しつけられる。激しく身体をのたうたせ、霞が逃れようとするが、下男たちと女将によってがっちりと押さえつけられていては逃れようがない。息を止めて我慢しようにも、犯されている最中ではそれも不可能だ。タライの水からぼこぼこと大きな気泡が続けざまに弾け、霞が身体をのたうたせるせいで床へと水が飛び散る。息が出来ず、霞が身体を痙攣させ、男が嬉しそうに笑う。
「あぶ、ぶ、げほげほげほっ、うあっ、あぁっ、やめて、許して、死んじゃう……うぶうぅっ!?」
 顔を水から引き上げられた霞が哀願の声を上げるが、女将は笑いながらその訴えを黙殺し、霞の頭を水に沈める。こんな状態で犯されても感じる事など出来はしないが、犯されている事には変わりないから息は弾み、水を飲む羽目になる。その苦しさに秘所がますます痙攣し、男を喜ばせた。
「ふははははっ、良い、良いぞっ、女将っ。この趣向、大いに気にいった!」
 水責めにあい、のたうち苦しんでいる霞を犯しながら、男が笑う。男へと笑顔を返しながら女将が霞の顔を水から引き上げ、満足に息も出来ず、水を飲まされ、苦悶に表情を歪めている霞へと語りかけた。
「ほうら、旦那様が喜んでいらっしゃるよ。お前みたいな半端者が、旦那様を喜ばせる事が出来たんだ。嬉しいだろう?」
「げほっ、げほごほごほっ。うぁっ、もう、もう許して……死んじゃうぶぅっ!?」
 激しく咳き込み、水を吐き出すと僅かながらに息をついた霞が哀願の声を上げる。だが、当然の如くその哀願は無視され、霞の頭が水に漬けられる。苦しさに霞が身体を痙攣させ、腰を動かしつづけていた男がおぉうっと一声吠えて彼女の胎内へと放出した。熱いものを胎内に受け、霞の口からひときわ大きな気泡が上がる。
「ふぅ……。くくく、女将、堪能させてもらったぞ。流石は榊屋、満足だ」
「いえいえ、こちらの方こそ、楽しんでもらえれば本懐というもの。どうぞ、今後も御ひいきに」
 霞の頭を水に漬けたまま、しおらしげに女将が挨拶を返す。びくっ、びくっと霞の身体が痙攣し、その動きにやっと女将は彼女の頭を水に漬けっぱなしだったのに気付いたのか彼女の頭を引き上げた。頭をびしょ濡れにし、げほっ、げほっと霞が咳き込む。
「ほら、霞っ。旦那様に御挨拶をおしっ」
「げほっ、けほけほ……。う、うぅ、だ、旦那様、今後も精一杯あい勤めますので、どうぞ御ひいきにしてくださいませ」
「うむ。明日もまた寄らせてもらおう。楽しみにしておるからな」
 着物を身に付けながら、男がそう言う。はい、と、満面の笑顔を浮かべて女将が応じる。一方、霞は表情を見られないように頭を深々と下げながら、一人表情を引きつらせていた……。
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