4月8日 晴

 今日から私は、領主様のお屋敷で働くことになりました。といっても、しがないメイドとして、です。他の友達と違って私はあんまり美人じゃないから、側室にはしてもらえませんでした。
 もっとも、それはかえって幸せだったかもしれません。領主様は確かにいい人です。他の街に比べてずっと税金は安いし、無料の治療所や学問所とかも作ってくださいましたから。この街に住んでる人はみんな、他の街の人たちよりずっと裕福で楽な暮らしを送っているんです。
 でも、その代わりといっていいのかどうかは分かりませんけど、領主様は凄く残酷な人でもあるんです。いえ、普段はとても優しいお方なんですけど。誰かが残酷趣味なんだって言ってました。女性をむごたらしく殺すことで快楽を得る性質(たち)なのだと。
 実際、領主様の側室になった娘たちはみんな、しばらくの間はとっても贅沢をさせてもらえます。どれくらいその幸せな時間が続くかは、領主様次第。領主様のことを満足させている間は、何だって叶えてもらえる天国みたいな生活が送れるそうです。でも、領主様に飽きられたら、その後に待っているのは地獄。そう、悲惨な死だけなんです。
 私の友達は、きれいに二種類に分かれてました。例えその後に地獄が待っていても、天国みたいな生活が出来るんだから側室にしてもらいたいっていう人と、どんなに贅沢が出来てもその後で惨殺されるって分かってるんだから意味がないっていう人と。私は、そのどちらが正しいのかは分かりません。どっちもそれなりに正しく、それなりに間違ってるんじゃないでしょうか。私はどちらかというと後者ですけれど。
 ……少し、話が逸れました。ともかく私は、今日からしばらくの間このお屋敷で働きます。領主様がメイドに手を出すことは滅多にないという話ですから、多分無事に生きてこのお屋敷を出ることが出来ると思います。もちろん、運が悪ければ、天国の生活を味わえずに地獄だけを味わう、何て悲惨なことになるかもしれませんけれど。
 大体、領主様の犠牲になるのは一月に一人ぐらいだそうです。奴隷商人から買った女の子を殺したり、旅芸人の一座からこの街で公演する代わりに一人いけにえを差し出させたりすることもあるそうですから、私がこのお屋敷で暮らす一年の間に殺される可能性はそんなに高くはないんじゃないでしょうか。そう思わなければとてもじゃないけどやっていけない、というのもありますけど。
 そうそう、聞いた話によれば、私がこのお屋敷に呼ばれる前日、つまりは昨日ですね。昨日、一人の犠牲者が出たそうです。可哀想ですけど、今月分のいけにえはもう捧げられたんだなぁって、ついその話を聞いた時には思ってしまいました。

 薄暗い地下室。壁には様々な拷問道具が吊るされ、壁や床、更には天井にまでどす黒い血のしみが広がっている。地下室だから冷えるのは当たり前なのだが、それにしても肌寒い。部屋の持つ陰鬱な雰囲気がそう感じさせるのであろうか。
 部屋の中央には、木製の台が置かれている。大きさは、その上に人を転がすと足がはみ出る程度で、一部は血でどす黒く変色していた。
 その上に転がされているのは、一人の少女だ。仰向けになっているせいでまだ幼いふくらみは薄く広がっている。栗色の髪に覆われているせいではっきりとは表情が見て取れないが、恐怖に引きつっているのは確実だった。
「イリア。お前は、私の側室でありながら別の男と通じたな?」
 静かな口調で領主がそう少女へと問いかける。ぶるぶると頭を振って少女が哀願の声を上げる。上体を起こそうにも、両手首には鎖のついた金属の輪がはめられ、床に固定されている。足は拘束こそされていないものの、屈強な下男にしっかりと押さえつけられていて動かせない。
「お許しを、お許しを、領主様。わ、私はただ……」
「いいわけを聞く気はない。姦通は問答無用で死罪と昔から決まっておる」
 少女の哀願の声をあっさりと切り捨てると、領主は下男に合図を送った。小さく頷いて下男が足元においてあった木製のパイプを手に取る。少女の膝の裏の辺りにそのパイプを当てると下男は慣れた手付きで縛りつけた。
 パイプの中には細い鎖が通してある。下男が巻き上げ機を操作するとじゃらじゃらという音を立ててパイプが宙へと引き上げられた。両足を広げ、腰を直角に曲げるような形に拘束される。
 しかし、彼女のことを姦通を犯したといって責めるのは酷かもしれない。まだ恋も知らぬ少女を強引に自らの妾にしただけでなく、数度抱いたら飽きたからと他の男に金を渡し、誘惑させたのは他ならぬ領主自身であるのだから。
 姦通自体は事実であるにしても、そうなるように仕向けたのは彼自身。そう、すべては、こうして彼女を拷問にかける口実を作るために行われたことなのだ。
「ひいっ。お、お許しを、領主様。どうか御慈悲を!」
 悲鳴混じりの哀願の声をあげ、少女が身悶える。それに合わせてじゃらじゃらと鎖が鳴った。薄く笑って彼女の顔を覗きこみながら、領主が下男へと顎をしゃくる。
 下男が壁の棚から洋梨を取り出す。表面には精致な細工が施され、一見美術品のようにも見えるが、実際には恐るべき拷問道具である。それを手にしたまま下男が大きく広げられた両足の付け根へとしゃがみこむ。無骨な指が、不遠慮に少女の秘所を割り広げた。
「ひいっ」
 少女が喉を鳴らして身体をのけぞらせる。かまわずに洋梨の先端を下男が少女の秘所へと押しこんだ。ひんやりとした金属製の張り型が、まださほど使いこまれていない幼い花びらを強引に押し広げ、飲みこまれていく。
「ひ、ぎぃっ。だ、めっ、そんなっ、の、入らないぃっ。裂けちゃ、うっ! ギィっ!」
 大きく目を見開き、ポロポロと涙をこぼしながら激しく少女が頭を振る。まったく挿入の準備が整っていない乾いた秘所に、しかも到底入りきらないような太い鉄の器具が押しこまれているのだ。股間から身体がまっぷたつになるのではないかと思うぐらいの激痛が走り抜ける。
「嫌、嫌、嫌あぁっ。許して、許して、ひぎいいいっ」
 あまりの太さに耐えかねたのか、少女の股間から鮮血が滴る。楽しげな笑いを浮かべながら領主が彼女の頭を両手で押さえつけた。下男も左手で彼女の太股の辺りを抱えこむようにしながら更に奥深くへと洋梨を押しこんでいく。
「あっ、がっ、はっ。ひっ、ひっ、ひぃっ」
 引きつった、笑いにも似た声を少女が上げる。あまりの痛みに身体が痙攣し、切れ切れに押し出される息が丁度そんな感じになるのだ。びっしょりと全身に汗が浮かび、顔にも髪の毛が張りついている。
「くくくくく、まだまだだぞ、イリア。これからが本番だ」
「お許し、を、領主様。どうか、もう……ひぎゃあぁっ!?」
 邪悪な笑いを浮かべる領主に、涙と汗でべとべとになった顔で少女が哀願する。その哀願の声が、途中で絶叫に変わった。下男が、洋梨の下に付いていたネジを回したのだ。
 最初から、この器具は少女が受け入れるには大きすぎるサイズだった。それが、ネジを回されたことにより先端が四つに割れ、更に大きく広がったのだ。もうこれ以上ないというほど広がった少女の膣が、更に無理矢理大きく拡張されていく。
「ひぎゃああっ、ぎ、ぎ、ぎ、ぎゃひぃぃぃっ。いやっ、ひ、ぃ、だ、めぇっ、ひぎゃぎゃぎゃひぃっ!!」
 常人ならば耳を覆いたくなるような少女の絶叫。足と頭をがっしりと押さえつけられているせいで、身体を動かして痛みを紛らわすことも出来ない。唯一僅かに動かせる腕を激しく動かすせいで、がちゃがちゃと鎖が鳴っている。(挿絵)
「がぎぎぎぎぎ、ぐぎぃっ。ひっ、ぎゃあああああっ、あぎっ、ぎ、ひぎゃうっ!」
 びくびくと身体が震える。大きく割り裂かれた秘所から次から次へと鮮血があふれ出し、木の台の上に広がる。
「ヒ、ギィッ、嫌、嫌、イヤァッ! さ、け、るぅッ。ヒイイイッ」
 激痛と恐怖に顔を引きつらせ、少女が絶叫する。領主の押さえつける手を跳ね飛ばし、ぶんぶんと激しく頭を振る。身体を弓なりにのけぞらす。全身に油汗が浮かび、蝋燭の明かりを映してテラテラと光る。
「くくく、痛いか? 苦しいか? 姦通の大罪を犯した当然の酬いだ」
「ヒィィッ、ギィッ、イヤアァァァッ、ヤメテェッ!」
 愉悦の笑みを浮かべる領主の言葉も、ほとんど少女の耳には入っていない。ポロポロと涙をこぼしつつ、哀願の声を上げる。それにもかまわずに下男がネジを回し続けていくと、ぶちぶちぶちっという肉の裂ける音が響いた。外からでは分からないが、膣が完全に引き裂かれ、破壊される。少女が絶叫と共に身体を弓なりにのけぞらせ、口から泡を吹く。
「うぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!! ひぎぃっーーーー!!!」
 びくびくっと数度激しく身体を震わせ、ぐったりと少女の全身から力が抜ける。半分失神したような状態で口を半開きににしてよだれをたれ流している姿は、目を覆いたくなるような酸鼻な姿だ。
 けれど、まだ領主の残虐な行為は終わったわけではなかった。部屋の片隅に置かれた石造りの箱の中で、石炭が赤々と燃えている。鉄製のこてを付けた下男がそこに突っ込まれていた洋梨を取りだした。サイズは先程のものより一回りか二回り小さいが、半ばから先が真っ赤に灼熱している。
 口を半開きに、放心したようにしている少女の頬に手をかけ、下男が口を大きく開けさせる。その行為と、顔に近づけられた洋梨の熱気に少女の瞳に光が戻った。恐怖に表情を引きつらせ、少女が身体を震わせる。楽しげな笑いを浮かべて領主が見守る中、無表情に下男が少女の口の中へと洋梨を押しこんだ。
「むぐぅっ!? ぐぅっ、ぐぐぐぅっ!」
 じゅうっという音とともに少女の口から白煙が上がる。洋梨のサイズは彼女の小さな口でくわえこむには大きすぎる。喉の奥まで洋梨に塞がれ、声を上げることも許されない。口の中の粘膜が、舌が、喉が、真っ赤に焼けた鉄の梨に焼かれていく。
「むぐぐぐぐぅっ! うぐっ、うぐぐっ、むぐぐぅうぅっ!!」
 くぐもった少女の悲鳴が響く。顎が外れそうなほど大きく口を広げられ、しかも焼かれているのだ。その苦痛は想像を絶する。
「うぐぐぅっ、ぐぐ、ぐぐぅっ!」
 くぐもった、悲痛な呻きが少女の口からあふれる。口の中は焼けただれ、強引に開かされた顎がミシミシと嫌な音を立てる。
 無情に、下男が洋梨のネジを回した。梨の先端が割れて広がる。ぼこっと、少女の頬が膨れた。梨が割れたことで出来た隙間から、白煙に混じって血がこぼれ落ちる。梨の中央には先端の尖った柱--つまりは太い針が仕込んであり、梨が開くにつれてその針が前進するようになっている。膣用のものであれば、膣が押し広げられたことで引きずり出される子宮を貫き、口用のものであれば喉を突く。
「むぐっ、げぼっ、むぐぐぅ、ぶ、ぼ、ぐぅぅっ」
 激しく咳込みながら、少女が鮮血を吐き出す。その瞳はこれ以上ないというほど大きく見開かれ、くぐもった絶叫をあげながら何度も何度も身体を震わせる。
「ウグ、ウググ、ウグゥッーーー!!」
 大男が更にネジを回す。ゴギィッという、骨の砕ける音が微かに響く。ぐるんと少女の瞳が反転した。
「くっくっくっくっく、はぁっはっはっはっはっ!」
 楽しげな領主の哄笑が、陰湿な地下室の空気を震わせた。
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